「代わりがいる」発言がブーメランに!
息子が3歳になり入園できた春、私もパートを開始。しかし息子は頻繁に発熱し休む日が多くありました。職場に平謝りする私に対し、父親である夫は冷酷。もともとプライドが高く「男が稼いで家を養っている」という意識が強い夫。私のパートを「おこづかい稼ぎの暇つぶし」と見下し、出張のホテル探しや新幹線の手配、会社に提出する領収書の整理といった雑務まで「俺の分身なんだからこれくらいしろ」と私に押し付けていました。そのくせ、私からの連絡は「仕事の邪魔」だと普段から通知をオフにしているような人だったのです。
ある日、息子が40度近い熱を出し、私は一日中看病にかかりきりでした。ぐずる息子を抱っこしながら、合間を縫って必死に作ったのは、消化のよいうどんと小さなおかず一品。しかし、仕事から帰るなり夫は「飯これだけ? 俺は責任ある仕事で疲れてるんだよ」と言い放ちました。
普段なら波風立てないようにスルーしていた私でしたが、疲れもあり「パートだからって責任がないわけじゃないわ! 体調の悪い息子を気にかけながら、職場にも必死で頭を下げて調整しているの。あなたと同じように、私だって仕事にも育児にも責任を持って動いているのよ!」と思わず反論。夫は少し驚いた顔をしながらも「パートなんていつでも休めるだろ。代わりなんていくらでもいるんだし、俺と一緒にするなよな」とまで言い、私を全否定したのです。
数日後、息子が再び発熱。私が職場に休みの連絡をしていると、夫が「今日、大事な取引先との会食だから遅くなる。お前はパート休めてラッキーだろうけど」と吐き捨てて出勤していきました。その会食は夫の昇進がかかった、上司同席の大事な場なのだとか。しかし夫は、玄関にプレゼン用の最新資料が入った大切なPCを忘れていっていたのです。すぐに電話しましたが、通知をオフにしている夫は出るはずがありません。
案の定、昼過ぎに夫から電話が。「おい! PCと資料忘れたから今すぐ店まで届けてくれ!」とパニック状態です。助けてあげたい気持ちが一瞬よぎりましたが、看病中の私には物理的に不可能。「悪いけど息子の熱も高いし、どう頑張っても行くのは無理なの」と告げると夫は「はあ!? 何だよ、クビになったらどうするんだ」と怒鳴ります。
私は先日の言葉を思い出し「代わりに誰かに頼んだらいいんじゃない? 誰かうちに取りに来てくれるなら、資料渡しとくわよ。というか、私のパートの仕事は『代わりがいくらでもいる』って見下したくせに、自分がピンチのときだけ、都合よく私を『代わりのきかない分身』みたいにアテにしないで。この子の『代わりのきかない母親』としての努めを果たすほうが、私にとってはよっぽど責任を持つべき大事なことよ」と静かに答えました。そしてそのまま電話を切り、電源も落としました。
結局、夫は資料がないまま仕事をすることになり、大恥をかいて評価はガタ落ち。しかもあろうことか上司や取引先の前で「妻が忘れた資料を届けてくれなかったせいで……」と言い訳をしたそうで、「忘れ物の責任を妻に押し付けるなんて、社会人としてリスク管理ができていない」と、取引先からも上司からも叱責されたのだとか。
自分の無責任さを指摘された夫は、帰るなり「すみませんでした」と頭を下げました。「〇〇(私)がいてくれないと俺は何もできない人間だった」と、ようやく自分の傲慢さを認めたのです。「私はあなたの秘書でも部下でもないわ。私の仕事をバカにして、家庭をワンオペで押し付けておきながら、都合のいいときだけ助けを求めないで。私のサポートが当たり前だと思わないで」とお灸をすえると、もっとお互いを尊重し、家事や育児も当事者意識を持つことを約束してくれたのでした。
それからは、育児や家事にも積極的になり、私の仕事への敬意も見られるように。2人で協力し合いながら仕事と家事、育児ができています。
家事や育児、そしてパートナーのサポート。これらはどれも責任をもってこなす必要があることで、一方が欠ければ家庭という基盤は簡単に崩れてしまうと私は思います。お互いの存在が「唯一無二の支え」であること、敬意を払い続けることが大切だと夫婦で再認識できた出来事でした。
著者:谷 ふみ/40代・ライター。中学2年生と小学5年生、6歳の3人の男の子を育てるママ。仕事に家事、育児に追われる毎日。子ども達が寝静まったあと、ひとりでドラマや映画を見るのが楽しみのひとつ。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)