心無い言葉を浴びせられるので、さすがの私も参ってしまい、義姉夫婦からの連絡を控え、距離を置くことにしました。そんなあるとき、義姉夫婦が突然私たちの家にやってきて、一方的な提案をしてきたのです……。
義姉からのプレゼント!?
「子どもができなくて寂しいあんたたちに、プレゼント!」
誕生日はもちろん、結婚したときさえお祝いをくれなかった義姉からのプレゼントなんて、嫌な予感しかしません。義姉の後ろにいたのは、ふてくされたような顔をした高校1年生の姪でした。
義姉は「弟の高校受験の邪魔になるから、しばらく預かってよ」と言い、生活費は振り込むという言葉を残して、私たちの返事も待たずに帰ってしまいました。
姪は昔から大人しい性格で、あまり言葉を交わしたことはありませんでした。ただ、私に心無い言葉を投げる両親を「そういう言い方はよくないよ」と制してくれることがあり、決して嫌な印象は抱いていませんでした。
「夜遅くまで出歩いてばかりで学校にも行かない、こんな問題児は弟の邪魔なんだって……」ソファーに座った姪は、静かにそう呟きました。
話を聞くと、義姉夫婦は成績優秀な弟ばかりをかわいがり、姪には厳しく当たるため、家に居場所がなくなり反抗的な態度をとるようになっていたそうです。
了解! 腹を括って高校生のママに!
いくら反抗期とはいえ、両親から厄介払いをされた姪が悲しくないはずがありません。たとえ無理に家に帰したとしても、姪は肩身の狭い思いをするだけでしょう。私は夫と話し合い、しばらく彼女を預かる腹を括りました。
「一緒に暮らすからには、私の娘だと思って接するからね!」そう言って、夫の書斎を片付けて姪の部屋を作りました。最初は少し引き気味だった姪ですが、落ち着いた環境で一緒に生活を始めてみると、本来の素直さを取り戻し、家事もしっかり手伝ってくれるようになりました。
わが家にやってきてからは休まず学校にも通い、夜に出歩くこともなくなりました。精神的に安定したのか勉強にも熱心に打ち込むようになり、学年でも上位の成績を維持するようになったのです。
姪が教えてくれた、大きな夢
ある日、姪は「医者になりたい」という夢を打ち明けてくれました。以前、義姉に話したこともあったそうですが、「あんたが医学部に入れるわけないし、学費がもったいない」と鼻で笑われ、それ以来夢を諦めかけていたと悲しそうに言いました。
「何事も挑戦してみないとわからないよ!」そう思った私たち夫婦は、奨学金の制度を一緒に調べ、姪の夢を全力で応援することにしました。
義姉はというものの、たまに生活費を持ってわが家に来ても、姪の顔を一瞬見てすぐに帰ってしまいます。将来のことはもちろん、姪の話は一切聞きたがらない態度でした。姪も「両親に言うとまたバカにされそうだから、医者を目指すことは黙っていてほしい」と私たちにお願いしてきました。
それから2年後、高校3年生になった姪は猛勉強の末、見事国立大学の医学部に現役合格を果たしたのです! 大学進学を機に、姪は「これ以上迷惑はかけられない」と、大学の近くで一人暮らしを始めることになりました。「しばらく預かる」という当初の約束通り、わが家からの巣立ちです。
娘を捨てた義姉夫婦との再会
1人暮らしの初期費用や当面の生活費は私たち夫婦が立て替えましたが、姪は「立派な医者になって、いつか絶対に返すから」と約束してくれました。
それから8年の月日が流れ、医学部での6年間を終えた姪は無事に医師国家試験に合格し、医師免許を取得。奨学金を返済しながら、2年間の初期研修を経て立派な医師として働き始めました。
姪は就職してからも、ずっと両親には自身の職業を内緒にしていました。しかし、他の親戚づてに、姪が医師になったことが義姉夫婦にバレてしまったのです。
その週末、事態を知った義姉夫婦は手のひらを返したように、何年かぶりにわが家にやってきました。そして、たまたま休日で遊びに来ていた姪と鉢合わせになったのです。
家族の形
ずかずかと玄関に入ってくる義姉夫婦。そして「あら、愛しのわが子が来てるみたいね♡ 医者になったなら言ってよ! 立派になったんだから、私たちに恩返ししてくれてもいいんじゃない?」「育児も楽しんだだろうし、そろそろ返してくれない?」と、調子の良いことを話し始めます。
そんな2人の声を聞いて、「私を支えてくれたのはおじさんとおばさんだよ。恩返しをする相手くらい、自分でちゃんとわかってるから!」と姪はきっぱりと言い放ちました。青ざめていく義姉夫婦……そして姪は「もう勝手に親面しないでほしい。2度と連絡してこないで!」と毅然とした態度で伝え、義姉夫婦を追い返してくれたのです。
その日、姪は「本当の親だと思っている。大事にしてくれて、本当にありがとう」と私たちに言ってくれました。私は思わず、涙があふれて止まりませんでした。
右も左もわからないままスタートした疑似母親生活でしたが、こんなに思いやりのある立派な娘の成長を間近で見られた私は、世界一の幸せ者かもしれません。自分の子どもを持つことはできませんでしたが、すてきな親子関係を築くことができました。
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子どもや若い人の姿は、置かれている環境によって大きく変わることがあります。反抗的に見える態度の裏に、寂しさや傷つきが隠れている場合もあるかもしれません。だからこそ、大人がその場の言動だけで判断せず、安心して過ごせる環境を整え、挑戦を応援することは大切です。相手の可能性を信じ、支えられる存在でありたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。