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「仕入れ先を見直したい」2,000万円分の売れ残りで取引終了。スーパー社長が客の声に後悔したワケ

私は全国の漁港から仕入れた魚を加工し、スーパーなどへ卸す鮮魚卸会社「B水産」を経営しています。中でも「Aスーパー」とは長年取引を続け、わが社が納めた魚は鮮魚売場で売るだけでなく、店内で作るパック寿司などにも使われていました。ところがある日、Aスーパーから大量の魚が売れ残ったと連絡が入り、長年続いた取引にも大きな変化が訪れたのです。

 

約2,000万円相当の魚が売れ残り!?

ある日、Aスーパーを一代で築いたC田社長から突然「大量に仕入れた魚が売れ残ってしまった。今後の納品量や取引について相談したい」と連絡が入りました。

 

ここ数日の売れ残りを確認したところ、複数店舗を合わせて約2,000万円相当に上っていたそうです。Aスーパーでは以前から、一度に多くの商品を仕入れる傾向がありました。私はこれまでにも、販売状況に対して仕入れ量が多過ぎると、大量の売れ残りにつながる可能性があることを伝えていました。

 

販売できなくなった商品については、契約上、Aスーパー側で処理することになっていました。その一方でC田社長は、「これだけ損失が出た以上、今後は仕入れ先を見直したい」と、わが社との取引を終了したい意向を示したのです。

 

長年取引してきたにもかかわらず、売れ残りをきっかけに仕入れ先まで変えるという話に、社員たちは納得できない様子でした。私自身も複雑な気持ちはありましたが、経営者として冷静に判断しなければなりません。

 

「わかりました。今後のお取引については、そちらの意向を承知しました」

 

その後、契約内容を確認し、Aスーパーとの取引を終了することになりました。ただ私は、仕入れ先を変えるだけで、今回のような大量の売れ残りを防げるのだろうかと疑問に感じていました。

 

大量の売れ残りを調べてわかったこと

その後、Aスーパー本部で鮮魚部門を担当するD子さんから個別に連絡がありました。D子さんは以前から仕入れの打ち合わせなどで何度もわが社を訪れており、私とも顔を合わせる機会が多い担当者でした。

 

今回の件を受けて、店舗での発注や販売状況を改めて確認したところ、気になる点がいくつか見つかったため、直接話をしたいと思ったそうです。

 

すると、実際の売れ行きより多く発注していたことに加え、値引きのタイミングや在庫の確認方法にも改善できる点が見つかったとのことでした。

 

「社長は商品をたくさん並べたほうが売場が充実して見えるという考えが強くて、売れ行き以上の量を仕入れることがあったんです」

 

D子さんはこうした問題をC田社長にも伝えたそうですが、C田社長は、「商品が少ない売場では、お客さまに選んでもらえない。ある程度の量を並べることも必要だ」と、自分の考えを変えなかったといいます。

 

 

仕入れ先変更でパック寿司にも変化が

わが社との取引が終了したことで、Aスーパーでは別の仕入れ先から魚を調達することになりました。それに伴い、これまでB水産の魚を使って作っていたパック寿司も、ネタや内容が変わったそうです。

 

しばらくして、D子さんから再び連絡がありました。

 

「お客さまから『いつものお寿司はもうないの?』『前のお寿司が好きだった』という声が増えているんです」

 

常連のお客さまの中には、以前から販売していたパック寿司の変化に気付く人もいたようです。

 

その声はC田社長の耳にも届きました。これまでC田社長は、売場を商品でいっぱいにすることや、一度に大量の商品を仕入れることを重視していました。しかし、お客さまの中には、商品がたくさん並んでいること以上に、気に入った商品を変わらず購入できることを大切にしている人もいたのです。

 

そして後日、C田社長がわが社を訪れました。C田社長は「自分のやり方にこだわり過ぎていました。仕入れ先を変える前に、こちらの売り方や発注方法を見直すべきでした」と言って、頭を下げたのです。

 

C田社長からは、あわせて取引を再開したいという申し出もありました。しかし私はその場では返事をせず、「今後の発注や在庫管理の体制を確認した上で、改めて検討させてください」と伝えました。長年の取引先とはいえ、以前と同じ形にすぐ戻すのではなく、双方が納得できる形で再スタートすることが大切だと考えたのです。

 

その後、Aスーパーで発注や在庫管理の見直しが進んだことを確認し、わが社も以前より納品量を調整しながら、取引を再開することになりました。

 

Aスーパーとの取引を再開してしばらくたったころ、私は仕入れのために漁港を訪れていました。水揚げされた魚を見ながら思わず笑みを浮かべていると、一緒に来ていた社員から「社長、なんで笑ってるんですか?」と尋ねられました。

 

「今回の件で、改めて大事なことがわかったからね」

 

大量の売れ残りをきっかけに取引が終了したときは複雑な気持ちでしたが、結果的には、Aスーパーが発注や在庫管理の方法を見直すきっかけとなり、私自身も取引先との情報共有の大切さを改めて感じました。私は目の前に並ぶ魚を見ながら、これからも良い商品を届けていこうと気持ちを新たにしたのでした。

 

まとめ

今回の出来事を通して、長く続いている取引であっても、販売状況や発注方法についてお互いに確認し続けることが大切なのだと改めて感じました。

 

これまでにも仕入れ量について気になる点を伝えていましたが、問題が起きて初めて見えてくることもあるのだと思います。これまでうまくいっていた方法が、いつまでも正解とは限りません。

 

これからも取引先と状況を確認し合いながら、お客さまに喜んでもらえる商品を届けていきたいです。

 

 

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

 

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ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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