つきまとい被害に遭っていた女性・ゆうきを助けたことをきっかけに、凪に隠れて彼女と連絡を取り合い、やがて一線を越えてしまった圭太。嘘を重ねる圭太に、凪はこれまでにない違和感を覚え、夫が何かを隠しているのではないかと疑いを深めていました。
そんな中、ゆうきへの想いを断ち切れない圭太のスマホにメッセージが届き、圭太は思わず表情を緩めます。その様子を見た凪が「誰から?」と尋ねると、圭太は「なんでもないよ」とごまかしました。しかし、凪は納得できず、「……誰?」と重ねて問いかけます。圭太もまた、秘密を悟られまいと緊張を募らせていました。
互いに本心を明かせないまま、夫婦の間に生まれた疑念と隠し事は、少しずつ大きくなっていきます。そして圭太は再びゆうきと会うために嘘を重ね、「残業で遅くなる」と凪に連絡しました。拭えない違和感を抱えた凪は、夫の言葉を確かめるため、会社に電話をかけることに――。
夫の残業を確かめたくて会社に電話をした結果
仕事帰りの圭太のもとに、ゆうきから「今日って何時に終わります? 夕飯どうかな〜と思って」というメッセージが届きます。するとすぐさまゆうきから電話もかかってきました。圭太は連絡できなかったことを謝りながら、「ずっと頭からゆうきのことが離れないくらい会いたい」と切ない胸の内を打ち明けました。嫌われてしまったのかと思っていたと本音をこぼすゆうきに、圭太は今すぐにでも会いに行きたいと心を動かされます。
けれど、さすがにいきなり行くわけにはいかないと考えた圭太は、「実は今、県外に出張していて」と嘘をつき、明後日に会う約束を交わします。凪だけでなくゆうきにまで嘘を重ねる自分を、「最低の男だな」と自嘲するのでした。
圭太は凪に弁当を買って帰ろうかと持ちかけ、「いつも凪頑張ってるんだから」とねぎらいます。けれど凪には、そのやさしい言葉が、後ろめたさをごまかすためのもののように感じられたのです。
2日後、圭太は「今夜は残業になりそうだから先に寝てて」と凪に電話を入れます。娘に「パパ遅くなるんだって」と伝えながらも、凪の鼓動は嫌な予感で高鳴り続けていました。その裏で、圭太はゆうきの部屋を訪れ、2人は再び抱き合います。
胸騒ぎを打ち消したい一心で、凪は圭太の勤務先に電話をかけました。圭太に代わってもらおうとすると、返ってきたのは「中川さんなら定時にあがられましたよ」という言葉。残業しているはずの夫が、とうに退社していた——。
凪の胸騒ぎは的中したのでした。
◇ ◇ ◇
後ろめたさを抱えた人ほど、相手をねぎらう言葉やさりげない気遣いを差し出すことがあるのかもしれませね。そして、本人にとっては罪悪感の埋め合わせでも、受け取る側はそのやさしさに潜む不自然さを、理屈より先に肌で感じ取るものなのでしょう。目の前の心地よさに流され、後ろめたさから目をそらし続ければ、その代償を払うのは、自分ではなく、いちばん近くで信じてくれている人です。
引き返せるうちに一度立ち止まれることがいかに大切か、あらためて考えさせられますね。
おーちゃん