「先輩に育ててもらった」と語る彼
その日は、気になっていた彼と人気の焼き鳥店へ昼飲みに出かけました。
店内は満席で、隣には20代前半くらいの男性2人組が座っていました。席が近かったこともあり、自然と会話が始まり、おすすめのお店や仕事の話で盛り上がりました。
すると彼が、「若いころは先輩によくごちそうしてもらったんだよね」と話し始めたのです。さらに、「いろんなお店にも連れて行ってもらったし、本当に先輩に育ててもらったようなものだよ」と、感謝の気持ちを語りました。
その話を聞いて、「人との縁を大切にする人なんだな」と感じ、私は彼にますます好感を持ちました。
少しずつ抱き始めた違和感
お酒が進むにつれ、彼は隣の若者たちに話しかけることが増えていきました。
「あの日本酒は飲んどいたほうがいいよ」
「若いうちはいろいろ経験したほうがいい」
若者たちは「今度飲んでみます」「勉強になります」と笑顔で話を聞いていました。
悪気はないのでしょうが、どこか”人生の先輩”として教えるような話し方が続き、私は少しだけ居心地の悪さを覚えるようになりました。
会計で見えた本当の姿
食事も終わり、お会計の時間になりました。せっかく楽しく話せたご縁ですし、彼も「先輩に育ててもらった」と話していたこともあり、私は若者たちにこう声をかけました。
「今日は私たちがごちそうしますよ」
すると若者たちは慌てて、「いえいえ、そんなわけにはいきません!」と財布から5,000円札を取り出しました。
私は「本当に気にしないで」と断りました。ところが彼は伝票を手に取ると、「じゃあ遠慮なく」と言って、2人から5,000円ずつ受け取ったのです。
ふと伝票を見ると、若者たちが注文した金額は1人5,000円にも届いていません。「あとでお釣りを返すのかな」と思って見ていたのですが、彼は何事もなかったかのように会計を済ませると、お釣りもそのまま自分の財布へしまったのです。
そして、先に店を出る若者たちを見送りながら、彼は満足そうに言いました。
「いい子たちだったね。礼儀正しかったし」
その言葉を聞いた瞬間、私の中にあった好意はすっと冷めていきました。
もちろん、おごるかどうかは人それぞれですし、年上だから必ず負担すべきだとは思っていません。
それでも、「先輩に育ててもらった」と感謝を語っていた彼の言葉と行動は、あまりにもかけ離れているように感じました。若者たちの遠慮や気づかいを当然のように受け取る彼の姿を見て、私は価値観の違いを強く意識したのです。人柄は、何気ない行動に表れるものなのだと、この出来事を通して実感しました。
著者:岡田圭/30代女性・新卒で編集プロダクションに入社後、女性誌やウェブを中心に恋愛や人間関係などのテーマで数多くコラムを執筆。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)
※AI生成画像を使用しています
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!