体調不良は自己責任という考え方
私が働いていた店舗の店長は、その地区のエリア長も兼任していました。毎月「エリア長からのお知らせ」として月報が各店舗に共有されていたのですが、そこに決まって書かれていたのが、
「体調不良はすべて自己責任です!」
「体を温め、よく食べ、よく眠れば体調を崩すことはありません!」
という内容でした。
私はそれを読むたびに、気持ちが置いていかれるような感覚になっていました。パート仲間の間では、月報が出るたびに「そこまで言い切れるなら、医師って何だろうね」と小さく笑い合うのが、いつの間にか習慣になっていました。
風邪が広がりやすい職場だった
さらに困ったのは、店長が明らかに風邪をひいているように見えても、「風邪なんてひいていない」と言い張り、どんな状態でも出勤してくることでした。
当時はコロナ禍前で、接客業でマスクをすると「笑顔が届けられない」「お客さまを菌扱いしているようで失礼」という空気が一部にありました。店長もその考え方で、せきやくしゃみが出ていても、マスクを着けようとしませんでした。
その結果、一緒に働く仲間が次々と体調を崩していきました。けれど店長は、それを「自己管理不足だ」と叱るのです。体調を崩す人が出て、責められて、また誰かが無理をする。そんな流れが日常のようになっていました。
「子どもが受験生だから、どうしても風邪はもらいたくない」といった理由で、パート従業員がマスクを着けたこともありました。すると店長は、以前からの「マスクは失礼」という理屈を持ち出し、かなり強い口調で注意していました。私はその場面を見て、息が詰まるような気持ちになったのを覚えています。
無理をした先にあったもの
その後、私は同じエリアの別店舗で働くことになり、前の店舗の店長については、月に一度の月報で名前を見るくらいになりました。しばらくして、異動先の店長から「エリア長は退職されたよ」と聞きました。定年まではまだだったはずですし、体調が悪くても出勤するほど仕事を優先する人だったので、私は驚いて理由をたずねました。
すると、「体調を崩してしまって、働くどころか外に出るのも難しい状態みたいだよ」と教えられました。
その話を聞いたとき、毎月の月報にあった「体調不良は自己責任」「体を温め、よく食べ、よく眠れば体調を崩すことはない」という言葉が、私の中によみがえりました。何か言いたい気持ちはありましたが、結局、言葉にはできませんでした。
まとめ
この出来事を通して、体調管理は個人の努力だけではどうにもならないこともあるのだと気付きました。
あの職場を振り返るたび、働きやすさは人手や忙しさだけで決まるものではなく、体調を崩したときにどう受け止めてもらえるかでも大きく変わるのだと感じます。助け合いは余裕があるときだけのものではなく、誰かが弱っているときにこそ試されるものなのかもしれません。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:磯辺みなほ/30代女性。ゲーマー。発達障害持ちの夫と2人暮らし。大変なことも多い中、それ以上にネタと笑顔にあふれる毎日を送っている
イラスト:マメ美
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
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