「年収1000万以上の人だけ呼ぼうかな♡」
私の夫は以前、大手企業で働いていました。しかし激務で体調を崩して退職。その後はフリーランスとして独立し、自分のペースで仕事を続けていました。ありがたいことに仕事は順調で、生活に困るようなことはありませんでした。
しかし、そんな夫に対しても、婚約後のA子は見下すような発言をするようになりました。
「旦那さん、会社辞めたんでしょ?w」
「フリーランスって、ほぼ無職みたいなものじゃない?」
さらに、友人たちと集まって食事をした日のことです。A子はその日も、婚約者の年収や将来の話を誇らしげに語っていました。
「外資系企業だし、将来的には海外勤務の可能性もあるんだって」
「式場もすごく素敵なところに決めたの。ゲストにも絶対驚かれると思う♡」
そして、ひとしきり自慢話をしたあと、ふと思いついたようにこう言ったのです。
「そうだ。結婚式、年収1000万以上の人だけ呼ぼうかな♡」
正直なところ、その発言を聞いたとき「私は呼ばれないのかな」と思いました。ところが、その後しっかり招待状は届いたのです。しかもA子から、「新郎側の招待客も多いから、旦那さんも一緒に来てね」というメッセージまで送られてきました。
豪華な結婚式と、浮かない新郎
そして迎えた結婚式当日。
挙式会場に現れたA子は、まるで雑誌の中から出てきたような美しさでした。豪華なドレスもよく似合っていて、幸せそのものという表情を浮かべています。
ところが、その隣に立つ新郎は違いました。笑顔は見せているものの、どこか無理をしているように見えたのです。
さらに新郎側の同僚たちも、どことなくぎこちない雰囲気でした。私だけでなく、周囲の参列者も何となく違和感を覚えていたように思います。
「これが噂の無職の旦那?w」
挙式が終わり、披露宴会場へ移動する前のウェルカムスペースでのことです。私たち夫婦がA子に声をかけると、A子は夫の顔を見るなり笑いました。
「あ、この人が噂の無職の旦那さん?」
さらに、「年収制限の話、忘れちゃったの?w」と続けたのです。
あまりに失礼な発言に私は絶句しました。それでも波風を立てたくなくて、「大丈夫だから」とだけ返しました。するとA子は夫に向かって、「やっぱり安定した会社員って安心ですよね~」と笑ったのです。
その瞬間、それまで黙っていた新郎が低い声で言いました。
「もうやめてくれ」
A子が驚いたように振り返ると、新郎は苦しそうな表情を浮かべながら、「俺、もう限界なんだ」と言ったのです。
新郎の告白で会場は騒然!
新郎は少しうつむいたあと、重い口を開き、少し前に会社から退職勧奨を受けていたことを明かしました。
何度もA子に話そうとしたそうです。しかしA子は年収や肩書き、海外赴任の話ばかりで、とても切り出せる雰囲気ではなかったのだとか。気づけば、そのまま結婚式当日を迎えてしまった――そう語ったのです。
そのやり取りは周囲にも聞こえていたようで、友人たちの間からざわめきが起こり、A子もみるみる青ざめていきました。
すると、A子が言葉を絞り出すように「え……じゃあ年収はどうなるの?」と口にしました。しかし、新郎は目を閉じたまま、何も答えませんでした。
結局、そのまま披露宴は始まりました。予定どおり進行したものの、会場には何とも言えない重苦しい空気が漂っていたのです。
本当に大切なもの
お見送りの時間になり、私たち夫婦も帰ろうとしていたときです。夫が新郎に、「いろいろ大変でしたね」と声をかけると、新郎は苦笑いしながら頭を下げました。
すると夫は、「もし何か力になれることがあったら言ってください」と続けたのです。驚いた表情を浮かべる新郎に、夫は自分の経験を話し始めました。
以前は新郎と同じ業界で働いていたこと。しかし体調を崩して退職し、その後は独立して仕事を続けてきたこと。そして現在は法人化し、大手企業との取引も増えていることを伝えたのです。
「独立当初は不安もありましたが、今では会社員時代より収入も増えています」
「会社員だけが人生じゃありません。道はいくらでもありますよ」
その言葉に、新郎は深く頭を下げました。一方でA子は、ただ呆然と立ち尽くしていました。
今回の出来事で改めて感じたのは、人の価値は肩書きや年収だけでは決まらないということです。どんな仕事をしているかよりも、相手が苦しいときにどんな言葉をかけられるか。その違いがはっきり見えた結婚式でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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