定年後に料理を手伝おうとして
定年退職後、家にいる時間が増えた私は、これまで妻に任せきりだった料理を少しでも手伝いたいと思うようになりました。
そんなある日、夕食にすき焼きを作ることになりました。私は、せっかくなら長年食べてきたわが家の味付けを覚えたいと思い、妻に「伝統の味付けを教えてほしい」と頼んだのです。
自分の中では、すき焼きの味付けには何か特別な手順や分量があるのだろうと考えていました。妻が長年作ってくれていた味だからこそ、きっと家に受け継がれてきたものなのだと思い込んでいたのです。
冷蔵庫から出てきたものに驚き
ところが、私の言葉を聞いた妻は不思議そうな顔をしました。そして何も言わずに冷蔵庫を開けると、市販のすき焼きのタレを取り出してきたのです。
私は一瞬、何を見せられているのかわかりませんでした。てっきり、しょうゆや砂糖などを使って一から味を整えているものだと思っていたからです。
妻に聞くと、結婚当初からずっと同じ大手メーカーのタレを使っていたそうです。私が長年「わが家だけの秘伝の味」だと思っていたものは、実は市販のタレだったのです。
勝手に美化していた記憶
思い返してみれば、妻が「特別な味」だとはっきり言ったわけではなかったのかもしれません。仕事で忙しく、家のことを妻に任せきりにしていた私は、たまに食べるすき焼きのおいしさを、自分の中で勝手に特別なものとして美化していたのだと思います。
長年信じていたことが、あまりにもあっけなく崩れたことに、最初は恥ずかしさを感じました。しかし同時に、自分の思い込みがなんだかおかしくなり、妻と一緒に笑ってしまいました。
市販のタレだったからといって、妻が作ってくれたすき焼きのおいしさが変わるわけではありません。むしろ、何十年も同じ味を家族の食卓に出し続けてくれていたことを、改めてありがたく感じました。
まとめ
この経験を通して、長年当たり前だと信じて疑わなかったことでも、事実を確認してみると意外と単純な真相があるのだと感じました。自分の記憶や思い込みは、知らないうちに美化されていることもあるのかもしれません。定年後の今は、自分の常識を少し疑いながら、思いがけない事実も笑って受け止められる心の余裕を持っていたいと思っています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:宮田春雄/60代男性・無職
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)
※一部、AI生成画像を使用しています。
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