人前では礼儀正しく愛想も良いのですが、私と2人きりになると態度が一変。会うたびに嫌みや見下すような言葉を投げかけてくるため、できれば距離を置きたい相手でした。
アポなし訪問を繰り返す義妹
義妹は事前連絡もなく、たびたびわが家を訪ねてきていました。
食器を見れば「安そうですね」と言い、私の服を見れば「地味ですね」と笑う。お茶やお菓子を出しても、「あまり好みじゃないです」とわざわざ口にするのです。
私はできるだけ聞き流していましたが、内心ではかなり疲れていました。
もともとお菓子作りが趣味だった私は、休日によくケーキやクッキーを焼いていました。
ある日、焼きたてのカップケーキがあったので義妹にも出したところ、彼女は一口も食べずにこう言ったのです。
「なにこれ。なんだか安っぽいですね」
そう言うと、手に取ったカップケーキをそのままゴミ箱へ捨てたのです。あまりのことに言葉が出ませんでした。
夫への急接近
翌日、大きなケーキ箱を抱えて再びわが家へやってきた義妹。もちろん、今回も事前の連絡はありませんでした。
「お義兄さんのために作ってきました」
義妹はそう言いながら夫の隣へ座り込みます。さらに、「私、料理もお菓子作りも大好きなんです」と家庭的な女性であることをアピールし始めました。
その後、通りすがりに義妹は私の耳元で「昨日のお義姉さんのケーキはちょっとね」と笑ったのです。
箱から出てきたケーキは、ホテルや専門店で売られていても不思議ではないほどの完成度の高さでした。お菓子作りが趣味の私には、その仕上がりが妙に引っ掛かりました。
不自然なお願い
夫は義妹の持ってきたケーキを見るなり、「すごいな。本当にきれいだね」と感心した様子でした。そして突然私に、「せっかくだから、紅茶を買ってきてくれない?」と言ったのです。
私は耳を疑いました。夫は体質的にカフェインを受けつけません。付き合ってから一度もコーヒーや紅茶を口にしているところを見たことはありませんでした。
どうして急にそんなことを……。動揺しながらも、私は「わかった」とだけ答えて家を出ました。
商店街へ向かっていると、途中で私を呼び止める声が。その声の主は、夫の弟でした。
「お義姉さん、いきなりすみません! ちょっと来てもらえますか」
そして、わが家の様子が見える位置に移動すると、義弟はスマートフォンの画面を見せてきました。そこには通話中の表示。通話相手は夫でした。
戸惑う私に、「心配しなくて大丈夫」と言った義弟。そして通話をスピーカーに切り替えました。
すると、わが家のリビングでの会話が聞こえてきたのです。
明らかになった義妹の本性
「このケーキ、本当に君が作ったの?」と静かに尋ねた夫。
義妹は「もちろんです」と即答。
そして、「私のほうがお義姉さんより若いし、かわいいでしょ?」「今度、夫が出張でいないときに遊びに来ませんか?」と夫を誘ったのです。
私は思わず息をのみました。
夫は苦笑しながら、「弟を裏切ることになるけど大丈夫なの?」と聞きました。
すると義妹は、「別にいいんです。もう夫には興味ないので」と平然と答えたのです。
その直後、夫がスマートフォンを取り出しました。
「今の話、うちの妻と弟に全部聞かれているよ」
そう言って通話画面を見せたのです。義妹の顔色は遠目でもわかるほど、一気に変わりました。
さらに夫はこう続けます。
「そのケーキ、本当は君が作ったわけじゃないよね」
実はその日は私の誕生日。
そして、ケーキを作ったのは義弟でした。義弟は以前、ホテルでパティシエとして働いており、私の誕生日祝いとして特別にケーキを作ってくれていたのです。
仕事の都合で届けられなくなったため、義妹に預けたそう。義妹はそれを自分の手柄にしていたのでした。
「弟が作ったことを知っていながら、自分が作ったことにしたんだよね」と夫が追及すると、義妹は「知らなかった」「勘違いしただけ」と苦しい言い訳を繰り返すばかり。
義弟に促され、私はわが家に戻り、そのままリビングへ。後に義弟も続きます。義弟の姿を見た義妹は、真っ青に。
義弟は、義妹に離婚を考えていることを告げました。義妹は「本気じゃなかった」「冗談のつもりだった」と弁解を続けますが、義弟は静かに頭を振りました。
「もう無理だ」
義妹は泣きながら謝っていましたが、義弟の気持ちは変わりませんでした。その後、夫婦で話し合いを重ねた結果、2人は離婚することになりました。
それぞれのその後
後から聞いた話ですが、夫は以前から義弟から相談を受けていたようです。義妹の度重なる嘘や、兄(私の夫)への執着に不信感を抱いていた義弟は、彼女の歪んだ本性を暴く決定的な証拠が欲しいと悩んでいたそう。
そのため夫は、義妹が突然やってきてアピールを始めた際に、彼女に気づかれないよう手元でこっそり義弟に通話をつなぎ、私たちの会話をすべて聞かせていたのでした。
義弟は、本性を表した義妹と対峙するため、仕事場からわが家へ向かっている途中で私に遭遇したとのことでした。
離婚後、義妹は実家に戻ったようです。
一方、義弟は長年の夢だった洋菓子店を開業。最初は小さなお店でしたが、地元のお客様に支えられ、少しずつ評判が広がっています。私も時間のあるときに手伝うようになり、大好きなお菓子に囲まれた毎日を送っています。
夫との関係も変わらず良好です。
今回の件で、夫や義弟が私のことを大切に考えてくれていたことを改めて実感しました。
◇ ◇ ◇
見栄や嫉妬から誰かを見下したり、嘘を重ねたりしても、本当の信頼を手に入れることはできません。今回のエピソードの義妹も、自分を良く見せようとして周囲を欺いた結果、大切な夫との関係まで失うことになってしまいました。
一方で、夫婦や家族の間にあった誠実な信頼関係は、義妹の思惑を見抜き、真実を明らかにする力となりました。人との関係は小手先の演技ではなく、日頃の言動や積み重ねによって築かれるもの。改めて、誠実であることの大切さを考えさせられるエピソードでした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。