それから10年余り。私は再婚し、長女と、再婚相手との間に生まれた次女の4人で穏やかに暮らしていました。
そんなある日、突然元夫からSNSを通じてメッセージが届いたのです。「この前、お前が女の子と歩いているのを見かけた。あの子、俺の娘だろ。会いたい。家族3人でやり直したい」と。今さらどの面下げてと怒りが湧きましたが、同時に、これまで一度も支払われていない養育費のことが頭をよぎりました。
未払いの養育費を回収したくて
元夫はメッセージで「当時は友人の借金の保証人になってしまい、迷惑をかけないために身を隠していた」などと見え透いたうそを並べてきました。
私は不倫や消費者金融のトラブルについて問い詰めることはせず、「養育費の未払い分を少しでも払ってくれるなら、一度だけ会う」と条件を出しました。
休日のショッピングモール――。
私は今の夫と長女、次女に少し離れた場所で待っていてもらい、元夫と落ち合いました。しかし、現れた元夫は手ぶらでした。「まずは娘が俺に懐くか見させてほしい。これから一緒に暮らせば払えるし」と、身勝手な復縁と同居を迫ってきます。
「絶対に無理」と断っても、元夫はすがってくるばかりで、話がまったく通じません。そのとき、夫と近くの店を見ながら待っていた7歳の次女が、私を見つけて「ねえ、ママー!」と駆け寄ってきました。
そして、元夫は次女を見るなり、「あっ、この前の子……!」と目を見開きました。どうやら、以前私と歩いていた次女を、自分の娘である長女だと思い込んで連絡してきたようです。
次女を実の娘だと勘違いした元夫
「やっと会えたなー」としゃがみ込み、馴れ馴れしく次女に手を伸ばす元夫。しかし、見知らぬ男性に驚いた次女が怯えて私の後ろに隠れると、元夫は不満げに舌打ちをして言いました。
「なんだよ、全然懐かないな。それに、俺の娘なのに顔も俺に似てないし全然かわいくない」
わが子に向かって言い放たれたその言葉に、私は冷たく言い返しました。
「当たり前でしょ。だって、この子とあなたは血がつながっていないんだから」
元夫は一瞬ポカンとし、やがて「血がつながってないだと? お前、俺に隠れて不倫してたのか!」と周囲の目を気にする様子もなく騒ぎ出しました。
しかし元夫が出て行ったのは約10年前。当時おなかにいた子はもう小学4年生の10歳です。3歳違えば、幼さも身長も明らかに異なります。想像力のなさと、自分の子どもに対する無関心さに、私はあきれ果てました。
「私は再婚したの。この子は7歳。今の夫との子。長女はもう10歳よ。あなたが子どもの成長すら想像できないような人だとわかって、心底安心したわ」
元夫が復縁を迫ってきたワケ
私がそう告げると、少し離れて様子を見ていた今の夫と10歳の長女が静かに歩み寄ってきました。今の夫と本当の長女を目の前にして、元夫は気まずそうに顔を引きつらせました。
私は事前に元夫の両親にも事情を伝え、会う日時と場所を知らせていました。元夫の両親も、少し離れた場所で待っていたのです。離婚成立後、約10年にわたって音信不通だった息子の身勝手な姿を目の当たりにした元夫の両親は激怒し、元夫をその場で問い詰めました。両親に問い詰められた元夫は、やがて、またギャンブルで借金を作り、私にお金を無心しようとしていたことを白状しました。
結局、元夫は両親に厳しく叱責され、実家が営む地方の小さな工場で働きながら生活を立て直すことになりました。給料は、必要な生活費を除き、自身の借金返済と長女への養育費の支払いに充てると約束しました。その後、弁護士を通じて、養育費の支払い方法について改めて書面で取り決めました。
身勝手な理由で家族を捨て、再び都合よくすり寄ってきた元夫。彼の身勝手さを許すことは一生ありませんが、養育費をきちんと支払わせる道筋をつけ、区切りをつけられたことで、私の心は晴れやかです。これからも、私を支えてくれる今の家族との日常を大切に守っていきたいと思います。
◇ ◇ ◇
身重の妻に借金や不倫トラブルへの対応を残して失踪し、10年後にお金目当てで戻ってきた元夫。わが子の年齢すら想像せず、心ない言葉を投げかける姿からは、親としての責任も愛情も感じられませんね。離婚して離れて暮らすことになっても、子どもを扶養する責務がなくなるわけではありません。養育費の未払いなどの問題が起きたときは、周囲や専門機関の力も借りながら、自分と子どもの生活を守るために毅然と対応したいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※一部にAI生成画像を使用しています。