「招待状が届いたよ」と何も知らない両親から連絡を受けた日の夜、友人本人からメッセージが送られてきました。
『招待状、届いたでしょ! あんたのだけ特別に追跡サービスまでつけて送ったんだから』
わざわざそんなことまで……と呆れていると、彼女は『絶対に結婚式に来てよね! 昔の約束、守ってよ!』と続けます。
友人と交わした約束
『約束?』と聞き返すと『なんで覚えてないの!?』と友人は怒り出しました。
『どっちかが結婚するときは、もう片方がスピーチするって学生時代に約束したでしょ!』
しかし、それはお互いに結婚を夢見ていたころの昔話。彼氏を奪われた今の私には、結婚願望などカケラも残っていませんでした。
さらに友人は、追い打ちをかけるようにメッセージを送ってきました。
『元カレと友人の結婚式なんてつらいかもだけど、親友には私の結婚式を見届けてほしいの!! 絶対来てね!』
どこまでも面の皮が厚いなと呆れつつも、私は『わかった。スピーチ準備しておくね』と返信したのでした。
結婚式に席が用意されていない理由
3カ月後、元カレと友人の結婚式当日――。
「結婚式、来てくれたのね! スタッフから聞いたわ!」と友人から電話がかかってきました。しかしそのとき、私は困惑していました。招待客リストのどこを探しても、私の名前が見当たらないのです。
「スタッフさんに招待状を見せたら慌ててたけど……」と伝えると、友人はあざ笑うように言いました。
「あはは! スタッフさんなら確認しに控室に来たわよ?『招待していない知らない女だから追い返してください』って頼んでおいた(笑)」
さらに友人は、私を見下すように言葉を続けます。
「昔からずっとあんたのこと好きじゃなかったの! 席もないのに張り切っておしゃれして来ちゃうなんて、本当にウケる!」
込み上げる怒りを抑えながら「……スピーチは? 用意してきたんだけど」と尋ねると、彼女は冷たく言い放ちました。
「そんなの別の人に頼むに決まってるでしょ! あんただと余計なこと言いそうだし。ご祝儀だけ置いて、とっとと帰ってよね!」
私は言われた通りに用意していたお祝いを友人に託し、その場を後にしたのでした。
略奪婚の末路
4時間後――。「どういうこと!?」と、慌てた様子の友人から電話がかかってきました。おそらく、二次会でとあるアニメーションが流されたのでしょう。これが私からの“お祝い”です。
実は私、式場を去る前に、二次会に出席する友人に声をかけ、あるUSBメモリを託していました。その友人は、新婦が私にした仕打ちや今回の事情をすべて知っていたのです。
事情を知る友人は快く協力してくれ、二次会の会場で計画通りに上映を手配してくれました。頼もしい協力者のおかげで、私のサプライズのお祝いは無事に大画面で流されることとなったのです。
そのアニメーションの内容は、元カレと友人の浮気を事細かに再現したもの。登場人物の名前は本人ではないものの、状況からして誰のことかは一目瞭然です。
「浮気の経緯とか、あんたの家で浮気してたこととか、全部私たちのことじゃない! おかげで二次会が微妙な空気になったんだけど!」と怒り狂う友人。
「これでもプロ2人の合作だから、いいお祝いになると思ったんだけどな」と私。 実は私はイラストレーターで、私同様に浮気をされていた友人の元カレは動画クリエイター。裏切られた者同士で手を組み、今回のアニメーションを作り上げていたのです。
「そ、そんな……あいつまであんたに協力してたなんて……」と絶句する友人に対し、「仕事の合間を縫って作った精いっぱいの力作なんだから、大事にしてね! 結婚おめでとう!」と告げて、私は一方的に電話を切りました。
その後――。 二次会での騒ぎから事情を知った両家の親は激怒。結婚式の援助を取り消されて費用の返還を迫られた二人は、借金を抱えた状態で新婚生活をスタートすることになったと聞いています。
ありがたいことに、私自身はイラストの仕事が順調に増えて生活が安定。友人の元カレとはクリエイター仲間として、ときどき食事をする良い関係が続いています。散々な目に遭いましたが、怪我の功名で信頼できる友人を得ることができました。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢
人の大切なものを奪ったり、嫌がらせをして傷つけたりする行為は、友だち以前に人としてやってはならないことです。「友だちだから」という理由で相手の理不尽な行動や悪意を受け入れる必要はありません。
友だちだからこそ、互いの幸せを心から喜び合い、困ったときには支え合える誠実な付き合い方をしたいもの。心地よく高め合える関係性を育んでいきたいですね。
【取材時期:2026年6月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。