過去に、出産間近の妊婦さんが救急車で運ばれている姿を見たことがありました。陣痛の痛みに耐えきれないのか、大声を出してパニック状態。その姿が衝撃的で、出産に対して恐怖心しかありませんでした。できれば声を出さずに冷静に出産したい。そう願って臨んだ私の出産は……?
じょうずないきみ方って?
助産師さんから、理想的ないきみ方は声を出さないほうがいいという話を聞きました。大声を出してしまうと体力が消耗するだけでなく、冷静さを失ってパニックに陥ってしまうこともあるからだそうです。
そのため、私も声を出すとしても冷静を保てる程度に抑えられたらいいな……と思っていました。とは言っても、そのときになってみないとわからないのが出産です。産院で指導のあったラマーズ法などの呼吸法を習得し、できるだけリラックスできる方法を模索していました。
いざ出産! 呼吸法なんて吹っ飛んだ?!
とうとう陣痛がやってきました。陣痛が10~5分間隔の間は、習得した呼吸法でいきみ逃しをすることができました。
ところが、分娩台に上がり、子宮口が全開大になったとき、陣痛の痛みは最高潮で間隔も1〜2分ほどしかありません。あまりにも苦しい状況に、呼吸法なんて頭から吹っ飛んでしまいました。思わず「痛い!」と叫びそうに……。呼吸が荒くなった私を見て、助産師さんが「陣痛が来ている間、ウーと声を出してごらん」と教えてくれました。
声を出すことでじょうずにいきむことができた
助産師さんに言われた通り、痛いときには「ウー」と声を出してみました。陣痛が和らいだときに、大きく深呼吸をします。次第に呼吸が整っていき、それがじょうずにいきむことにもつながりました。その後は、助産師さんのリードのおかげもあって、スムーズにお産が進んでいきました。
私がこの体験を通してわかったことは、何も声を出すことが悪いわけではないということでした。痛いから声を出すのではなく、いきみ逃しに声を出すことはむしろ良いことだったんだと感じた体験でした。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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イラスト:sawawa
著者:田中由惟
一男一女の母。二人目の出産を機に食品会社を退職。現在は子育てのかたわら、記事執筆をおこなう。趣味はスポーツとピアノ、美味しいものを食べること。