妹の婚約者は、親友の元夫だった
私には2歳年下の妹がいます。子どものころはよく一緒に遊んでいましたが、大人になってからはそれぞれの生活が忙しくなり、以前ほど頻繁に連絡を取り合うことはなくなっていました。
私は数年前から仕事の都合で実家から離れた地域に住んでいます。妹から結婚すると聞いたときも電話で祝福しましたが、婚約者本人とはまだ会ったことがありませんでした。
そんなある日、知らない番号から電話がかかってきたのです。出てみると相手は、親友の元夫・A男でした。なぜA男が突然私に電話をしてきたのか不思議に思っていると、思いがけないことを言われました。
「○○(妹)の結婚相手、俺なんだよ」
どうやら妹が家族の写真を見せたことで、A男は私が婚約者の姉だと気づいたようです。
私は驚きながらも、妹には過去の結婚について話しているのか確認しました。するとA男は、離婚歴があること自体は伝えているものの、元妻が私の親友だということまでは話していないと言うのです。
「結婚式には来るな」
さらにA男は、私へ信じられない要求をしてきました。
「お前は絶対に結婚式に来るな!」
私はA男と親友の結婚式にも出席しています。そのため今回の式でA男の家族と顔を合わせれば、「前の結婚式にも来てくれていたね」などと話しかけられるかもしれない。それによって、元妻が私の親友だと妹に知られるのが嫌なのだと言います。
「妹は離婚歴があることを知ってるんでしょ? だったら別にいいんじゃないの?」
私がそう伝えても、A男は「元妻の親友が式に来るなんておかしい」「妹の結婚式を壊すつもりか」と、なぜか私を責めるような口ぶりでした。
あまりに勝手な言い分に腹が立ちましたが、妹が離婚歴を知ったうえで結婚を決めているのなら、式直前に私が余計な波風を立てる必要もないのかもしれません。
そこで私は、しぶしぶ欠席を了承しました。
ただし、突然私が来なくなれば妹も不審に思うはずです。そこで、欠席することはA男から妹へきちんと説明してほしいと伝えました。
A男もそれを了承したため、私はその言葉を信じることにしたのです。
結婚式当日、妹からまさかの電話
そして結婚式当日。私は式場へ向かわず、自宅で過ごしていました。
すると式が始まる少し前、妹から電話がかかってきたのです。
「お姉ちゃん、今どこ? 式もう始まるよ!」
私は驚きました。どうやらA男は、私が欠席することすら妹に説明していなかったようです。
「自分から説明する」と約束しておきながら、結局何も話していなかったA男。あまりの無責任さに、怒るより先に呆れて笑ってしまいました。ここまでくると、A男に気をつかって黙っているのもばかばかしくなりました。
「私、今日行かないよ。だって、あんたの婚約者が『結婚式には来るな』って言うから」
理由を尋ねられたため、A男の元妻が私の親友で、自分はその結婚式にも出席していたことを説明します。すると妹は、戸惑ったように言いました。
「……元妻って何?」
今度は私が驚く番でした。
確認すると、妹はA男に離婚歴があること自体、まったく知らなかったのです。それどころか、A男からは初婚だと聞かされていたと言います。
そこでようやく、すべてがつながりました。
A男は妹だけでなく、私にも嘘をついていたのです。妹が離婚歴を知っていると思わせ、そのうえで私を結婚式から遠ざければ、過去を隠し通せると考えていたのでしょう。
妹が出した答え
その後、妹はすぐにA男を問い詰めました。A男は、「言うタイミングがなかった」「昔のことだから問題ないと思った」などと言い訳をしたそうです。さらに、A男は自分の家族にも「妹には離婚歴を話してある」と説明していたことがわかりました。
突然の話に妹もすぐには気持ちを整理できず、その日は予定どおり結婚式をおこなったそうです。
ただ、幸いなことに婚姻届はまだ提出していませんでした。式のあと、妹は改めてA男と話し合ったものの、離婚歴を隠していたことや、そのために私や自分の家族にまで嘘をついていたことへの不信感は消えなかったと言います。
最終的に妹は入籍を取りやめ、A男とは別れることになりました。
後日、妹からは、式の前に真実を知ることができてよかったと言われました。
もしA男が約束どおり私の欠席だけをうまく説明していたら、私も妹が離婚歴を知らないとは気づかなかったかもしれません。ひとつの嘘を隠すためにさらに嘘を重ねても、どこかでほころびが出るものなのだと感じた出来事でした。
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