あれほど子どもをほしがっていた夫。しかし、妊娠を報告したときの反応は思いのほか薄く、私は引っかかりを覚えました。実は同じころ、夫の昇進の話が立ち消えになっていたようです。
よほど落ち込んだのか、夫は突然、子育てへの不安を口にするようになりました。そんな夫に、私は「子どものためにも、これからは二人で支え合って頑張ろう」と声をかけました。
退院の日、夫が残したもの
いよいよ、待ち望んだわが子との対面。難産で分娩には時間がかかりましたが、娘が元気に生まれてきてくれたことに、心から安堵しました。一方、初めて娘を抱いた夫は、「ずっしりと命の重みを感じた」と話していました。
ところがその後、夫は「しばらくひとりになりたい」と言い、お見舞いにも来なくなりました。娘の顔を見ると、父親としてのプレッシャーに押しつぶされそうになるというのです。私は寂しさを感じながらも、ひとまず夫の気持ちを尊重し、そっとしておくことにしました。
そして迎えた、待ちに待った退院の日。しかし、夫が迎えに来ることはありませんでした。娘を連れて自宅に戻ると、テーブルの上には、夫からの置き手紙と離婚届がぽつんと残されていたのです。
「娘を養子に出そう」夫の無責任な言葉
私は、慌てて夫に連絡をしました。
「離婚って、どういうこと?」
「子どもが生まれたばっかりなんだよ!?」
問い詰める私に、夫は力なく答えました。
「ごめん」
「なんか養っていく自信がなくて……」
夫はひどく落ち込んでいる様子でした。不安を抱える気持ちは理解できます。けれど、なぜ今なのか。
さらに夫は、「子どもを愛せる気がしない」「自分がいないほうが、子どもは幸せになれるのではないか」と言い出しました。そればかりか、「娘を養子に出すなら、離婚せずに夫婦ふたりの生活に戻りたい」とまで提案してきたのです。私には、到底理解できませんでした。
こんな無責任な人と、このまま結婚生活を続けることはできない。そう決意した私は、離婚を受け入れることにしました。最後に夫から、「自分でもこんな気持ちになるとは思わなかった。恨まないでほしい」と言われましたが、私は今でも、夫を許すことができません。
離婚から4年後、元夫と偶然再会
離婚から4年後、偶然街で元夫と再会しました。元夫は、離婚したことを激しく後悔していると言い、私は言い訳めいた話を延々と聞かされました。
離婚後まもなく、元夫はリストラされたとのこと。養育費は一度も支払われていません。「体調を崩して働けなかった」と弁解していましたが、以前からだらしない面があったため、自分に甘えていただけなのではないかと思っています。こちらは過酷なシングルマザー生活を送っていたというのに、ずいぶん勝手なものです。
元夫は「今からでも責任を取らせてほしい」と言い、復縁を迫ってきました。しかし、そんなことは到底受け入れられません。私はすでに再婚していたからです。
今の夫は、やさしく誠実な人。たとえ私が独身だったとしても、一度父親としての責任を放棄して逃げ出した元夫と、やり直すことはなかったでしょう。娘も私も、今はとても幸せに暮らしています。
離婚してからずっと心の中にモヤモヤを抱えていましたが、元夫と再会し、きっぱり断ったことで、ようやく気持ちに区切りをつけることができました。これからも、今の夫と娘との暮らしを大切にしていきたいと思います。
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子どもが生まれ、親になることに不安やプレッシャーを感じる人もいるでしょう。しかし、その気持ちを抱えたまま一方的に家族のもとを去り、子どもを手放すことまで求めるのは、あまりにも身勝手な行動ですよね。
つらいときこそ、ひとりで結論を出すのではなく、夫婦で気持ちを伝え合い、必要に応じて家族に相談したり、自治体の相談窓口や医療機関の力を借りたりすることも大切です。家族を支える責任から逃げず、相手の立場や負担にも目を向けたいですね。
【取材時期:2026年7月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。