それは義母。私が働き始めることを知った義母は、「本当に働くつもりなの?」「家で仕事なんてできるのかしら」と何度も言ってきたのです。
仕事部屋に勝手に入ってくる義母
在宅で仕事を始めてからというもの、義母は「掃除をするから」と言って、私の仕事部屋へ勝手に入ってくるように……。
オンラインで打ち合わせをしている最中でもお構いなしだったため、私は思い切ってお願いしました。
「掃除は自分でしますので大丈夫です」
「打ち合わせ中のこともあるので、急に入ってこられると困ります」
すると義母は不機嫌そうな顔をして、「私が入るのが嫌だっていうの?」「仕事で掃除がおろそかになってるから、私がやってあげようとしているのに」と怒り出してしまいました。
その後、夫も何度か注意してくれましたが、義母は聞き入れようとしません。私は「価値観が違うだけなんだ」と自分に言い聞かせ、できるだけ波風を立てないように過ごしていました。
大切な書類を燃やされた日
そんなある日の午後、義父から声をかけられた私。
「これ、大事な書類だから書類ケースに入れておいてくれるか?」
受け取った書類には、『重要』と書かれた付箋が貼られていました。そのときインターホンが鳴ったため、私は自分の机の上に書類を置き、そのまま玄関へ向かいました。
数分後、部屋へ戻ると、義父から受け取った書類がありません。慌てて家中を探すと、庭から義母の声が聞こえてきました。
「紙ゴミは落ち葉と一緒に燃やさなきゃ♡」
嫌な予感がして庭へ飛び出すと、義母が落ち葉焚きの中で燃やしていたのは、さっき義父から預かったばかりの書類でした。炎の中で、『重要』と書かれた付箋が黒くなっていくのが見えました。
義父がわざわざ『重要』と書いたメモを貼るほど大切な書類だったにもかかわらず、義母は私の部屋から書類を勝手に持ち出し、落ち葉焚きの火の中へ放り込んでしまったのでした。
「何をしているんですか!」
思わず大声を上げると、夫も駆けつけました。燃えていく書類を見た夫は顔色を変え、「母さん、何てことをしたんだ!」「それ、父さんの仕事で必要な書類だぞ!」「それに、落ち葉焚きに便乗してゴミを燃やすなんて近所迷惑だし、法律違反だって知らないのか!?」と叫びました。
義母はようやく状況を理解したようで、「えっ……お父さんの書類だったの?」「私、あなたの仕事の書類だと思って……」と真っ青に。どうやら義母は、私が机に書類を置いたところだけを見て、「私の仕事を邪魔してやろう」と思い込み、持ち出してしまったようでした。
義母の本音
私は深呼吸をしてから、静かに義母へ伝えました。
「また私の仕事を邪魔しようとしたんですよね。でも、私は家族のためにも、自分のためにも働きたいんです」
「お義母さんの考え方を否定するつもりはありません。ただ、私の生き方まで否定されるのは、もう耐えられません」
夫も続けて、「母さん、もう二度とこんなことはしないでくれ」と真剣な表情で話しました。
さらに事情を知った義父も義母を厳しく叱り、「嫁に対して嫌がらせを続けるなら、この家では一緒に暮らせない」とはっきり告げました。
しばらく黙っていた義母は、小さな声で言いました。
「昔は私も働きたかった。でも、義両親に反対されて、結局あきらめたの」
「だから、あなたがうらやましくて……ごめんなさい」
涙を浮かべながら頭を下げた義母。すぐに気持ちを切り替えられたわけではありませんが、きちんと本音を話して謝ってくれた義母を私は信じてみることに。
なお、義父の書類は紙の原本こそ失われてしまいましたが、会社にデータが保管されており、再度印刷できたため、大きな業務上の支障にはならずに済みました。もちろん義父は、原本の再発行手続きのため関係先へ事情を説明するなどの対応に追われたようでしたが、幸いにも最悪の事態だけは避けられたことに、家族全員が胸をなで下ろしました。
少しずつ変わっていった家族
あの日以来、義母が勝手に仕事部屋へ入ってくることは一度もありません。
さらに、義母もパートとして働き始めたのです。毎日が充実しているようで、以前より表情も明るくなりました。私が仕事で忙しい時期には、家族全員の食事を作ってくれることもあり、以前のような嫌がらせはなくなりました。
夫も以前より積極的に家事や育児を手伝ってくれるようになり、家の中の雰囲気は少しずつ穏やかになっています。娘も笑顔で過ごす時間が増え、今では家族みんなが気持ちよく暮らせる毎日を送れています。
※家庭ごみなどの野外焼却(野焼き)は法律で原則禁止されています(庭先での落ち葉焚き・キャンプの焚き火など一部の軽微な焼却を除く)。ごみの処理は各自治体のルールに従って適切におこなってください。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。