「頼んでないぞ!」祭り会場で受け取り拒否
その後、日時や個数などを確認し、例年通り50人分のお弁当を正式に注文していただくことに。ところが祭り当日、思いもよらないトラブルが起きたのです。
約束の時間になり、私は50人分のお弁当を車に積んで祭り会場へ向かいました。到着してお弁当を運ぼうとしていると、血相を変えた男性がこちらへやってきました。今年から町内会長となり、祭りの実行委員長も務めている人です。
そして、お弁当を見るなり声を荒らげました。「今年はここの弁当なんて頼んでないぞ! 持って帰れ!」突然のことに、私はびっくり。
「ですが、昨年まで町内会長をされていた◯◯さんからご注文をいただいていて……」そう説明したものの、町内会長は聞く耳を持ちません。
「こっちは別の店に頼んでるんだ! 勝手に作られても困る!」あまりの剣幕に、それ以上その場で言い返すこともできませんでした。とはいえ、このまま持ち帰っていいのかもわかりません。私は注文してくれた元町内会長に確認しようと、いったんお弁当を車へ戻すことにしました。
帰ろうとした直後、「弁当が届いてない!」
車に乗り込もうとした、まさにそのときです。毎年祭りに関わっている別の役員さんから、私のスマホに電話がかかってきました。
「50人分のお弁当、まだ届いていないけど、どうなってるんだ!」
私は思わず耳を疑いました。「え? 先ほど会場までお届けしましたよ。でも町内会長さんから『頼んでいないから持って帰れ』と言われたので、今、駐車場にいるところです」
すると、電話の向こうで役員さんは絶句。「えっ……? ちょっと待って!」急いで町内会で確認してもらうことになりました。そしてしばらくすると、弁当の手配をめぐって連携が取れていなかったことが判明したのです。
今年から町内会長になった実行委員長は、「今年はいつもと違う店のお弁当にしよう」と考え、新しいお弁当屋へ連絡していました。しかし、そのことを知らなかった元町内会長は、これまでと同じように私の店へ注文。
つまり、町内会の中で情報が共有されないまま、それぞれが別のお弁当屋へ手配を進めていたのです。
「その弁当、納品してください!」一転したワケ
ところが、問題はそれだけではありませんでした。
町内会長が頼んだという新しいお弁当屋へ確認したところ、さらに驚きの事実が判明。会長は一度店へ問い合わせ、「50人分ほどお願いしたい」と日時や予算について相談していたものの、「個数が確定したら改めて連絡します」としたまま、最終連絡をしていませんでした。
会長自身は頼んだつもりでいたようですが、店側では正式な注文として受け付けられておらず、この日の弁当が届けられる予定はありませんでした。「えっ……弁当が届かないの!?」事実を知った町内会長は、見る見るうちに真っ青に。このままでは、祭りを支える50人分の昼食がなくなってしまいます。
先ほどまで私に「持って帰れ!」と怒鳴っていたにもかかわらず、今度は周囲の役員さんたちと一緒に慌てて駐車場までやってきました。「申し訳ありません! そのお弁当、予定通り納品していただけませんか」幸い、私はまだ会場を出ておらず、お弁当もすべて車の中にあります。
もちろん廃棄することにならずに済むなら、そのほうが私としてもありがたいこと。予定通り50人分のお弁当をお渡しすることになりました。
弁当騒動を機に、新たなルールが誕生
その後、町内会長は「事情も聞かずに怒鳴ってしまって、本当に申し訳ありませんでした」と改めて深々と頭を下げました。
さらに、私の店へ注文していた元町内会長も、「結果的にはよかったけれど、私も今年の担当者に確認せず、例年通りで大丈夫だろうと、よかれと思って注文してしまった。迷惑をかけて申し訳なかった」と謝罪。
一時は、せっかく作った50人分のお弁当がすべて無駄になってしまうのではないかと青ざめましたが、結果的には予定通り皆さんに食べてもらうことができて、ほっとしました。
それ以来、町内会では、祭りで何かを発注する際は慣例だけで進めるのではなく、注文先や個数、日時などを複数の役員で確認するルールができたそうです。そして、翌年の夏祭りもお弁当の注文をいただきました。今度は事前にきちんと確認された正式な注文書とともに――。
◇ ◇ ◇
毎年同じように続いていることほど、「今年もきっと同じだろう」と思い込んでしまうことがありますよね。だからこそ、大切なことは関係者同士で事前に確認し、食い違いが生じたときには、すぐに決めつけず、まずは冷静に事情をたしかめたいですね。
【取材時期:2026年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。