SNSで出会った彼と婚約することに
SNSで知り合ったA男は、メッセージのやり取りも丁寧で誠実そうな人でした。
何度か食事を重ねるうちに交際が始まり、半年後にはプロポーズを受けました。私は迷わず承諾し、「この人となら幸せな家庭を築けそう」と思っていたのです。
ところが、婚約後しばらくしてから彼の様子が変わり始めました。連絡の頻度が減り、会う約束もなかなか決まりません。
心配になって理由を尋ねると、彼は「母親が入院していて、バタバタしているんだ」と話しました。
「母の治療費を貸してほしい」と言われ…
後日、詳しい話を聞くために近所のファミレスで会うことになりました。
彼は母親の入院や治療費の負担について話したあと、申し訳なさそうにこう言いました。
「本当に情けない話なんだけど、治療費の支払いが重なってしまって……。50万円ほど必要なんだ。落ち着いたら必ず返すから、貸してもらえないかな」
突然の話に、私は言葉を失いました。50万円は決して小さな金額ではありません。彼のために何かできればと思う一方で、その場ですぐに返事をすることはできませんでした。
そのときです。
「お姉ちゃん、これ落としたよ」
小学生くらいの女の子が私のそばにやってきて、ハンカチを差し出しました。私が戸惑っていると、女の子は「こっそり見てね」とだけ耳打ちし、自分の席へ戻っていったのです。
不思議に思いながらハンカチを広げた私は、思わず目を疑いました。そこにはたったひと言、こう書かれていたのです。
「すぐにげて!」
ハンカチを渡した女性の正体
驚いて顔を上げると、女の子の隣に座っていた女性と目が合いました。女性は軽く会釈すると、顔を伏せながら席を立ち、そのまま店の外へ出ていったのです。気になった私は彼に「少し電話してくるね」と伝え、女性を追いかけました。
私がお店の外に出ると、女性は申し訳なさそうに頭を下げました。
「急にこんなことをしてごめんなさい。さっきハンカチを渡した子は親戚なんです。私が直接行くとA男さんに気づかれてしまうので……」
そして女性は、自分も以前A男と婚約していたことを明かしたのです。
その女性は、かつてA男から「母親の治療費が必要だ」と言われてお金を貸したことがあるそうです。しかし後になって、母親は入院していなかったことがわかり、大きなショックを受けたのだとか。
A男を問い詰めた結果、お金は返してもらえたものの、そのまま別れることになったそうです。
「正直、もう関わりたくなかったんです。でも、昔の自分を見ているみたいで放っておけなくて……」
突然の話に戸惑いましたが、あまりにも状況が似ていたため無視することもできませんでした。
私が席へ戻ろうとすると、女性は「少しでも気になることがあったら連絡してください」と言って、連絡先を書いたメモを渡してくれました。
彼と話し合うことを決意!
結局、その日はお金を貸す約束はせずに帰宅しました。そして後日、私は彼ともう一度きちんと話し合うことを決めたのです。
「お母さんに直接会わせてほしい」
そう伝えると、彼は困ったような表情を浮かべ、「今は体調が安定していないから難しいんだ」と答えました。
それを聞いた私は、胸の中にあった疑問をぶつけることにしました。
「実は、この前のファミレスで、あなたの元婚約者だという女性に会ったの」
そう言いながら、女性から渡された連絡先を見せた瞬間、彼の表情がこわばりました。
「あなたにお金を貸したことがあるって聞いたよ。それに、お母さんは入院していなかったとも……。本当のことを教えてほしい」
私がそう言うと、彼は視線を落としました。
彼の口から明かされた真実
しばらく沈黙したあと、彼は面倒くさそうに息を吐きました。
そして、母親は入院しておらず、病気という話も事実ではないことを認めたのです。実際には借金を抱えており、その返済に困っていたのだとか。
私は大きなショックを受けました。お金のこと以上に、結婚を約束した相手が平然とうそをついていたことが悲しく、その瞬間に結婚への気持ちは消えてしまいました。そして私は、その場で婚約を解消することを伝えたのです。
婚約解消後も、彼からは何度も連絡がきました。しかし内容は謝罪よりも借金の相談ばかりで、私は最後まで返信しませんでした。
もしあの日、あの女性が真実を教えてくれなければ、私は彼の言葉を信じたまま、お金を貸していたかもしれません。
人を信じることは大切ですが、大きな決断をするときほど冷静さも必要です。相手の言葉だけで判断せず、事実を確かめることの大切さを学んだ出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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