門前払いは当然
数年前の連休に帰省したときのことです。飛行機と電車を乗り継ぎ、当時やんちゃ盛りの5歳の息子と、まだ手のかかる2歳の娘を連れて、やっとの思いで夫と同郷の地元に片道4時間かけて到着しました。
実は、久しぶりに子どもたちの顔を見せようと、帰省前に私から事前に義母へ日程の相談をしていました。しかし、義母から返ってきたのは、「予定が入るかもしれないから、また当日連絡して」という予想外な言葉でした。それでも夫の「今回はママ(私)の実家がメインで、うちの実家には泊まらないし、ちょっと顔見せるだけならいいんじゃないかな」という言葉もあって、一応義実家へ寄ることも視野に入れて予定を立てました。
当日、予定通りの時間に行けそうだったので、私が改めて「今から伺ってもいいでしょうか」とチャットを入れると、義母からの返信は「申し訳ないけれど、17時から予定が入っているから会えない」とのこと。そのため私は「残念だけど、今回は私の実家だけにして、お義母さんのところはやめておこう」と夫に提案しました。
しかし夫は「大丈夫大丈夫!『孫の顔をちょっと見せるだけ』なら絶対喜ぶって。17時からだろ? まだお昼過ぎなんだから時間あるよ」と、まさかの強行訪問を計画したのです。「断られてるのに行ったら迷惑だよ」と伝えましたが、「ちょっと会うだけなんだし大丈夫だって〜! さ、行こう!」と聞きません。断りの連絡を受けたのに無理やり行くなんて……ととても気が引けましたが、子どもを連れての大移動中に険悪な雰囲気になるのは避けた方がいいと思い、結局夫を止めきれず、行くことになりました。
義実家に着いたのは、13時半。夫は「ただいま~!」と義実家のインターホンを押します。すると「なんで来たの? 予定があるって言ったわよね?」と、案の定驚いた顔で出てきた義母。私は「すみません、止めたのですが聞かなくて……」とやんわりと弁明しました。
空気を読もうとしない夫は「顔見せに来ただけだから~」と気にせず家に入ろうとしますが、義母は「ちょ、ちょっと待ちなさい。本当に無理なのよ。支度で忙しいし来られても困るのよ。申し訳ないけど帰ってちょうだい!!」と半場押し出すようにドアを閉めてしまいました。
もちろん子どもたちもショックを受けている様子。「おばあちゃんち入れないの?」と涙目になる子どもたちを見て、私は期待させてしまったことに申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
もうどうすることもできないので、義実家の最寄り駅から電車で1時間ほどの私の実家へそのまま帰ることに。私の実家に到着し、長旅とショックで疲れ果てた子どもたちをお風呂に入れて寝かしつけたあと、夫は「いや、まさかあんなに本気で拒絶されるとは思わなくてさ……母さんも冷たいよなぁ」と、まだどこか義母のせいにするような言い訳を口にしました。
それを聞いた私の怒りはついに頂点に。「断られているのに無理やり押しかけてお義母さんに迷惑をかけた挙句、楽しみにしてた子どもたちに悲しい思いをさせて……! 自分の実家に甘えるのは勝手だけど、その甘い見通しに私と子どもを巻き込まないで」と怒りをぶつけたのです。
それでも「でもよかれと思って……」と言い訳を続けようとする夫。いつまでも自分の非を認めない夫にあきれていると、お風呂から出てきた私の母が「いい歳した大人が何言ってるの」と割って入ってきました。
母は夫に「さっきから聞いてたらあなた、自分の親だからってなんでも許されると思ってるのね」と軽蔑の目を向けて話します。「子どもたちはがっかりしただろうし、うちの娘は余計に気を使う。情けないと思わない?」と正論をぶつけられ、夫はぐうの音も出ない様子。そしてそこでようやく「……すみませんでした……。全部、僕の甘さが原因です……」と謝罪をしたのでした。
翌朝、子どもたちにも「パパのせいで期待させてごめん」と謝罪した夫。義母にも後日夫の口から「俺が強行しようって言いました」と説明してもらったので、私のわだかまりも少し解消されました。
「子どもの顔を見せたい」と思う気持ちは親として自然なことだと思いますが、自分の親だからと甘え、結果として家族を振り回した夫の無計画さには心底呆れました。ただ、私ももう少し強めに止めていれば、義母に迷惑をかけることも、子どもたちを悲しませることも防げたかもしれないと反省。また同じようなことをしようとしていたら、今度はもっと強めに止めようと思います。そして、相手が出した「NO」はしっかり受け入れ、気持ちよく関係を築ける配慮を忘れずにいようと、私自身も改めて思った出来事でした。
著者:井島りほ/30代・ライター。小学1年生の息子と、年少の娘を育てる母。おしゃべりが大好きで寝るのが苦手な兄妹と、にぎやかな毎日を過ごしている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)