「先輩の婚約者、もらいましたw」
当時、婚約者とは同じ会社の別の部署で働いていました。結婚式まであと1カ月となり、仕事も私生活も充実した日々を送っていたのですが……。
そんな中、同じ部署で働く年下の後輩・A男が、少しずつ僕をライバル視するようになったのです。会議で必要以上に反論されたり、何かと張り合ってきたりすることが増えていましたが、仕事上の付き合いだと割り切り、深く気に留めてはいませんでした。
ところが、ある日の夜。A男から突然メッセージが届いたのです。
「先輩の婚約者、もらいましたw」
何の冗談だと思いながら画像を開くと、そこにはベッドで眠る婚約者と、その隣で笑顔を浮かべるA男の姿が写っていました。婚約者は眠っているようで、写真を撮られていることにも気づいていない様子です。
頭が真っ白になり、すぐに婚約者へ電話をかけ、メッセージも送りました。しかし、何度連絡しても返事はありませんでした。
婚約者が選んだ相手は…
翌朝、僕は直接彼女の家へ向かいました。インターホンを押すと、玄関から出てきたのはA男でした。後ろから婚約者も姿を見せ、その気まずそうな表情を見た瞬間、すべてを悟りました。
「どういうことなんだ」と尋ねると、彼女はしばらくうつむいたまま黙り込み、やがて小さな声で言いました。
「ごめんなさい……私、彼と一緒になりたい」
効けば、A男から数カ月前に告白され、最初は断っていたものの、何度も気持ちを伝えられるうちに惹かれてしまったといいます。
「もう気持ちは戻らない。本当にごめんなさい」
その言葉を聞いた瞬間、僕の気持ちは決まりました。
「婚約は白紙にしよう」
そう伝えると、彼女は静かにうなずきました。
後輩の最後まで変わらない態度
婚約は解消したものの、問題は会社でした。毎日A男と顔を合わせなければならず、それが何より苦痛だったのです。
社内でもうわさは広まり、周囲は気をつかってくれていました。しかし、同じ職場で働き続けることは、精神的に限界でした。
悩んだ末、僕は退職を決意しました。
退職日、荷物をまとめていると、A男が近づいてきて、こう言いました。
「先輩、逃げるんですね」
「まぁ、ここにいるのは気まずいですもんねw」
最後まで、人を傷つけることしか考えていない言葉でした。僕は何も言い返さず、静かに会社をあとにしたのです。
人を裏切って始まった恋の結末
転職先では人間関係にも恵まれ、少しずつ以前の生活を取り戻していきました。
それからしばらくして、前の会社の同僚と食事をする機会がありました。近況を話していると、同僚がふと思い出したように言ったのです。
「そういえば、A男はもう会社を辞めたよ」
僕が退職したあとも、先輩社員や取引先とのトラブルを繰り返し、女性社員や取引先の女性との接し方でも問題を起こしていたそうです。そうしたことが重なり、最終的には会社に居づらくなって退職したと聞きました。
さらに、元婚約者とも長くは続かなかったそうです。
「付き合ってからも女性関係で何度も揉めていたらしいよ。『私だけは特別だと思っていたのに』って、かなり後悔していたみたい」
その話を聞いても、不思議と何も感じませんでした。怒りも恨みも、もう残っていません。
今思えば、結婚する前に相手の本当の姿を知ることができたのは、不幸ではなく幸運だったのかもしれません。
人を裏切って手に入れた幸せは長く続かない。恋愛でも仕事でも、誠実さを失った先に本当の幸せはないのだと実感した出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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