

夕飯前になると空腹に耐えられない夫
わが家の夕飯は、だいたい午後6時30分ごろと決まっています。娘の塾や夫の仕事の都合を考えると、その時間が最も落ち着いて食べられるからです。
ただ、週に一度だけ、娘の習い事の関係で夕飯がかなり遅くなる日があります。
その日の夕方になると、夫は決まってそわそわし始めます。夫はとにかく空腹に弱く、夕飯まで待ちきれません。お菓子ボックスからせんべいやチョコを取り出して食べたり、時には冷蔵庫から豆腐を取り出して食べたりしながら、なんとか空腹をしのいでいました。
私はそんな姿を見慣れていたため、「また始まったな」くらいに思っていたのです。
静かになったと思ったら…
その日はたまたま、いつものお菓子ボックスが空になっていました。
夫は「おなかがすいた……」と繰り返していましたが、私は夕飯の準備で手いっぱい。「豆腐でも食べておいて!」とテキトーに返しながら、キッチンで慌ただしく動いていました。
すると、急に夫が静かになったのです。
何か食べる物を見つけたのだろうと思っていましたが、数分後、ふと嫌な予感がしました。キッチンの棚を確認すると、高級クッキーの箱が見当たりません。
そのクッキーは、普段仲良くしているママ友から、お礼としてもらった特別なお菓子でした。「今度、家族みんなでゆっくり食べよう」と楽しみにしていたものです。
慌ててリビングへ向かうと、テーブルの上には空になったクッキーの袋がいくつも置かれていて……。夫は気まずそうな顔で座っています。
その瞬間、私は本気で怒りました。ただのお菓子ではなく、友人からもらった大切な気持ちまで、ないがしろにされたように感じたのです。
夕飯を食べて少し冷静になった私
怒り狂う私を見て、夫はすべてを察したのでしょう。何も言わずにその場で土下座をしました。そこまで反省しているのなら、「食べてもいい?」とひと言聞けばよかったのにと思うと、かえって腹が立ちました。
しかし、夕飯を食べておなかが満たされると、不思議なことに気持ちに少し余裕が出てきました。食べ終わるころには、あれほど強かった怒りも少しずつ和らいでいたのです。
冷静になって振り返ると、夫は空腹のあまり、深く考えずに食べてしまったのかもしれません。あのときの夫には、高級クッキーが特別なお菓子ではなく、目の前にある「空腹をしのぐための食べ物」に見えていたのでしょう。
あの日以来、わが家では「いつもと違うおやつを食べる前には確認する」というルールができました。そして私も、夫が空腹を訴え始めたら、夕飯までのつなぎになる物を早めに用意したほうが平和だと学びました。
高級クッキーの一件は、わが家の語り草となっています。今では、夫自身が「あれは本当に悪かった」と、当時を思い出して苦笑いしています。
著者:大野肉美/40代女性・2015年、2019年生まれの女の子を持つ母。趣味はK-POPや音楽活動。日常生活のクスっと笑えるエピソードを読んだり聞いたりするのが大好き。モットーは「一日一笑」。
作画:霜月いく
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
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