独身、無職はつらい?
私が仕事を辞めたのは、少し前のことです。
会社の体制に変化があってから環境が合わなくなり、心身を立て直すために退職しました。独身で実家暮らしだったため、両親には事前に相談し、しばらくは実家でゆっくりすることに。ある程度休んだあとの生活については、自分なりに考えていました。
そんなある日、弟の妻である義妹からメッセージが届きました。
「仕事を辞めたって本当ですか? 独身で実家暮らしなのに無職なんて、つらいですね」
「職場で嫌われちゃったんですか? かわいそう」
たしかに退職の理由には人間関係の悩みもありました。けれど、義妹が想像しているような「独身だから惨め」という話ではありません。モヤッとしたものの、私は「いろいろ考えたうえで自分で決めた退職なので、心配しなくて大丈夫です」とだけ返信しました。
すると義妹は、「無理しなくていいんですよ。家庭がある人を見るのって、独身の人にはきついですもんね」と、さらに決めつけるようなメッセージを送ってきて……。
何を言っても無駄だろうなと思い、私は返信をやめました。
母に同居をせまっていた義妹
この日の夜、私は母にこのことを話しました。
「私が仕事を辞めたこと、〇〇ちゃん(義妹)に話した?」
母は少し申し訳なさそうに、「話してしまった」と言います。理由を聞いてみると、義妹から「そちらで同居したい」と何度も相談されていたと言うのです。
実家は決して広い家ではありません。両親はすでに弟夫婦に、「同居は難しい」と伝えていたとのこと。ところが義妹は、「お義姉さんが出ていけば部屋が空きますよね」と言ったそう。
つまり、義妹にとって、実家にいる私は同居の邪魔な存在だったのでしょう。私が仕事を辞めたと知り、「独身で無職なのだから出ていくべき」と言いやすくなったと思ったのかもしれません。だからあんなふうに、わざわざ私を見下すような連絡をしてきたのだと、このとき腑に落ちました。
とはいえ、なぜそこまで同居にこだわるのか。最初はわかりませんでした。
けれど後日、義妹から届いたメッセージで、なんとなく理由が見えてきたのです。
「結婚式や新婚旅行のとき、たくさん援助してもらいましたし、ご両親には感謝しているんです」
「これからは私たちが一緒に暮らして、親孝行したいんです」
言葉だけなら立派です。けれど、その後に続いた「ご両親って、かなり余裕があるんですね」という言葉に引っかかりました。
もしかして、義妹は両親にお金があると思っているのではないか。そう考えると、これまでの言動にも納得がいったのです。
実家を出て、新しい暮らしをスタート
しばらくして、私は実家を出ることにしました。
もともと退職後は少し休んだら実家を出たいとも思っていましたし、両親が義妹からの同居の話に悩まされ続けているのを見るのもつらかったからです。
すると、義妹からすぐに連絡が届きました。
「ついに出ていってくれるんですね。これで私たちが同居できます」
私は、「同居するなら、両親の生活や気持ちを大切にしてね」とだけ伝えました。すると義妹からは、「もちろんです。お義姉さんより、私たち夫婦のほうが親孝行できますから」「お義姉さんは独身だし、孫の顔も見せられないですもんね」と返ってきて……。
ここまで言われて黙っている必要はないと感じました。義妹が両親のことを本当に思っているのではなく、援助のことばかり気にしているように見えたからです。
「結婚式や新婚旅行の援助だけど、実はかなりの部分を私が出しています。両親に余裕があると思っているなら、それは少し違うかもしれません」
そう伝えると、義妹からの返信は途絶えました。
弟夫婦の結婚式や新婚旅行については、両親から相談され、私も少し援助していました。弟夫婦に気をつかわせたくなかったので、表向きは両親からの援助という形にしていたのです。
私は結婚願望が強いわけではなく、仕事を辞めた今は結婚のことも考えていません。だからこそ、弟夫婦には必要以上にプレッシャーを感じず、楽しい時期を過ごしてほしいと思っていました。
それを義妹が「両親に大きな貯金がある」と勘違いしていたのだとしたら、とても残念に思えました。
両親を守るために
その後、弟夫婦は一時的に実家で同居することになりました。私も新しい住まいへ引っ越し、ひとりの生活をスタートさせていました。
弟は、義妹の「親孝行したい」という言葉を信じていたようです。私や両親が不安を口にしても、「同居してみないとわからないし、最初から疑うのもよくない」と話していました。
しかし、同居が始まってしばらく経ったころ、母から疲れた声で連絡がありました。
義妹は「親孝行したい」と言っていたものの、実際には家事をほとんどせず、両親の生活に口を出しては悪態をつくこともあったそうです。さらに生活費の話になると不機嫌になり、以前口にしていた「親孝行」とはほど遠い状態だったとのことでした。
弟も何度か注意していたそうですが、義妹は「私は気をつかって同居してあげているのに」と言い返し、まともに話し合いにならなかったようです。
両親も気をつかい、次第に疲れてしまっていました。
心配になった私は、「しばらくうちで過ごす?」と提案。長期滞在になっても問題ないか管理会社にも確認し、両親には数日間、私の家でゆっくりしてもらうことにしました。
その際、弟にも事情を伝えました。私が、義妹から送られてきたメッセージや、両親の貯金を気にしているような発言を話すと、弟はかなり驚いていました。義妹が私にそこまで言っていたことを知らなかったようです。
弟には、何かあったときの連絡先として私の住所を共有しました。すると、それを知った義妹が住所を検索したようで、すぐに連絡が届いたのです。
「え、タワマンに住んでるんですか? ずるいです。そんなところに住めるなら、私たちも一緒に住ませてください」
たしかに、私が新居に選んだのはいわゆるタワーマンションでした。でも、見栄を張るために選んだわけではありません。駅に近く、防犯面も安心でき、退職後の生活を自分自身で立て直していく場所として、ちょうどいいと思ったからです。退職前からの貯蓄もあり、しばらくは生活に困らない見通しがあったことも決め手でした。
義妹が気にしていたのは、両親の体調でも同居の反省でもなく、やはりお金や住まいのこと――。そうわかってしまい、本当に残念な気持ちになりました。
私は、「ここは私の生活を立て直すために借りた部屋です。誰かを住まわせるための場所ではありません」と返信しました。
その後、両親と弟は改めて話し合い、同居を解消することに。弟夫婦には出ていってもらうことになりました。
義妹は納得していなかったようでしたが、弟からは「もっと早く気づくべきだった」と謝罪の連絡が。義妹の言動について、夫婦で改めて話し合うと言っていました。
今は両親も実家で落ち着いた生活を取り戻し、私も新しい環境で少しずつ前を向けるようになりました。義妹の言葉に傷ついたことは事実ですが、結果的には、家族にとって何が大切なのかを見直すきっかけになったのだと思っています。
※写真はイメージです
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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