「このまま夫婦でいていいのだろうか」――そう思うほど、夫との関係も変わってしまっていたのです。
義父と義妹に振り回される日々
まだ結婚2年目だったにもかかわらず、夫は次第に私をぞんざいに扱うようになっていました。
私が話しかけても生返事ばかり。何か相談しても、面倒そうな顔をされることが増えていました。義家族について悩んでいると伝えても、夫はまともに取り合ってくれません。
義父は何かと私を頼り、身の回りの用事を手伝わせようとする人でした。私にも仕事や自分たちの家事がありましたが、そんな事情はお構いなし。頼み事を引き受けても感謝されるどころか、やり方に文句を言われることさえあり、私は疲れ切っていました。
さらに困っていたのが、夫の妹のこと。
義妹はシングルマザーで、幼い2人の子どもを育てながら、近所のアパートで暮らしていました。わが家はもともと義妹にとっても実家だったことから、頻繁にわが家に子どもを連れて遊びに来ては、何時間も過ごしていったのです。
食事を用意したり、子どもの相手をしたりするのは、なぜか私の役目に……。帰ったあとの部屋は散らかり放題。毎回片付けるのも私でした。
夫は年の離れた妹をとてもかわいがっており、顔を合わせるたびに小遣いを渡していました。自分の小遣いから出しているうちは口を出さないようにしていましたが、それ以上のお金を渡しているように見えて不安に思うことも。将来的に引っ越しも考えていたため、家計にはそこまで余裕がなかったのも一因です。
そこである日、私は夫にこう頼みました。
「妹さんに、せめて帰る前に子どもたちが散らかしたものくらい片付けてもらえないか、伝えてくれないかな?」
ところが夫から返ってきたのは、思いがけない言葉でした。
「俺の家族を悪く言うなよ!」
怒鳴られて、言葉を失った私。私だって夫の家族のはずなのに……。
そんな生活に疲れた私は、仲の良い兄に話を聞いてもらうように。事情を知った兄は、自宅の合鍵を渡してくれました。
「しんどくなったら、いつでも来ればいいよ」
その言葉に救われ、それからは義妹親子が長居しそうな日は、兄の家へ避難することも増えていきました。
義妹に家を渡すと言い出した夫
そんなある日のこと――。
夫が突然、真剣な顔で話を切り出してきました。
「この家、妹とその子どもたちに渡すことにしたから」
一瞬、何を言われたのかわかりませんでした。詳しく聞くと、夫はすでに義妹と話を進めていたようでした。
私は当然、「どうして私に何も相談せずに決めるの?」と反対。しかし夫は、悪びれる様子もなくこう言い放ったのです。
「もともとここは親父の家だろ?」
「お前はここに住ませてもらってるだけなんだから、口出しするなよ」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが切れました。以前から離婚を考えることはありましたが、この人とはもう夫婦としてやっていけないと感じたのです。
そして何より、夫には大きな勘違いがありました。
「無理だよ? 悪いけど、あなたの一存でこの家を妹さんに渡すことはできない」
夫はきょとんとしていました。
それもそのはず。この家の所有者は、私だったからです。
義父が再婚して家を出ることになったとき、「家は息子夫婦に引き継いでほしい」と私たちに話していました。
しかし、当時の夫はお金や不動産の手続きに無頓着。一方、私は仕事を続けており、普段から家計管理も担当していました。
義実家は住宅ローンも残っていたため、家を引き継ぐにあたっては金融機関への相談も必要でした。夫婦で話し合った結果、私が融資を受け、義父から家を買い取るかたちで手続きを進めることになったのです。
もちろん、当時も夫にそのことを説明していました。そして夫は、「俺はそういう手続き苦手だし、それでいいよ」と了承していたのです。
金融機関や義父とも必要な手続きを済ませ、所有権を私へ移し、登記上も正式に私が所有者となっていました。
ところが夫は、不動産や法律についてほとんど理解しておらず、「父親から引き継いだ家なのだから、自分にも自由に決める権利がある」と思い込んでいたようです。
私が改めて登記の内容を説明しても、夫は納得してくれません。義妹まで、「うちの実家なのに、なんでお義姉さんのものになるの?」と怒り始めました。
しかし、「実家だった」という事実と、現在の所有権が誰にあるのかは別の話。夫と義妹は「父を言いくるめたんだろう」「弁護士に相談する」などと言い始めました。
すでに、2人を相手に話し合いを続ける気力がなかった私は、その場で夫に「離婚したい」と伝えました。
黙って終わらせるつもりだったけれど…
その後、私は弁護士に相談。家は私の単独名義でしたが、婚姻期間中に取得した財産でもあるため、住宅ローンの返済状況などを踏まえ、財産分与で考慮すべき点がないか確認。ほかの財産とあわせて、離婚条件を整理しました。
話し合いを重ねた末、私たちは離婚することに。ところが離婚の話が進んでも、夫はなかなか納得しませんでした。
弁護士を通して連絡してほしいと伝えているにもかかわらず、私に直接、「今まで養ってやった分を返せ!」などと連絡してきたのです。
弁護士によると、夫婦として生活するために負担した通常の生活費を、離婚したからといって相手へ請求できるわけではないそうです。それでも夫からの連絡は続きました。
そこで私は、これまで表に出さずにいた「ある事実」についても弁護士に相談することに……。
実は夫は、私との婚姻中に別の女性と不倫関係になっていたのです。相手は義妹の友人です。
皮肉なことに、その事実を私が知るきっかけを作ったのは義妹でした。義妹は以前から、私に嫌みを言うような調子で、夫と友人の親密な関係をほのめかしていたのです。
不審に思った私は、離婚を決意する少し前に調査会社へ依頼していました。その結果、夫と女性の関係を裏付ける資料を入手。
当初は、離婚条件がまとまるなら大事にするつもりはありませんでした。しかし、夫から理不尽な要求や連絡が続いたため、不倫の証拠を弁護士に提出。最終的には不貞行為についても離婚協議の中で扱われ、夫から私へ慰謝料が支払われることになりました。
さらに離婚に向けてお互いの財産を整理する中で、夫に私の知らない借金があることもわかりました。義妹を援助するためのお金に加え、不倫相手にもかなりのお金を使っていたようです。
離婚後、共通の知人から聞いた話では、夫は不倫相手とも別れたそう。義妹への援助も以前のようにはできなくなり、兄妹そろって金銭面ではかなり苦労しているとのことでした。
一方、私は、離婚に伴う財産分与について弁護士を通して整理し、夫とも話し合ったうえで家を売却することに。住宅ローンの残債なども整理したあと、兄と暮らせる広めのマンションへ引っ越しました。以前のように義家族が突然やってきたり、誰かの機嫌をうかがいながら暮らしたりする必要もありません。
仕事にも集中できるようになり、ようやく穏やかな毎日を取り戻せました。結果的に大事にはなってしまいましたが、離婚を決意してよかったと心から思っています。
◇ ◇ ◇
夫婦で決めたはずのことでも、一方が内容をきちんと理解していなければ、後になって大きなトラブルにつながることがあります。
今回のエピソードでは、夫の一言が、妻が夫婦関係を見直す決定打になりました。義家族との関係に我慢を重ね続けるのではなく、自分の生活を守るために環境を変えられたことは、大きな一歩だったのではないでしょうか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。