手のひら返しの元カノ
Aは実家が厳しく、常に周囲と比較されて育ったせいか、肩書きやお金に人一倍こだわるタイプでした。事あるごとに僕の勤め先が大企業であることを自慢げに話し、まるで自分の価値であるかのように振る舞っていました。
そんな彼女の本心を少し試してみたくなった僕。ある日、「実は今の会社を辞めて、別の道を考えているんだ」と切り出してみました。
すると、彼女の態度は一変! 「エリートじゃないあなたに価値はない」と激昂した彼女から、あっさり別れを告げられてしまったのでした。その後、彼女は社内で僕に対して強い劣等感をいだいていた直属の後輩に乗り換え、そのまま結婚した、と人づてに聞きました。
それからの僕は
あれから7年後。僕はあのとき考えていた通り、自分のスキルをより生かせそうな外資系の企業へと転職を果たしていました。新しい職場での仕事は成果主義で厳しかったものの、やりがいは十分で、着実に実績を積み重ねていくことができました。その結果、収入も前職を大きく上回るようになったのです。
私生活でも大きな変化がありました。僕の肩書きだけではなく、転職活動中の苦しい時期も笑顔で支えてくれた女性と結婚。彼女とは婚活を通して知り合い、やがてかわいい娘にも恵まれました。忙しくはありましたが、充実した、温かい家庭を築いていました。
空港での最悪な再会
ある日、僕は日ごろの感謝を込めて家族へのプレゼントとしてハワイ旅行を計画。妻も娘もとても喜んでくれました。旅行当日、家族3人で空港の出発ロビーを歩いていると、後ろから、「あれ? 先輩じゃないですか!」と聞き覚えのある声がして……。振り返ると、そこにはAと、Aと結婚した後輩の姿がありました。
後輩は僕より先に昇進できなかった過去を根に持っていたのか、Aと一緒ににやにやと意地の悪い笑みを浮かべました。Aは、「大企業を辞めてどうなるかと思ったら…どうせ格安航空券で安い国にでも行くんでしょ?」と、これみよがしにマウントを取ってきたのです。
しかしその直後、僕の横にいた5歳の娘が、不思議そうな顔をして純粋な声を響かせました。
「ねえパパ、惨めってなぁに? 私たちもこれから広いソファのお部屋でジュースを飲んでから、ベッドになるお席の飛行機に乗るんだよね?」
急に眼の色を変えた元カノ
娘の無邪気なひと言を聞いたAと後輩は、「え…?」と凍りついていました。そんな2人を置いて、僕たちがビジネスクラス専用のチェックインカウンターへ向かって歩き出すと、エコノミークラスの長い列に並ぼうとしていたAが急に焦り出しました。
現在の僕のステータスを察したのでしょう。後輩がパスポートを探すために少し離れた隙に、なんと僕にすり寄るようにして「やっぱりあなたと結婚すればよかった」と手のひらを返してきたのです。
しかし、隣にいた妻が「条件でしか人を愛せない人には負けませんから」と言ってくれて……。僕も照れながら「こんな感じで、幸せなんだ。ごめん」とキッパリ告げました。
自分のプライドを傷つけられた後輩と、あからさまに浮気心が露呈したAは、空港のロビーで周囲の目を気にせず大げんかを始めていました。僕たちはそんな2人の姿を尻目に、笑顔で専用の保安検査場へと向かいました。
Aとの一件があったからこそ、僕は本当に大切なものに気づくことができたのだと、今ではAに感謝すらしたい気持ちです。目に見えるステータスにとらわれず、お互いの本質を見て支え合えるパートナーと出会うことができて、僕は本当に幸せです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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