厳しすぎる教育担当の先輩
転職した会社で私の教育担当になったのは、隣の席に座る男性の先輩でした。
仕事はとてもできる人でしたが、入社初日の業務を終えたころ、突然「君、この業界向いてないんじゃない?」と言われたのです。あまりに冷たく感じてしまい、「最悪の人とペアになってしまった」と落ち込みました。
その後も仕事には一切妥協せず、ミスがあれば厳しく指摘される毎日。私は必要最低限の会話しかしなくなり、顔を合わせるだけでも緊張していました。
そんなある日、私はシステム入力で大きなミスをしてしまい、取引先にも迷惑をかける事態になってしまったのです。頭が真っ白になっていた私を支えながら、真っ先に取引先へ謝罪へ向かったのは先輩でした。
さらに、その日の夜遅くまで一緒に対応してくれ、「『向いてない』と言ったのは、この仕事は覚悟がないと続けられないからだ。本気で頑張るつもりなら、一緒に乗り越えよう」と声をかけてくれたのです。
その言葉を聞き、私は初めて先輩の厳しさは意地悪ではなく、仕事に対する責任感の表れだったのだと気づきました。
それからは仕事について本音で話すことも増え、お互いに意見をぶつけ合いながら信頼関係を築いていきました。気づけば仕事だけでなく、一緒にいる時間そのものが心地よくなっていき……。
出会いから2年後の春。結婚式で私の隣にいたのは、教育担当だったあの先輩。職場の先輩ではなく、人生をともに歩む夫として隣に立っていたのです。
◇ ◇ ◇
新しい環境では、お互い緊張や責任感から、本来の人柄が伝わりにくいこともあります。あのとき、「嫌な人」と決めつけて距離を置き続けていたら、今の私たちはなかったかもしれません。
相手の言葉だけではなく、その行動や本当の気持ちにも目を向けることの大切さを教えてくれた、私たち夫婦の忘れられない思い出です。
著者:佐々木 遥/30代女性・都内のIT企業で働く会社員。夫と二人暮らしをしており、週末は夫婦でカフェ巡りを楽しむのが習慣です。新しい環境に飛び込むのが好きで、日々の何気ない生活の中に小さな発見や幸せを見つけています。
イラスト:こまつもえか
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)
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