何かと張り合ってくる後輩
当時の私は、メーカーで営業事務として働いていました。
後輩のA子が入社した際、私は教育係を担当しました。勤務態度を注意したことが気に入らなかったのか、それ以来、何かと私をライバル視するようになったのです。
私が担当した案件が評価されると、「次は私が担当したいです」と上司へアピールしたり、新しいバッグを持てば翌週にはそれより高価なものを持ってきたり。仕事でも私生活でも張り合ってくるため、周囲も苦笑いするほどでした。
やがて私の結婚が決まり、半年ほど前からホテルでの結婚式を準備していました。同僚には早めに招待状を送りましたが、以前から私と折り合いの悪かったA子には送っていませんでした。
すると、それを知ったA子が突然、「私も結婚することになりました」と報告したのです。相手は、仕事で関わりのあるB社の本部長だといいます。
それ以来、婚約者の肩書きを自慢したり、何かにつけて私と張り合ったりすることが増えましたが、私は深く気にしていませんでした。
結婚式当日に突然の電話
その後、私はA子とは必要最低限のやり取りだけをして過ごし、迎えた結婚式当日。披露宴が始まる前、受付の確認をしているとスマートフォンが鳴りました。相手はA子です。
仕事の緊急連絡かと思い電話に出ると、開口一番、明るい声でこう言われました。
「先輩の参列者、奪っちゃってごめんなさい♡」
突然の言葉に意味がわからず黙っていると、A子は得意げに話し始めました。
知人が経営するレストランで結婚のお披露目パーティーを開くことにしたらしく、前日の夜になって会社の同僚たちへ「ぜひこちらへ来てください」と一斉にメッセージを送ったというのです。
さらに、「会社の人はみんな私のほうへ来ますよ。だって、私の婚約者はB社の本部長ですから」と笑っていました。
あまりに勝手な思い込みに、私は思わずため息をつきました。
「参列者のことなら大丈夫。心配いらないよ」
そう言ってから、私の婚約者がB社の社長であることを伝えました。
後輩が知らなかった事実
電話の向こうは、しばらく沈黙したままでした。会社では婚約者について詳しく話しておらず、A子はそのことを知らなかったようです。
私は電話を切り、披露宴会場へ戻りました。受付には会社の同僚たちが次々と到着し、「おめでとうございます!」と笑顔で祝福してくれました。
後日、同僚から聞いた話では、前日の夜に突然届いたA子からのメッセージに驚いた人ばかりだったそうです。
「急に言われても予定は変えられないよ」
「何を考えているんだろう」
そんな反応がほとんどで、参加すると返事をした人はいなかったにもかかわらず、A子は「みんな自分のところへ来る」と思い込んでいたようでした。
その後、結婚式当日に私へ嫌がらせの電話をしていたことや、以前から周囲へ私の悪口を言っていたことが上司や婚約者にも伝わりました。
A子の婚約者は、「人の結婚式当日にそんなことをする人だったのか」と大きなショックを受けたそうです。職場でもA子の行動は問題視され、それまでの勤務態度も含めて厳しく指導を受けることになりました。
一方の私は、無事に結婚式を終え、今では夫と穏やかな毎日を送っています。
人と張り合い続けても、本当の幸せは手に入りません。あの日の出来事を通して、自分らしい幸せを優先することが何より大切なのだと、改めて実感しました。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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