妹をひとりにさせられない…
父を早くに亡くした僕は、母と年の離れた小学生の妹と3人で暮らしています。ある日、社会人1年目の僕のもとにも社員旅行の案内が届きました。参加は強制ではありませんでしたが、行ってみたいと思ったのです。しかしその矢先に、母が3日間の検査入院をすることに。社員旅行と母の検査入院の日程がちょうど重なってしまいました。
僕が社員旅行に行ってしまうと、妹は3日間ひとりで過ごすことに……。さすがにそれはできないため、残念ですが社員旅行は見送ることにしました。
大声で不満を言う男性社員
数日後、社内を歩いていた僕は、会社のマドンナ的存在である先輩女性から声をかけられました。彼女は社員旅行の幹事を担当していたのです。
「不参加で回答をもらっているけれど、どうしたの?」と僕のことを心配している様子だったので、僕は「ちょっと家庭の事情で…」と、不参加の理由を正直に打ち明けました。すると彼女は「だったら、妹さんも一緒に連れて参加すれば問題ないよ!」とひと言。家族同伴でも大丈夫なことや、旅館の近くにテーマパークがあることを教えてくれたのです。その話を聞いて、僕は「自分も参加できるし、妹も喜びそう」と思いました。
こうして僕は妹を連れて社員旅行に参加することを決意。妹に聞いてみると、「行ってみたい!」とのことだったので、当日は社員旅行へと連れて行くことにしました。
旅行当日、彼女も含め女性社員の多くが僕や妹を気にかけてくれました。しかし、一部の男性社員たちから不満を抱かれてしまって……。旅行初日の宴会中には、「あーあ、子ども連れてくるとか、面倒くさっ!」や「社員旅行に子どもと来るなよな。帰ればいいのに」などといった心ない言葉を、周囲にも聞こえるような大声で話していました。その瞬間、僕はいたたまれない気持ちになってしまいました。
非常識なのはどっち?
これ以上宴会場にいるのはつらいと感じた僕は、妹を連れて客室に戻ろうとしました。そのとき、そばにやってきてくれたのが先輩女性でした。
彼女は「事前の全体周知が漏れていたのは私のミスですが、私が参加を承諾していますし、もともと社員旅行は家族が参加しても良いんですよ」と、僕に代わって説明。さらには彼らに「今になって本人の前で文句を言うあなたたちのほうが非常識なんじゃないですか?」と伝え、擁護してくれたのです。憧れの先輩が、まさか僕のことをかばうとは思っていなかったのか、男性社員たちは真っ青になっていました。
宴会場から立ち去った後、僕は彼女に話しかけてお礼を言いました。そこで会話を続けていくうちに、彼女自身が子どもだったころに何度も社員旅行に参加していたことを知りました。
そのうえで「自分は親がいなくてさみしい思いをしたから、妹さんには同じ思いをさせたくなくて。あなたが家族を大切にする姿を見て、久しぶりにあたたかい気持ちになれたよ。だから今日はありがとう!」と、お礼を言ってくれました。
先輩が一喝!
社員旅行が終わっても、一部の男性社員たちの僕への不満は収まらなかったよう。数日後、僕は「俺らが先輩と飲めるようにしろ。また子どもを連れてこられると困るから、お前はセッティングだけな」と言われてしまいました。
しかしこのときも、会話を聞いていた彼女が間に入り、「それはできません」と彼らを一蹴。これらの出来事がきっかけで、僕は彼女とプライベートでも連絡を取り合うようになりました。妹も彼女にすっかりと懐いたため、3人で休日を過ごす機会もどんどん増えていったのです。
頼もしくて、誰よりもやさしい先輩。一緒に過ごしていくうちに、僕にとって彼女は職場の先輩以上の特別な存在になりつつあります。この大切な縁を、これからもゆっくりと育んでいきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!