同窓会で笑われる僕
同窓会開催日の数日前のこと。僕が平日の休みに近所のコンビニへ立ち寄ったことがあったのですが、そのときのラフな服装をAにみられていたようでした。
同窓会の会場に入るなり、Aは「あれ、この前平日の昼間にコンビニで見かけたよな? 昼間からぶらぶらしてるなんて、どうせ無職なんだろ」と決めつけ、Bも「相変わらず冴えないわね」と笑いながら同調してきました。
大人になっても変わらない2人の態度に呆れていると、当時から誰にでもやさしかったCちゃんが「久しぶり! 来てくれてありがとう」と笑顔で迎えてくれました。
実は彼女は今回の同窓会の幹事。予約が取れず困っていると相談を受け、僕がオーナーを務める店をを紹介したことが、この会場に決まったきっかけだったのです。
「全額払え」高額な会計を押し付けられて…
今回の会場は、予約がなかなか取れないことで有名なフレンチレストラン。 1人2万円のコース料理が並び、同級生たちは大いに盛り上がっていました。宴も終盤に差しかかったころ、AとBがニヤニヤしながら僕のもとへやって来ました。
「今日の会計、お前が全部払えよ」
平日の昼間に見かけたことを理由に、僕を無職だと思い込んでいた2人は、「無職でも実家暮らしなら、これまでの貯金くらいあるだろ?」と無理難題をふっかけ、払えないと分かった上で僕に恥をかかせようと、参加者全員分の会計を押し付けようとしてきたのです。
当然、事情を知るCちゃんは「何を言ってるの!? やめなよ!」と止めてくれましたが、Aたちは面白がるばかりで聞く耳を持ちません。
僕が困る姿を見て笑おうとしているのは明らかでした。 そこで僕は落ち着いて口を開きました。
「僕は無職じゃないよ。それに、今日の会計は、僕がお店側で半分負担することになっているんだ」
しかしAたちは見栄だと思い込み、「そんな言い訳が通じるか」と笑うばかりでした。
店長のひと言で会場が
そのとき、近くで様子を見ていた店長が僕のもとへやってきました。
「オーナー、おつかれさまです」
彼のひと言で、会場は一瞬にして静まり返って……。 AとBは状況が理解できず、言葉を失っていました。僕は店長に「おつかれさま」と伝え、みんなへ事情を説明しました。
実は僕は数年前に飲食店経営に携わるように。事業が軌道に乗ったあと、知人と共同で新しいお店を立ち上げることになったのです。この店もその1つでした。
今回の同窓会では、事前にCちゃんから「お店の予約が取れなくて困っている」と相談を受けたため、僕が会場を貸し出したのです。また、少し高いコース料理を食べてもらいたいと思っていた僕は、半額の1万円で料理を提供することに。残りは、僕がお店側で負担しようと考えていたのでした。
事実を知ったAとBは、それまでの態度が一変。「本当にオーナーだったの…?」と驚き、今度は必死に取り繕おうとしました。
しかし僕は、「人を肩書だけで判断する人とは、これからも距離を置きたい」とだけ伝えると、2人は悔しそうにお店から出ていきました。
本当に大切なもの
騒ぎが収まり、同窓会は和やかな雰囲気のまま最後まで続きました。帰り際、Cちゃんは「今日は本当にありがとう。店のことまで助けてもらって感謝してる」と笑顔で声をかけてくれました。
「高校生のころから、あなたは誰にも見えないところで努力していたよね。私、そんな姿をずっと素敵だなって思っていたんだ」。
実は僕も、当時はCちゃんの存在が励みでした。嫌なことがあっても頑張れたのは、分け隔てなく声をかけてくれるCちゃんがいたからです。
その気持ちを伝えると、Cちゃんは少し頬を赤らめながら、「そんなふうに思ってくれていたなんて、うれしい」とほほ笑んでくれました。
過去の出来事は決して消えません。それでも、昔と変わらず、人を肩書や見た目で判断しない人と再会できたことで、僕はようやく過去を乗り越えられた気がします。これからは、お互いを自然体で支え合える関係を、焦らずゆっくり築いていこうと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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