先輩が上機嫌で去ったとき、同僚はいささか気まずそうな顔をしました。夫は同僚からもらったという缶コーヒーを先輩に渡し、休憩をすすめたのです。
人からもらった物をまた別の人に、しかも堂々ともらった人の前で渡すなんてまさにノンデリだと、先輩は半ば愉快そうでした。
「先輩が俺を『ダサい』って言ったとき、青山が『ダサくない』ってかばってくれたことが本当にうれしかったんだ」
夫は自分のせいで同僚が先輩と険悪になってほしくなくて、自分で買った缶コーヒーを彼女が買ったことにしたのでした。
それを知った同僚は、ますます夫を褒めました。
「さっきのコーヒーは素の気配りじょうずだったよ!」
「そうか……俺……ついに本物の『気配りじょうず』になれたんだ……!」
夫の顔から、思わず笑みがこぼれました。
気配りマスター降臨!








「『気配り』最高すぎるだろ!」
自然な気配りができて、しかもそれを相手に褒められて感謝されたことで、上機嫌になった夫。妻の由美さんにも好物を買って帰ることにしました。
そして、帰宅すると早速気配りじょうずを発揮。
「俺、こころと風呂入ってくるよ」
「えっ、助かる」
「あとこれ、お土産に由美が好きなデザート買ってきた!」
「え、お土産まで!?」
次々続く気配りに由美さんは喜んでくれているようですが、お土産のプリンを見て困惑します。それは、妊娠中の由美さんは食べることのできない、アルコール入りのプリンだったのです。
「ありがとう。でもせっかく買ってきてくれたのに悪いんだけど、私は食べられない……」
由美さんの言葉に、夫は落ち込んでしまったのでした。
◇ ◇ ◇
妻のために好物を買って帰るという気持ちはとても素敵ですが、妊娠中でアルコールを気にしているという状況を把握できていなかったことで、せっかくの気配りが空振りになってしまいましたね。
良かれと思った行動も、相手の今の状況をきちんと把握していないと、逆に相手を困らせてしまうことがあります。気配りの本質は、相手のために何かをすることだけでなく、相手が今どんな状況にあるかをよく見て、知ることにあるのかもしれませんね。
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ミント
