義妹から向けられた心ない言葉
その日、私とA男は入籍の報告も兼ねて義実家を訪ね、挙式をしたいと思っていることを相談しました。その日は、義妹夫婦も義実家に帰ってきていました。すると予想通り、義妹が不機嫌そうに言いました。
「私のほうが先に結婚しているのに、私より先に結婚式をするの? 私だってまだドレスを着ていないのに」
義妹はA男より先に入籍していましたが、挙式や披露宴はまだしていませんでした。義妹の夫は、無理のない範囲で式を挙げたいと考えていたそうですが、義妹はかなり豪華な式を望んでおり、なかなか話がまとまらないと聞いていました。それでも、私たちの式にまで文句を言われる筋合いはありません。
ところが義両親も、「妹がまだ式をしていないのだから、少し待ってあげてもいいのでは」と義妹の肩を持つばかり。私は言い返すこともできず、ただ黙って聞いていました。
するとA男が、はっきりと口を開きました。
「俺たちの結婚式は、俺たちで決める。祝ってもらえないなら、無理に来てもらわなくていい」
その言葉に義両親も義妹も黙り込んだものの、最後まで祝福の言葉はありませんでした。結局、私たちは親族を招いての式をやめ、2人だけで海外挙式をおこなうことにしたのです。
その翌日、私はこの出来事を両親に話しました。両親は、「あなたたちが納得できる形にすればいい」と言ってくれました。私の両親にだけは、式の日程を報告することにしました。両親は「当日に行けないのは残念だけれど、写真を楽しみにしている」と、こちらの事情を理解して、温かい言葉をかけてくれました。
義妹の夫から届いた相談
後日、A男のもとに義妹の夫から相談の連絡がありました。義妹の夫はA男には何かと話しやすいようで、義妹のことで困ったときには、A男に相談することもあったようです。
「実は、妻のために小さな式か、せめて写真撮影だけでもできないかと思っていて……」
A男によると、義妹が「兄嫁より先にドレスを着たかった」と何度もこぼしていることを、義妹の夫は気にしていたそうです。そこで、私たちの海外挙式の日程をA男に確認し、せめて同じ日にフォトウエディングをおこなって、ドレス姿の写真だけでも残せないかと考えているとのことでした。
A男は私にも相談した上で、義妹の夫にこう伝えました。
「私たちは海外で2人だけの式を挙げる予定なので、同じ日にフォトウエディングをおこなうことも、私たちは気にしません。お2人で納得できる形を考えてもらえたらと思います」
私は正直なところ、そこまで義妹の気持ちに合わせる必要があるのだろうか、という思いはありました。私に心ない言葉を向けてきた義妹のために、A男まで気をつかう必要があるのかとも感じました。
それでも、義妹の夫が自分なりに妻を思って考えたことです。私たちが口を挟むことではないと思い、A男と相談した上で、その判断を尊重することにしました。
海外挙式の日に届いた着信
そして、私たちは予定通り、海外で2人だけの式を挙げました。現地では午前中の挙式だったため、式を終えてホテルの部屋でひと息ついていたころのことです。私のスマホに義妹から着信がありました。不安に思いながら電話に出ると、義妹はいきなり勝ち誇ったような声で言いました。
「残念だったわね。私、今日ドレスを着ることになったの。あなたより、若くて見栄えする私のほうが先にドレスを着るべきでしょ?」
その言葉を聞いて、私はすぐに義妹の夫が準備していたフォトウエディングのことだと察しました。A男から事前に聞いたところ、義妹を喜ばせるために、サプライズでフォトウエディングを企画していたそうです。相談は受けていましたが、義妹には当日まで詳しい内容を伏せると聞いていたため、私から余計なことは言えません。
すると義妹は、意地悪な声でこう続けました。
「そういえば、あなたたちは親族を呼ぶ式をやめたんだって? 結局あなたはドレスを着られなくなったってこと?」
私は少し迷いましたが、聞かれた以上、隠すのも不自然です。義妹に余計な刺激を与えないよう、できるだけ落ち着いて答えました。
「私たちは海外で2人だけの式を挙げることにして、先ほど無事に終わりました。今日は、よい写真が残せるといいですね」
すると、義妹は明らかに動揺した様子でした。
「は? もう式を終えたってどういうこと? 私より先に花嫁姿になったってこと?」
電話口の向こうでは、義妹の夫が「どうしてそんな言い方をするんだ」と止めようとしている声も聞こえました。けれど義妹は、感情が高ぶったのか、そのまま言葉を続けました。
「私はあなたに負けたくなかっただけ! こんな写真だって、あなたより目立てないなら意味ないじゃない!」
その言葉を聞いた瞬間、私は何も言えなくなりました。義妹の夫がどんな思いでこの日を準備したのかを考えると、胸が痛みました。
私たちが選んだ距離感
後日、A男のもとに義妹の夫から連絡がありました。義妹の夫は、夫婦として写真を残すことよりも、私への対抗心ばかりを口にしている義妹の態度がどうしてもつらかったと話していたそうです。
さらにその場では、義妹が感情的になった拍子に、試着用のドレスの裾に飲み物をこぼしてしまう騒ぎもあったとのこと。クリーニングなどの費用についてはショップ側と話し合うことになり、義妹夫婦はその後、今後の関係を見直すために距離を置いたと聞きました。
その後も、義両親との距離が縮まることはありませんでした。義両親からは、「妹があんなに気にしていたんだから、少しくらい待ってあげてもよかったのに」と言われることもあり、最後まで義妹をかばう姿勢は変わりませんでした。
その言葉を聞いたA男は、「もう振り回されるのはやめよう」と言いました。私たちは、義実家とは必要以上に関わらない距離を取ることにしたのです。
私たちの式は、親族に囲まれた盛大なものではありませんでした。けれど、2人で納得して選んだ形だったからこそ、後悔はありません。
結婚式は、誰かと比べるためのものではなく、自分たちがこれからどう歩んでいくかを確かめる時間なのだと思います。義妹の言葉に傷ついたこともありましたが、周囲の声に振り回されず、自分たちらしい形を選べたことは、私にとって大きな支えになりました。
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結婚式は、誰かと比べたり、順番を競ったりするものではなく、2人が納得できる形で迎える大切な節目です。義妹の言葉に傷つきながらも、主人公たちは周囲に振り回されず、自分たちらしい式を選びました。人の幸せを比べるのではなく、それぞれの形を尊重することの大切さを感じるエピソードです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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