一番に伝えたかった親友
彼からプロポーズを受け、結婚に向けた話が具体的に進み始めたころでした。そろそろ周囲の人たちにも報告しようと思った私が、真っ先に連絡したのは学生時代からの親友でした。
久しぶりに食事をしながら、お互いの近況を話していたときです。
「実は結婚することになったんだ」
そう伝えると、親友は驚いたような表情を浮かべました。最初は素直に驚いているだけだと思っていたのですが、次第に会話の雰囲気が変わっていったのです。
「えっ、本当に?あんなに結婚願望ないって言ってたのに?」
私は「彼と出会って考え方が変わったのかも」と答えると、親友はどこか腑に落ちない様子で……。
次々と飛び出した言葉
親友はさらに、「結局、条件で選んだってこと?」と言いました。突然の言葉に驚きながら否定すると、今度は「専業主婦になれるから決めたんでしょ。いいよね、ラクそうで」と続けたのです。
私は返す言葉を失いました。
たしかに結婚後の働き方について彼と話し合ったことはありました。しかし、それが結婚の決め手だったわけではありません。彼と将来について何度も話し合い、一緒に人生を歩みたいと思ったからこその決断でした。
それなのに、まるで打算だけで結婚を選んだかのように言われたことが、とても悲しかったのです。
そして何より気になったのは、親友の表情でした。祝福するというより、どこか不満そうで、私を試すような口調だったことが心に残りました。
その日は何とか会話を続けましたが、帰り道はモヤモヤした気持ちが残っていました。
あとから知った親友の本音
それからしばらくして、私は別の友人と会う機会がありました。何気なく親友の話題になったとき、その友人は少し言いづらそうにこう話してくれたのです。
「実はあの子、仕事のことで悩んでいたみたい。それに、長く付き合っていた彼氏との将来も不安だったらしくて……」
さらに友人は、「あなたの結婚報告を聞いたあと、自分だけ取り残された気がしたって話してたよ」と続けました。
もちろん、あの日言われた言葉が悲しかった事実は変わりません。でも同時に、彼女なりの焦りや不安があったのかもしれないと思えたのです。
その後、親友とは自然と距離ができてしまいました。寂しさもありましたが、あの出来事は人との関係について改めて考えるきっかけになりました。
この出来事を通して、長い付き合いの相手でも、環境や立場が変われば感じ方や価値観も変化していくのだと実感しました。以前は当たり前のように共有できていたことでも、置かれている状況が変われば受け取り方は変わるのかもしれません。
だからこそ、人との関係は「昔と同じはず」と思い込まず、その時々の相手の気持ちにも目を向けることが大切なのだと感じています。
著者:春野風/20代女性・1児の娘を育てている母親。趣味はドラマ鑑賞。
イラスト:マメ美
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
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