突然の退職に戸惑い
夫は仕事を辞めても、どこか落ち着いた様子でした。
「次の仕事はすぐ見つかるよ」
そう笑う夫を見て、私は「どうして相談してくれなかったの?」「どうして次の仕事が決まる前に辞めてしまったの?」という思いばかりが募っていきました。
生活への不安は日に日に大きくなり、小さなことで言い合いになることも増えていきました。そして私は、「このままでは一緒に暮らしていけないかもしれない」と、本気で離婚を考えるようになったのです。
「離婚しよう」と伝えると…
意を決して、「離婚しよう」と切り出した私。すると、それまで冷静だった夫が突然涙を流したのです。
私は驚きながらも、初めて夫とじっくり話をしました。
夫は、仕事で大きな悩みを抱えていたこと、私に心配をかけたくなくて、あえて明るく振る舞っていたことを打ち明けてくれました。
さらに、「家族のことを一番に考えている。一緒にいたい」と、まっすぐな気持ちを伝えてくれたのです。
それまで見えていたのは、笑ってごまかしている夫の姿だけでした。でも、その裏では、一人で悩みを抱え込みながら家族を守ろうとしていたことを知り、私も涙が止まりませんでした。
あの日から少しずつ変わった夫
あの夜を境に、夫は少しずつ変わっていきました。不器用ながらも家事に取り組み、育児にも積極的に関わってくれるようになったのです。
私が「限界だった」と伝えた言葉が、夫の心にも届いたのでしょう。慣れない家事に戸惑いながらも、一生懸命取り組む姿を見ているうちに、「この人ともう一度頑張ってみよう」と自然に思えるようになりました。
あのとき、本音をぶつけ合わずにいたら、私たちは本当に別れていたかもしれません。言葉にしなければ伝わらないこと、話して初めてわかる気持ちがあるのだと実感しました。今でも意見がぶつかることはありますが、あの夜の話し合いがあったからこそ、今の私たち夫婦があるのだと思っています。
著者:近藤みみ/30代女性・大阪府在住。福祉職として勤務。趣味はスポーツ観戦で、特にバレーボールや春高バレーが好き。
イラスト:ほや助
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)
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