「もう帰りなさい」見下される私の仕事と、邪魔者扱いされた娘
ある日、会社にとって非常に重要な、取引先を招いた「屋外キャンプ場での懇親会」が開催されました。
私は朝から現場で設営や段取りに追われていました。その日は妻が休みで、家で娘を見ているはずだったのですが、開始直前になって、妻が華やかにドレスアップした姿で娘を連れて会場に現れたのです。
「私だって偉い人と仲良くなりたいし、楽しそうだから来ちゃった! 娘の面倒は、現場を回しながらあなたが見ててよ」
私は耳を疑いました。「火も使っているし重い機材もあって危ない。現場の指揮を執りながら娘を見るなんて絶対に無理だ」と止めましたが、妻は悪びれる様子もありません。
すると、そこへやってきた義父が「文句を言うなら、君が娘を連れて帰りなさい」と私に言い放ったのです。
「君の裏方仕事なんて誰でもできる。あとは営業の彼に任せれば大丈夫だ」
妻も「そうそう、私はこれから大事な接待があるの。あなたの仕事はただの雑用なんだから、さっさと帰って」と、私をゴミのように見下して笑いました。
自分の見栄や楽しさを優先して危険な現場に娘を連れ込み、必死に働く私を厄介払いする二人。私は静かに、「分かりました…この後どうなっても知りませんよ?」と告げました。妻は「大げさな」と鼻で笑うだけ。私は娘の安全を守るため、仕方なく彼女の手を引いて会場を後にしました。
私が担当していたのは、会場の準備や料理を出すタイミングの調整、スタッフへの指示出し、お客さまの動線確認など、現場全体を滞りなく進めるための仕事でした。
案の定、私が抜けた現場は悲惨なものでした。料理は遅れ、飲み物のコーナーには長蛇の列。パニックになった義父から「今すぐ戻ってこい!」と電話がありましたが、私には娘を世話する仕事があります。当然、冷たく断りました。
すると後日、妻からかけられたのは「あなたのせいでうちの評価が下がったじゃない!」という理不尽な文句でした。必死に家族を支えてきた私の心の中で、何かが音を立てて崩れ落ちていくのを感じました。
「あなたの力を活かして」一筋の光と、静かなる決断
その様子を少し離れた場所から見守っていた人物がいました。いつも新鮮な野菜を届けてくれている、取引先の農園の担当者です。彼女は納品のたびに私の仕事ぶりを見てくれていて、ときどき相談にも乗ってくれる存在でした。
彼女は「食事の場をスムーズに回す、あなたの気配りや段取りの力は本当にすごいです。うちの農園で新しく始めるお弁当事業を、一緒に立ち上げませんか?」とスカウトしてくれたのです。
自分の仕事をきちんと見て、評価してくれる人がいる。その事実に私はハッとさせられました。「もう、自分をすり減らしてまでこの会社にいる必要はない。なにより、自分たちの娘を邪魔者扱いするような人たちの元に、大切な娘を置いておくわけにはいかない」と。
私はすぐに退職を宣言し、同時に妻へ離婚を突きつけました。「細かい手続きは追って連絡する」と告げ、親権もきっちりと私が獲得して、娘と二人での新しい生活をスタートさせたのです。
裏方を軽視した者たちが迎えた「完全な自滅」
転職した農園での新しい事業は、私の「現場を回すノウハウ」と彼女の「営業力」が噛み合い、順調に軌道に乗っていきました。
そしてある日、駅前の大型商業施設が主催するフードイベントに出店したときのこと。なんとそこには、元妻と義父の会社もお店を出していました。どうやら、会社の重要顧客である役員一家を接待し、大型契約を取り入ろうと企んでいたようでした。
しかし、ここでも彼らは致命的なミスを犯していました。役員の幼い娘さんが「おなかすいた!」と言い始めたのですが、娘さんが食べられる子ども用の食事の事前準備が整っておらず長時間お待たせしてしまったのです。
見かねた私は、うちのブースに役員一家を招き入れました。そして、野菜嫌いなお子さんでも食べやすいよう、農園特製の甘い黄色トマトを使ったスープを、猫舌のお子さんに合わせて「少しぬるめ」に温め直してお出ししたのです。
「おいしい!」と笑顔でスープを飲む娘さんを見て、役員の女性は大感激。「様々なお客に合わせた食事の準備・臨機応変な対応がすばらしいです。次回の大型イベントは、ぜひ御社にお願いしたい」と、その場で契約が決まりました。
遅れて料理を持ってやってきた義父と元妻が「実績ならうちのほうが!」と食い下がりましたが、役員の女性は「お客さまの様子を見て現場をうまく回せない会社に、大事なイベントは任せられません」と一蹴したのです。
義父が「お前が邪魔をしたな!」と私に怒鳴り込んできましたが、それを制したのは、彼らの会社の営業担当である元同僚でした。
「いい加減にしてください! 営業も現場の準備も全部僕に押し付けて、失敗したら僕の責任にする。彼がいた頃は完璧に回っていたのに、それを壊したのはあなたたちです! もうついていけません、辞めます!」
彼はその場で退職を宣言。裏方の仕事を見下し続けた元妻と義父は、大勢の客の前で恥をかき、顔面蒼白で立ち尽くしていました。
晴れやかな新生活と、見つけた本当の笑顔
その後、まともに現場を回せる人間がいなくなった義父の会社では、無茶振りに耐えかねたスタッフたちが次々と辞めていきました。現在は仕事が一切受けられない「事実上の廃業状態」に陥っていると風の噂で聞きました。
一方、私と農園の女性が立ち上げた事業は、あのイベントをきっかけに仕事をたくさんいただき、順調に拡大を続けています。
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どんな仕事やプロジェクトも、目立つ役割の人だけでなく、見えないところで支えてくれる「裏方」の存在があってこそ成り立っているものです。その努力を見下し、人にばかり負担を押し付けるような態度は、いつか必ず自分自身の首を絞める結果を招いてしまいます。
相手の努力を当たり前だと思わず、常にお互いを思いやる意識を持って、温かい関係を築いていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。