静かな部屋に慣れない
妻が里帰り出産のため、実家へ戻りました。夫婦で暮らす家には僕ひとり。正直、最初はそんな暮らしを「誰にも気をつかわず、自由に生活ができるな」と思っていました。
しかし実際は……仕事を終えて家に帰っても、とにかく部屋が静か。妻と2人で暮らしていたときよりも、自分の生活音が良く聞こえる気がして、なんだか自分が部屋にうまくなじんでいない感じがしたのです。
妻といたときには、何気ない会話をして1日を終えていたのですが……。妻がいなくなってからは、話をすることもなく、夜が妙に長く感じられるように。
眠る前に、暗い部屋でスマホを見ながら、妻がいないことで父親になるのだということを改めて実感した瞬間でもありました。
通知を待つ夜
そんな生活の中で、楽しみだったのは妻からくるメッセージ。「今日は赤ちゃんがよく動いていた」とか「健診でこんなことを言われた!」とか、小さなやり取りがとてもうれしかったです。
夜にビデオ通話をすることもありました。画面越しに映る妻のおなかは前よりも大きくなっていて、「赤ちゃんが育っているんだな」と、当たり前のことを思ってはほっこりして……。
ところが、通話が終わったあとは部屋が急に静かになり、どこかしんみりとした雰囲気に。妻からもらったエコー写真を何度も見返し、子どもが生まれるうれしさを噛みしめ、妻と子どもの帰りを待ちました。
家に音が戻った日
こうした日々を過ごし、ついに妻が出産日を迎えました。出産後、妻と子どもを迎えに行った日のことは、よく覚えています。
チャイルドシートに乗った息子は思っていたよりずっと小さく、抱っこをするだけでとても緊張しました。こうして、わが家に3人で帰宅。あれだけ静かだった家に、音が戻ってきたのです。
夜中に子どもが泣いて起きたり、妻や僕がミルクを作ったり。眠い中大変なのですが、不思議とひとりでいたときよりも楽しいと思えました。
子どもが生まれてから、わが家のリビングは物で溢れかえっていて、子どもの声が騒がしい日もありました。それでも、妻が里帰りしていたときの静かな生活に戻りたいとは思いません。騒がしくて慌ただしい日々だからこそ、幸せを感じられたのだと思います。
妻が里帰りしている間、周りの人から「ひとりの時間が増えてラクそうだね」と言われることもありました。しかし、実際には家族がいる生活に慣れたあとだからこそ、僕にとっては、少し寂しいと感じる生活でした。あの時間があったからこそ、誰かと一緒に暮らすことの安心感を、前よりも強く感じられるようになったと思います。
子どもの夜泣きで起こされ、夜も朝も毎日バタバタとしていた生活。それでも、リビングから聞こえてくる子どもの声や笑い声を聞くたびに「家族になれてよかったな」と思いました!
著者:大石浩志/40代男性・香川県在住。IT系企業に勤める会社員。本を読むことが好き。
イラスト:ののぱ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
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