夫はトラブルメーカー
近所の人から、夫がまた揉め事を起こしていたと聞かされました。話を聞くと、Aさんが洗車をしていたときに、水しぶきが夫の服に少しかかったそうです。Aさんはすぐ謝ったようですが、夫はその場で声を荒らげ、車にも手をついたとのこと。傷がついたかどうかはまだ確認中でしたが、夫の態度は明らかに行き過ぎていました。
ここ最近、似たようなトラブルが続いていました。
帰宅した夫に事の次第を聞いてみると、「は? 喧嘩なんてしてねーし、ちょっと言い合いはしたけど」「あの服、買ったばかりだったんだよ! 人気でなかなか手に入らないブランドのやつなんだから、ちょっと水がかかっただけでも腹立つだろ」と自分に非は一切ないと主張してきました。
とりあえずAさん夫婦に謝りに行かないと……。これまでご夫婦には何かとお世話になっていただけに、気まずくてたまりません。
私は夫に、まずは一緒に謝りに行こうと伝えました。けれど夫は、悪いのは相手だと言い張り、なかなか動こうとしません。これ以上ご近所との関係を悪くするわけにはいかないため、私は「今回のことをきちんと謝れないなら、今後一緒に暮らしていくこと自体を考え直したい」と伝えました。夫はようやく黙り込み、しぶしぶ謝罪に行くことになったのです。
夫婦そろって謝罪に行くと、Aさん夫婦は事情を聞いてくれました。車の状態もその場で確認し、今回は大きな傷はなさそうだからと受け止めてくれたのです。私はほっと胸をなでおろしました。
しかし、夫は反省していなかったのです……。
限界に達したので…
1カ月後――。
ある日、夫の知人から連絡がありました。夫が口論の末に相手の胸ぐらをつかみ、相手が転んでけがをしたというのです。警察にも相談したと聞き、私は血の気が引きました。
夫は、先に侮辱されたから自分は悪くないと言い張りました。けれど、どんな理由があっても手を出していいことにはなりません。
相手には私からも謝罪し、治療費や壊れた眼鏡の修理代については、夫本人が責任を持って対応するよう伝えました。結局、夫だけでは話が進まなかったため、相手方と連絡を取り、治療費などを支払うことでいったん落ち着きました。ただ、私はこれ以上、夫の代わりに前へ出て収め続けることはできないと強く感じました。
夫はその後も、「向こうが大げさなんだ」「俺だけが悪いわけじゃない」と言い続けました。何か起きるたびに謝るのは私。説明するのも、相手とのやり取りを整えるのも私。自分の非を認めず、責任転嫁してばかりの夫に、私は限界を感じていました。
私は夫に、しばらく別居すると伝えました。ご近所トラブル、知人との揉め事、そして毎回の責任転嫁。何か起きるたびに私が謝り、支払い、場を収める生活はもうこれ以上できないと思ったからです。
夫はすぐ戻るだろうと軽く考えていたようですが、私は必要な荷物だけをまとめ、夫には当面の滞在先を伝えないことにしました。実家に行けばすぐ押しかけてくる可能性があると思ったからです。今後の連絡は電話ではなく、記録が残るメッセージに限定すると決めていました。
トラブルを起こしてばかりで一切謝らず、自分の責任を私に押しつけてくる夫とは、もう暮らしていけません。お金だけでなく、時間まで無駄にしてきたように感じ、なぜここまで我慢してきたのだろうと、悔しさばかりが残りました。
義母の葬儀!?
別居から1週間ほどたったころ、夫から何件も着信がありました。電話には出ず、メッセージで用件を聞くと、夫は「母さんが急に亡くなった。通夜のことで話があるから、すぐ来い」と送ってきました。場所と時間を指定され、ひとりで来るよう念を押されます。義母にはお世話になっていたため、私は一瞬動揺しました。
けれどその直後、義母本人から電話がかかってきたのです。内容は、私の体調を気遣うものと、以前送ると言っていた荷物の確認でした。私は夫から届いたメッセージの内容を義母に伝え、指定された場所には行かず、義実家で義両親と会うことに。
夫に指定された時間を過ぎたころ、怒りのメッセージが届きました。
「母さんが亡くなったのに、葬儀に来ないのか!?」
「父さんも激怒してるぞ! 」
私は義実家で、義両親と一緒にその画面を見ていました。
「今、義両親と一緒にいるけど?」
そう返すと、夫から「え?」と返信があり、その直後に電話がかかってきました。
実は、夫は少し前に義実家へ来て、「妻の居場所を教えろ」「どうしても会う必要がある」と強い口調で迫っていたそうです。義母はその様子にただならぬものを感じ、私がひとりで夫に会うのは危ないと思ったとのこと。そこで、私に電話をくれ、その後も義実家でそばにいてくれたのです。
夫の嘘がはっきりすると、その場で義両親は深く頭を下げました。夫の言動を知り、驚きと申し訳なさでいっぱいだったようです。義母は、夫が私を呼び出すために自分の死を装った可能性があることを、必要なら第三者にも説明すると言ってくれました。
夫は電話口で言い訳を続けましたが、私はもう直接会うつもりはありませんでした。その後は義両親にも事情を共有し、夫とのやり取りは記録が残る形に限定しました。自治体の相談窓口や専門家にも相談し、別居を続けながら離婚の条件を整理することに。
夫は途中でやり直したいと言ってきましたが、私の気持ちは変わりませんでした。ご近所トラブルも、知人との揉め事も、今回の嘘も、すべて私に後始末をさせようとしてきた結果です。時間はかかりましたが、最終的に離婚は成立。私は夫に居場所を知られないよう、生活の拠点を移しました。
義母はその後、自分たちに何かあったときの連絡先を、夫だけにしていたことを見直し始めたそうです。病院や親族への連絡、必要な手続きについても、夫任せにしないよう少しずつ整理していると聞きました。親子であっても、無条件に信頼できるとは限らない。義母のその判断が、妙に心に残りました。
生活の拠点を移したことで、仕事も見直すことになりました。大変ではありましたが、今は以前より落ち着いた生活を送れています。元夫とは必要な連絡もなくなり、これ以上関わらないための距離を保ちながら、自分の生活を立て直しているところです。
◇ ◇ ◇
トラブルを繰り返す相手を支え続けていると、いつの間にか「自分が何とかしなければ」と抱え込んでしまうことがあるのでしょう。けれど、家族であっても、相手の問題まで背負い続ける必要はないはずです。違和感や不安を見過ごさず、早めに距離を置く判断が、自分の生活を守る一歩になるのかもしれませんね。