中途採用の社員として紹介されたときは、本当に驚きました。
どうやら彼女は、私がこの会社で働いているのを聞きつけて採用試験を受けたようです。略奪癖という難があるものの、華やかな経歴を持っていたからか、彼女は狙い通り採用を勝ち取りました。
そしてあろうことか、私が彼女の指導員を任されることになってしまったのです……。
余裕しゃくしゃくの友人
「あんたが5年で管理職になれた会社だし、私ならもっと楽にステップアップできると思って! それに彼氏と別れて住む場所も探さなきゃいけなくて。ここなら社宅もあるって聞いたしちょうどよかったわ」と、笑って話す友人。
彼女は小規模な会社だからとバカにしているようですが、わが社は社長の真面目な性格もあって堅実な経営を続けています。それに、私が5年で昇進できたのは努力と実績を評価されたからであって、決して甘い会社ではありません。
「それに、あんたもこの会社で旦那を捕まえたんでしょ? 取引先といい感じになって結婚したって聞いたよ。私ならもっといい男を捕まえられるはず!」
どうやら彼女は、友人伝いに私の結婚話を聞きつけ、婚活も兼ねて転職してきたようです。たしかに私の夫は取引先の営業マンですが、私は仕事とプライベートをきっちり分けて働いてきました。彼女のように分別のない行動をとったつもりはありません。
「早速だけど誰かいい人いない? あと、面倒だから私の社宅申請もやっておいてよ!」と、入社早々先輩である私をあごで使おうとする友人。
私は「出会い目的ならよそでやって。仕事はしっかりしてね」「社内では先輩と後輩なんだから、節度ある距離感を保ちましょう」とあらかじめ釘を刺しておきました。
友人の勤務態度
3カ月後――。案の定彼女は仕事をサボってばかり。直属の上司や私がいくら注意しても聞く耳を持たず、「営業部の人に誘われてお茶してるの~」「私のこと、前から気になってたんだって!仕事してる場合じゃないよね!」と言い出す始末です。
私や上司だけでなく、社長までもが頭を悩ませる状況になっていました。
「あんただって会社で旦那さんと出会ったくせに!私に注意できる立場じゃないんじゃない?」と反論する彼女。たしかに夫とは仕事を通じて出会いましたが、お互い仕事は真面目にこなしていましたし、節度を守って交際していました。
私が口酸っぱく注意を続けると、彼女はなんと「じゃあ、あんたと同じく社外の人ならセーフってこと? よくうちに来るあんたの旦那さん、狙っちゃおうかな~」と言い出したのです。
「冗談でもそんなこと言わないで!」と思わず声を荒らげる私。しかし彼女は「スーツが似合うし、顔もイケメンだしすごくかっこいいよね! 私と付き合ってくれないかな~?」と悪びれもせず続けるのでした。
略奪女の末路
さらに2カ月後――。相変わらず仕事をサボってばかりの彼女から、「私、寿退社しまーす!」と連絡が入りました。
「しかもお相手はあんたの旦那さん♡ 私たち付き合ってて、結婚の約束したの。奪っちゃってごめんね! 早めの離婚とお祝いよろしく」と彼女。私は驚いたものの、「いいの!? ありがとう!」と返信しました。
実は、私の夫はとんでもない浮気性。仕事ができて外面も良いのですが、女癖だけは最悪でした。私と結婚してからも浮気を疑うことは何度もあり、わが社の女性社員数名にも手を出しているという噂まで耳にしていました。
しかし、なかなか決定的な証拠が掴めずにいた私……。そんなときに飛び込んできたのが、彼女からの略奪報告でした。
自ら浮気の証拠を差し出してくれた彼女からの連絡は、私にとって渡りに船でした。調査会社に頼む費用も浮き、完璧な証拠を手に入れた私は、これで心置きなく離婚と慰謝料請求を進められます。
「え? どういうこと……?」と困惑する彼女に、私は夫が筋金入りの浮気男であること、そして証拠を提供してくれたことへのお礼を伝えました。
送られてきた文面からでも動揺している様子が伝わってくる彼女に、私は「あんな浮気男でよければどうぞ」「その代わり、2人からしっかり慰謝料は払ってもらうからね」とメッセージを送り、離婚に向けて動き出しました。
その後――。度重なる指導にも改善が見られなかった友人は、正式な手続きを経て解雇に。さらに、わが社の社員に次々と手を出していた夫の悪行を知った社長は、「コンプライアンス上、大問題だ」として夫の会社との取引を全面的に打ち切る決断をしました。
私は弁護士を通じて離婚協議を進め、元夫と友人の双方にしかるべき慰謝料を請求。2人はそれぞれお金を工面して支払うことになりました。
新たな取引先が必要となった社長は、これを機に強気に新規開拓を進め、会社は今や勢いよく成長しています。
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職場を出会いの場と勘違いして周囲を振り回した結果、すべてを失ってしまった友人。誰かの大切なものを奪おうとしても、最後は自分に返ってくるのかもしれません。人のものを羨むより、自分の仕事や生活を大切にしていきたいものですね。
【取材時期:2026年6月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。