え、バカにされてる!?
せっかくのご縁と思い、笑顔で接していた私。しかし、そのママとの会話の節々で、違和感を覚えるようになります。
「パパさん、平日から公園なんてお仕事はお休みですか? いいなー、時間はたっぷりありそうで」 「ていうか、公園だからってその服……部屋着みたいだけど、そのまま出歩けちゃうタイプ?(笑)」
遠回しに私たちをバカにするような嫌味を言われてびっくり。夫は暇なわけではなく、引っ越しの片付けのために有休を取ってくれただけ。私の服だって、子どもと遊ぶならと、汚れてもいいスウェットを選んだだけなのに……。初対面での思わぬ言葉に正直モヤッとしましたが、ご近所だし波風は立てたくないと、私は適当に笑って受け流すことにしました。
3階なんだ?(笑)
数日後、マンションのエレベーターの中で例のママに再会しました。こちらがあいさつをしても軽く会釈されるだけで、なんだか気まずい雰囲気……。すると、私が行き先ボタンを押したのを見て、彼女はフッと鼻で笑いました。
「へえ、3階なんだ? うちは30階だから、景色もいいし虫も来ないし、けっこう快適だよ。まあ、お値段はそれなりにしちゃうけどね(笑)」またしても露骨なマウント。「まぁ、便利で住みやすいですよ」と適当にスルーしたのですが、彼女からの嫌味は私だけにとどまらず、なんと娘にまで及びます。
ある日、娘が「同じクラスの子に、『パパがニートだから、下の階にしか住めないんだね』って言われた……」と落ち込んで帰ってきたのです。あのママが家で私たちのことをおもしろおかしく話しているのでしょう。親のくだらない見栄に子どもを巻き込むなんて……と、怒りを通り越してすっかりあきれ果ててしまいました。
恥をかかせようとしたけれど…
数日後、例のママの息子くんの誕生日パーティーに呼ばれた私と娘。できれば遠慮したいところでしたが、子ども同士の付き合いもあるし、「プレゼントを渡したい」と言う娘のために、親の感情は割り切って出席することにしました。
当日、お祝いとしてオードブルを持参し、他の招待客のママたちとエントランスで合流。一緒のエレベーターで彼女の家の玄関へ向かいました。インターホンを鳴らすと、彼女の旦那さんがドアを開け、なぜかひどく申し訳なさそうな顔で立っています。
「あ、あの……本当に申し訳ありません。妻が何か勘違いをしているようでして、『招待していない方がいる』と奥で言い張っていて……。何かの手違いだと思うのですが……」
なんと彼女は、他のママたちの前で私を玄関払いして恥をかかせようと、わざとパーティーに呼び出していたのです。「えっ、ちゃんと招待されたのに……どういうこと!?」突然の理不尽な状況に驚き、頭が真っ白になりかけていると、次の瞬間、旦那さんが私の顔をまじまじと見て言いました。
「あれっ、もしかして……あなたは!?」
大きな勘違い
そのとき、部屋の奥から例のママが出てきました。玄関にいる私を見て、彼女はわざとらしく驚いたような顔を作ります。「あれ? 今日はお呼びしてないはずだけど……。あ、夫にあいさつしてくれたの? うちの人、メディア系の会社を経営していて。ちょっとお付き合いする層が違うっていうか……だから今日はごめんね?」
しかし、旦那さんは慌てて彼女を制しました。「おい! 失礼なことを言うな! この方は、うちの会社が何度も取材をお願いしては断られている、あの人気レストランのオーナー様だぞ!?」 「……はぁ? 何言ってるの? この人たちは低層階の3階で、うちは30階……」
状況が飲み込めずキョトンとする彼女に、旦那さんが続けます。「あちらのご主人は共同経営者で、今まさに新店舗の準備で飛び回っているすごい方なんだぞ! それに、今日お前がみんなに出した料理だって、あの店のオーナーがブログで紹介しているレシピを真似したって言っていただろ!?」真相を聞かされた例のママは顔を真っ赤にして気まずそうにしています。
「3階のキッチンで作った味ですけど、高層階の方のお口に合うといいんですが(笑)」私が笑顔で手土産のオードブルを差し出すと、旦那さんは「とんでもない! ぜひプロの味を皆さんに振る舞ってください! うちの妻にも勉強させます!」と大歓迎。結果的にパーティーでは、私の持参した特製オードブルが大好評! 主役の男の子やお友だちからも「おいしい!」と喜んでもらえて、大満足の一日になりました。
◇ ◇ ◇
住む階数や服装など、表面的なことだけで人を判断するのは非常にもったいないことです。一見しただけではわからない魅力や、その人なりの事情があるもの。人との関わりは、表面的なステータスではなく、しっかり中身に目を向けていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。