泣かないと宣言していた夫
結婚式の準備中、夫は何度も「俺は絶対に泣かないから」と言っていました。夫は普段からあまり感情を表に出さず、どちらかというとクールなタイプです。
交際していた1年半の間も、夫が涙を見せたことは一度もありません。そのため、私の中ではすっかり「泣かない人」というイメージが定着していました。
披露宴でも夫はきっと堂々としていて、泣くとすれば私のほうだろう。そう思い込んでいたのです。
花嫁の手紙を読み始めると…!?
披露宴も終盤を迎え、花嫁の手紙を読む時間になりました。夫はマイクを持ち、私の腰にそっと手を添えてくれています。そのさりげない気づかいに安心しながら、私は手紙を読み始めました。
ところが、読み進めるうちに、夫が持っているマイクが小刻みに震え始めます。すると次の瞬間、「ひっく……ひっく……」という声が聞こえてきました。驚いて横を見ると、夫が顔をくしゃくしゃにして泣いていたのです。
予想外の光景に、「えっ、ここで泣くのは普通、花嫁の私のほうじゃないの?」と驚きが勝り、出かかっていた私の涙はすっかり引っ込んでしまいました。次第に笑いがこみ上げてきて、手紙を読むことに集中できなくなったのです。
涙が止まらない夫に会場から笑いが
その後も夫の涙は止まりません。とうとう私はこらえきれず、爆笑してしまいました。
隣で泣き続ける夫と、その横で笑っている私。予想外の光景に、会場からも笑いが起こります。友人や家族からは、「なんで花嫁の手紙の時間に新婦が爆笑しているのよ!?」「泣かせるシーンでしょ!」と総ツッコミが。
それでも夫の涙は止まらず、最後の新郎あいさつでも声を詰まらせていました。普段は冷静な夫が懸命に話す姿を見て、最初は笑っていた参列者たちの中には、涙を流す人も。披露宴後には、「彼があんなに泣いている姿を初めて見たよ。それだけ手紙が心に響いたんだね」「すてきな旦那さんだね」と、温かい声をかけてもらいました。
後日届いた結婚式のアルバムには、泣いている夫と笑っている私という、なかなか珍しい一枚がしっかり残っていました。
今では、その写真もすっかりわが家の笑い話です。10歳になった娘に見せながら、「このときね、パパが誰よりも泣いていたんだよ」と家族で懐かしんでいます。
夫があれほど涙を流した姿を見たのは、今のところあの日だけです。予想していた感動的な場面とは少し違うものになりましたが、夫の気持ちが伝わったあの時間を含めて、忘れられない結婚式の思い出になりました。
著者:御法川元子/30代女性・2015年生まれの女の子の母。子どもが生後4カ月のころから企業の広報担当として働いているワーキングマザー。パニック障害を患いながらも明るい性格で元気に毎日過ごしている。波瀾万丈な人生だが、明るく楽しくをモットーに! 趣味は音楽鑑賞・カラオケ。
イラスト:わかまつまい子
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)
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