塩対応の受付嬢に迫る同期
受付にいるA子さんは、社内でもひときわ目立つ存在です。誰に対してもクールで、必要以上に親しくなろうとしないA子さんは、男性社員たちの注目を集めていました。
同期のB田も、たびたび彼女を食事に誘っていました。
「俺と付き合ってくださいよ〜」「昼が無理なら、夜飲みに行きません?」
しかし、A子さんはいつも塩対応で「無理です」と一蹴。それでもB田はなかなか引き下がりません。見かねた僕は、「B田、急ぎの案件を手伝ってくれないか」と声をかけ、受付から遠ざけました。
A子さんはそのやりとりを黙って見ていましたが、最後にそっと僕へ笑いかけてくれました。この出来事が思いがけない展開の始まりになったのです。
突然「彼女です」と宣言され!?
ある日の仕事終わり、僕が会社から徒歩圏内にある自宅マンションへ入ろうとすると、A子さんが背後から駆け寄ってきました。
「私、この人の彼女です。結婚も考えていますから!」
「えっ……?」
驚いて振り返ると、近くにB田の姿が。A子さんは必死に視線で訴えてきます。状況を察した僕は、「とりあえず中へ入ろう……A子」と呼びかけました。
部屋に入って事情を聞くと、A子さんは申し訳なさそうに話し始めました。
「終業後も何度も食事に誘われて……。断ったのに、ここまでついてこられたんです。それで、今日は彼氏の家に行く予定だって、とっさに言ってしまって」
「ちょうどあなたの姿が見えたので、頼ってしまいました。ごめんなさい」
さらにA子さんは、「仕事とプライベートをきちんと分けたいんです。社員同士で個人的な関係を持ち込むと、仕事がやりづらくなる気がして……。でも、B田さんは何度断っても引いてくれなかったので、彼氏がいると伝えれば諦めてもらえると思ったんです」と打ち明けてくれました。
そして、ためらいがちにこう続けたのです。
「あの……しばらく落ち着くまで、会社で恋人のふりをしてくれませんか?」
僕は驚きましたが、A子さんの負担が少しでも減ればと思い、「付き合っている人もいませんし、僕でよければ協力します」と答えました。
「ありがとうございます」と笑うA子さんは、いつものクールな姿からは想像できないほど、柔らかな表情を見せました。
偽の恋人を演じるうちに
翌日、B田は「付き合ってるなら先に言えよ!」と僕に詰め寄ってきました。しかし僕は、「お前に報告する必要はないだろ。それより、断られているのに後をついていくのはやめろ。A子さんが困っていただろ」と、きっぱり注意しました。するとB田は気まずそうに視線をそらし、それ以上は何も言い返してきませんでした。
その後、僕とA子さんは恋人らしく見せるため、昼休みに話す機会が増えていきました。やがて僕たちが恋人同士であるという「誤解」は社内中に広がり、ほぼ公認状態に。
B田もついにあきらめたようで、同僚たちにも祝福されるほどになってしまいました。
そんなとき、A子さんが「みんなの誤解をちゃんと解こうと思うんです……」と切り出しました。
誤解を解くと言われ…!?
僕はグッと本心を抑えて、平静を装いました。
「そうですよね。僕はただの彼氏役ですから……もう周囲をだます必要はないですし」
するとA子さんは首を振り、こう言ったのです。
「違うんです。彼氏役ではなくて……本当の彼氏になってくれませんか?」
「え? ほ、本気ですか?」と尋ねると、A子さんは「あなたはやさしくて頼もしくて、助けてもらううちに好きになったんです」と言ってくれました。クールに見えて、実は思いやりにあふれたA子さんに、僕も惹かれていました。
「僕からも言わせてください。僕も、あなたのことが好きです。こちらこそ、よろしくお願いします!」
そう伝えると、A子さんは今までで一番の笑顔を見せてくれました。
偽りの恋人関係を続けるうち、僕たちはお互いの本当の姿を知っていきました。これからは偽りではなく、本当の恋人として、彼女を大切にしていきたいと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!