私自身、会社を経営していますが、私の婚約者もベンチャー企業を立ち上げた実業家です。そんな私たちの婚約を知った妹は、あろうことか私の婚約者をターゲットにしようとしました。
「真面目しか取り柄のない、地味なお姉ちゃんが私より早く結婚!?」「相手は経営者なんでしょ!?写真見せてよ!」と矢継ぎ早に詰め寄ってくる妹。
ですが、妹が私のものに執着し、欲しがるのはいつものことです。私は、「彼のことは一切話さない」「写真も見せない」と頑なに拒否し続けました。
それでも諦めきれなかった妹は、恐ろしい行動に出ます。なんと、彼に直接会いに行ってしまったのです。
猫をかぶる妹
「ついさっき妹さんと偶然会ったよ! 会社の前で『お姉ちゃんの婚約者さんですよね?』って話しかけられたんだ」「姉妹なのに全然似てないんだね……すごくかわいい妹さんでびっくりしたよ!」
彼から届いた突然のメッセージに、私は言葉を失いました。すぐさま妹を問い詰めると、妹は悪びれる様子もなく言い放ちます。
「何も教えてくれないから自分で調べたんだよ〜! 婚約者がすごい人だって知ったら、黙っていられるわけないじゃない!」
その並外れた執念を、少しでも他のことへ向けてくれればいいのに……と頭が痛くなりました。
「まさかベンチャー企業のトップなんてね! いずれ私のお兄さんになる人なんだから、仲良くしたっていいでしょ?」
調子のいいことを言う妹に、私は冷たく告げました。
「そんな調子いいことを言って、本当は私から彼を奪うつもりでしょ? 企みなんて見抜いているんだからね」
すると妹は、「お姉ちゃんみたいな地味で真面目な人より、私みたいなかわいい子のほうが彼にお似合いでしょ? それに、私からアプローチしなくても、彼のほうから寄ってきたら話は別だしね」と勝ち誇ったように返してきたのです。
私は妹に重ねて釘を刺し、彼には「妹は一見かわいいけれど、お金にだらしなくて手を焼いているの。必要以上に関わらないでね」と念押しのメッセージを送りました。
妹の略奪宣言
1カ月後――。
『お姉ちゃ~ん♡ 私ね、お姉ちゃんの婚約者と結婚することになったの!』
妹は、心底うれしそうにそう報告してきました。あれだけ彼にちょっかいを出すなと警告していたのに……。
私が絶句していると、妹は勝ち誇ったように畳みかけてきます。
『さすがのお姉ちゃんも傷ついちゃった? でもさ、しょせんお姉ちゃんなんて、たまたま社長になれただけでしょ? そんな人に彼の奥さんが務まるわけないよね!』
さらに、調子に乗った妹からのメッセージは続きます。『というわけで、お姉ちゃんの大切な婚約者、私がいただいちゃいました♡ 社長夫人の座まで奪っちゃってごめんね~』
『ううん、全然いいよ!』
『……え?』
妹に伝えた真実と2人の末路
呆然とする妹に、私はすかさず告げました。
『全然いいよ。でも、ひとつ勘違いしているみたい。あなたが憧れている“社長夫人”になれるかどうかはわからないよ』
『は? どういうこと?』
『彼の会社、去年うちの会社が買収したの。今はうちの完全子会社だから』
『……え?』
混乱する妹に、私はこれまでの経緯を説明しました。
実は3年前の設備投資の失敗に加え、相次ぐ新規事業の不振によって、彼の会社は経営難に陥っていました。すぐに相談すればよかったものを、プライドが邪魔をして虚勢を張り続けた結果、ついには立ち行かなくなってしまったのです。
万策尽きた彼から相談を受け、私が経営する会社が彼の会社を買収。現在は、私の会社が全株式を保有する完全子会社になっています。
『経営難になって、彼のほうから助けてほしいって頼んできたの。買収後もしばらくは彼に経営を任せていたけれど、業績や今後の経営体制を考えて、実はもう役員を退いてもらう方向で話を進めているところなの』
妹が惹かれたのは、彼自身というよりも「ベンチャー企業のトップ」という肩書だったのでしょう。けれど、その肩書も立場も、決して約束されたものではありません。
そこまで伝えると、妹からの連絡は途絶えました。
その後――。
私は彼に婚約破棄を言い渡し、慰謝料を請求。妹にも今回の件について責任を求めるとともに、これまで貸していたお金をすべて返すよう求めました。
さらにその後、会社では経営体制の見直しが進み、元婚約者は役員を退任することに……。会社として今後の経営を考えたうえでの判断でした。
2人は実家に泣きついたようですが、「自業自得だ」と両親に一蹴され、敷居をまたぐことすら許されなかったそうです。
元婚約者が去った子会社は、その後、順調に業績が右肩上がり。しばらく恋愛はお休みして、会社をさらに大きくするために仕事へ打ち込もうと思っています!
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他人の実績や肩書だけに惹かれて奪おうとしたり、見栄やプライドで自分を偽ったりしても、そんな幸せは長く続きませんよね。本当の価値や心の居場所は誰かから奪うものではなく、自分自身の力で築き上げていくものではないでしょうか。
目先の優越感や表面的なステータスに惑わされず、まずは自分の足でしっかり立ち、日々を誠実に重ねていきたいものですね。
【取材時期:2026年7月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。