手伝いという名目で押しかける義母
義母は「産後すぐはいろいろ大変でしょ? 手伝ってあげる」と言って、いつもわが家にやって来るのですが、実際はソファに座ってテレビを見ながら指示を出すだけ。私の体調はお構いなしで、義母の昼食の準備をさせられたり、「ついでに洗っておいて」と自宅から持ってきた自分の洗濯物を出してきたりするのです。
それに、突然の訪問に戸惑い、お茶菓子を出しそびれると「気が利かないわね」と不満げな顔をされます。ほかにも、息子が泣き止まないと「育児も満足にできないの? この子はあんたに似て無神経になりそうね」と心ない言葉を投げかけられたことも。
ひとり暮らしの寂しさから孫に会いに来ているのは理解できましたが、毎日のように続く小言に私はすっかり疲弊してしまいました。見かねた夫が何度も注意してくれましたが、義母は「手伝ってあげているのに」と機嫌を損ねるばかり。
限界を感じた私は、夫の勧めもあり、息子を連れて1カ月ほど私の実家へ避難することにしました。
実家避難への怒りと義母の思い込み
私が実家に戻ったことを知った義母は激怒しました。私に電話をかけてきて、「姑に逆らうなんて嫁失格よ! 家を空けるなんて妻としても失格!」と一方的にまくしたててきたのです。
それだけでなく、義母はご近所の知人たちに「嫁が孫に会わせてくれない」「嫁にこき使われて疲れた」などと、事実とは異なる愚痴を言いふらし始めました。
ちょうどそのころ、私たち夫婦は念願のマイホームを購入する手続きを進めていました。義母の過干渉に悩んでいたため、引っ越しが完了して落ち着くまでは、新居の詳しい住所を義母には教えないと夫婦で決めました。
家探しを始めてすぐのころ、義母からは何度も「どこに引っ越すの?」と聞かれていましたが、私たちは「まだ決まっていません」と、そのたびにはぐらかしていました。ただ、以前義母を車に乗せた際、候補にしていた戸建ての前を通り、夫がうっかり「あの白い家、この前見学したところなんだ」と話してしまったことがありました。
さらに後日、義母がわが家に来ていたとき、義母は別の部屋にいると思い、私たちは「あの白い家、条件もいいし、ほぼ決まりだね」と話していました。あとになってわかったのですが、この会話を義母はこっそり聞いていたようでした。
しかし、その後、別の町により条件の合うマンションが売りに出され、私たちはそちらを購入することに……。
勘違いが生んだ自業自得の結末
私は実家に避難する少し前から引っ越しに向けて荷造りを始めていました。すぐに使う物を入れた段ボールには、引っ越し予定日の日付を書いていました。しかしその後、引っ越し予定日に夫に仕事が入ってしまい、当初の予定より2週間早く引っ越すことになったのです。
もちろんそのことは義母には知らせず、私は新居へ引っ越す2日前に実家から戻り、無事に新居へ引っ越しました。引っ越しから2週間後、段ボールに書いていた当初の引っ越し予定日を迎えたその日、突然義母からメッセージが届きました。
「今、あんたたちの新居に来てるわよ!」
「もうアパートの退去手続きもしたんだからね!」
「私も来月には引っ越すから!」
どうやらアパートの更新時期が近づいていた義母は、家賃を浮かせようと私たちとの同居を企てていたようなのです。
「え? 今、外に出ましたが、お義母さんの姿は見当たりませんよ?」
私は心の中で「どうして新居の場所がわかったの!?」と焦りながら、マンションの外に出て確認したのですが、義母はいませんでした。
「だって、いないんでしょ? チャイム鳴らしたけど出なかったじゃない。それより、この白い外壁、いいわね。あ、たまたま外にいた近所の人にも、来月からここに住むってあいさつしておいたから!」
その言葉を聞いて、私はすべてを察しました。義母は、私たちの会話で聞いた白い戸建てが新居だと思い込み、さらに最後にわが家に来た際に、段ボールに書かれていた日付を見て、その日が引っ越し日だと思い込んでいたのです。
「そこは私たちの家ではありません」
「見学しただけの物件ですね」
「は?」
「私は来月からここに住むって、もうご近所にも言ったのよ!?」
義母が押しかけたのは、私たちが見送った戸建て物件だったのです。しかも、その家にはすでに別の方が住まれていたようで……。
暴走した義母の末路
他人の家の前でうろつき、ご近所さんに「同居する」と言いふらしていた義母ですが、ちょうど帰宅したその住人から「何か御用ですか?」と不審そうに声をかけられ、ようやく自分の勘違いに気づいたそうです。
慌てて夫に泣きついてきた義母ですが、私たちは同居をきっぱりと拒否しました。すでに退去手続きを済ませていた義母は、管理会社に解約を撤回できないか確認したそうですが、すでに次の入居者の募集が始まっており、撤回は難しいと言われたそう。
義母は「新居の場所を教えて」と懇願してきましたが、夫はそれもきっぱり拒否。しかし夫は、何らかのタイミングで場所を知られて押しかけられるくらいなら……と、急いで不動産屋に連絡し、義母が住めそうな物件を探すことだけは手伝いました。そして義母は、不動産屋の紹介で、元いたアパート近くの手狭な賃貸アパートへ引っ越すことに。
その後、夫は義母に対し、事実と異なる話を近所に広めたことについても厳しく注意しました。今後も過干渉や突然の訪問を続けるなら、縁を切ると告げたのです。新居の住所も知らせなかったため、義母のアポなし訪問はなくなりました。適度な距離を保てるようになり、今は新居で家族3人、穏やかな日々を過ごしています。
◇ ◇ ◇
思い込みで暴走してしまった義母の行動は極端ですが、親族との距離感や境界線の引き方については、多くの人が直面する問題なのかもしれません。もし似たような状況になったら、相手の要求を一人で抱え込まず、まずはパートナーと情報を共有することが大切です。そのうえで、受け入れられることと受け入れられないことを明確にし、家族の平穏を守るためのルールを決めたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※一部にAI生成画像を使用しています