忠告に耳を貸さず、娘の椅子のベルトを留めなかった父親。娘が落下したあとも「自分は悪くない」と言い訳し、診断結果が出ると「大したことなかっただろ?」と無神経に言う父親に、聖也さんは怒りをあらわにします。
「保身に走ったアンタが1番許せないんだ」
「病院で診てもらうまでの時間……どれだけ怖かったか、アンタも親ならわからないか?」
この人も父親なのだから、多少は自分たちの気持ちがわかるはず。しかし、口から出てきたのは思いもしない言葉の数々でした。
「いや、大げさだろ」
「無駄に騒ぎ立てるから心臓バクバクして寿命が縮まったわ」
「勘弁してくれよ」
聖也さんは絶句しました。
たまたまの幸運に支えられて…








「寿命が縮まったのも勘弁してほしいのも、こっちのセリフだよ!!!」
打ちどころが悪ければ、取り返しのつかないことになっていたかもしれないのに……。聖也さんは父親に詰め寄りました。
「だからそりゃ大げさだって!」
「今の若いのは過保護なんだよ!」
聖也さんも子どものころは何度か頭を打ったけれど何ともなかったと、父親は笑って言いました。すると、聖也さんはものすごい形相で父親の腕を掴んだのです。そして、それはただの幸運、たまたま無事だっただけのことだと怒りをあらわにします。そして、昔の話を持ち出します。
「俺がおぼれたこと、アンタは覚えているか?」
「……覚えとるよ」
父親は答えに詰まったあと、弱々しい口調で答えました。聖也さんは深い落胆を覚えます。
「やっぱり覚えていないんだな」
母に同じ質問をすると、しっかり覚えているし、思い出すと今でも震える、父親はそのとき気づいておらず、浮き輪に乗ってくつろいでいたと話します。
自分が子どものころから、父は子どもの安全に対して無頓着だったのだとわかり、さらに怒りが増したのでした。
◇ ◇ ◇
「お前も子どものころに頭を打ったけど、何ともなかった」と父親は言いましたが、聖也さんの言うとおり、それはただ幸運だっただけかもしれません。過去に無事だったからといって、同じ状況が常に安全とは限らないのが、子どもの事故の怖いところです。
子どもの安全に関して「たまたま大丈夫だった」を基準にするのではなく、「最悪の事態を防ぐために、できることをする」という意識が大切ですよね。今回のように、椅子のベルトを留めるなどのちょっとした配慮が、取り返しのつかない事故を防ぐことにつながります。
また、過去に子どもが危険な目にあっていたことすら覚えていない義父の姿は、子どもの安全への無頓着さが長年変わっていないことを示しています。経験から学び、同じ過ちを繰り返さないようにすることが、子どもを守るうえで欠かせない姿勢ではないでしょうか。
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ミント