夫は缶コーヒーを手渡し、先輩に休憩をすすめました。
「まあこのコーヒーは青山からもらったやつなので、実質青山のおごりっすけど!」
「人からもらったものを目の前で渡すとか、ひっでえやつ!」
「やっぱノンデリだな!」
夫があえてノンデリであるかのような演技をしたことで、先輩の気分は良くなったようです。
「青山、ありがたくいただくわな~!」
先輩は上機嫌で去っていきました。夫たちのやり取りを見ていた同僚は、やや気まずそう。じつはその缶コーヒー、彼女が買った物ではなかったのです。
同僚をノンデリ先輩から庇った結果








「先輩が俺を『ダサい』って言ったとき、青山が『ダサくない』ってかばってくれたことが本当にうれしかったんだ」
夫は自分のせいで同僚が先輩と険悪になってほしくなくて、自分で買った缶コーヒーを彼女が買ったことにしたのでした。
それを聞いた同僚は、あんなノンデリな先輩になんて嫌われてもいい、同期のほうが大事だと言ってくれました。
「さっきのコーヒーは素の気配りじょうずだったよ!」
同僚からそう言われて、夫はじわじわと噛みしめるものがあったようです。
「そうか……俺……ついに本物の『気配りじょうず』になれたんだ……!」
今まで、気を使っているつもりで相手を不快にしてきた夫ですが、気配りじょうずな人の行動をまねすることで、いつの間にか自然な気配りができるようになり、うれしくなったのでした。
◇ ◇ ◇
最初はコウさんの行動をまねることから始めた、夫の気配り。「やってみよう」と意識して続けているうちに、今回のように咄嗟の場面でも自然と相手のために動けるようになっていました。
何かを身につけようとするとき、最初からうまくできなくても、意識して続けることでいつの間にか自然とできるようになることがありますよね。「まねる」ことを出発点に、少しずつ自分のものにしていく。そんな積み重ねが、人としての成長につながっていくのかもしれませんね。
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ミント