なぜか僕にだけ厳しい先輩
ある日、僕が仕事で成果を出し、部長から褒められていると、A男はすぐに近づいてきました。
「いい気になるなよ? 調子に乗るとミスするぞ」
調子に乗ってなどいませんが、反論しても話がこじれるだけだと思い、僕は「ご忠告ありがとうございます」と返事をして、その場を離れました。
後日、親会社の担当者が来社しました。打ち合わせのあと、僕がエントランスまで見送っていると、その担当者から「この間の提案、とてもよかったです。現場のことをよく見ていますね」と声をかけられたのです。すると、それを見ていたA男がイライラした様子で声をかけてきました。
「親会社の人に褒められたからって、調子に乗るなよ。媚びを売りやがって」
僕は言い返したい気持ちをこらえ、「気をつけます」と答えました。
昇進試験を受けることに…
それから数週間後、部長から昇進試験を受けるようすすめられた僕は、勉強を始めました。すると、それを知ったA男は、僕への嫌がらせをエスカレートさせたのです。
僕が使っているパソコンの電源を勝手に切ったり、椅子を別の場所に隠したり。幼稚な行為が続きましたが、僕はすべてを記録しながら、冷静に対応し続けました。
そんなある日、A男から意外な提案がありました。
「今度の昇進試験の範囲、特別に教えてやるよ! 俺も受けたことがあるからさ」
A男が昨年同じ試験を受け、合格できなかったことは知っています。彼のことは信用ならないものの、とりあえず話を聞くだけ聞こうと思い、僕は「ありがとうございます。お願いします」と返事しました。
するとA男は、1冊の本を差し出しました。
「この本の内容だけ頭に入れておけば大丈夫。他はムダだから覚える必要なし!」
A男の言い方には引っかかるものがありましたが、僕は本を受け取ったうえで、自分で確認した範囲の勉強も続けました。
試験前日、彼が笑った理由
そして、試験前日。A男は僕のところへ来て、ニヤリとしながらこう言ったのです。
「いや〜申し訳ない。今気づいたんだけど、この間教えた範囲、間違ってたわ。これじゃ明日は0点かもな!」
ところが、僕は少しも焦りませんでした。実はこのとき、僕はすでに昇進試験を受けないことが決まっていたのです。
「ああ、試験のことですが……僕はもう受けないんです」
「諦めたのか? まあ、不合格だろうし仕方ないよな!」
満足そうに笑うA男。その翌日、部長から部署全体に発表がありました。
僕の立場を知った先輩の反応は?
「来月から、彼には経営企画室へ異動してもらうことになった。これまでの実績や評価を踏まえ、今後は会社の経営に関わる仕事を任せていく予定だ」
その発表をきっかけに、僕が社長の息子であり、将来的な後継候補として現場経験を積んでいたことも明かされました。実は、僕は父の意向であえて身分を伏せ、一般社員として現場を学んでいたのです。A男は目を見開き、「は? 後継候補……?」と言葉を失っています。
もちろん、僕が評価されたのは社長の息子だからではありません。これまでの仕事の成果や、現場での姿勢を見たうえで、正式に決まった人事でした。
その後、会社ではハラスメントに関する社内調査がおこなわれました。すると、A男から嫌がらせを受けていたと申し出る社員が、ほかにも複数いたことが判明したのです。事実確認を経て、A男には厳重注意と配置転換の処分が下りました。それからしばらくして、A男は自ら会社を辞めていきました。
一方の僕は、経営企画室で学びながら、後継候補として日々奮闘しています。まだまだ未熟ですが、社員が安心して働ける会社にできるよう、これからも努力していきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!