監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)
2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。
「子宮体がん」ってどんな病気?

不正出血から始まり、進行すると全身に転移することも
子宮体がんは、がんの中でもどんな特徴があるのでしょうか。
「子宮の奥には妊娠すると胎児が宿る体部があります。この体部にできるのが子宮体がんです。
代表的な自覚症状は不正出血です。出血量が少なく、おりものに血が混じって褐色になるだけの場合もあります。進行すると、下腹部の痛みや性交時の痛み、腰痛などが現れることもあります。
進行すると、子宮頸部や腟、リンパ節、卵巣、卵管などに広がり、さらに肺や肝臓など離れた臓器に転移することもあります。
婦人科系のがんの中では罹患数が多く、40代後半から増加して50~60代にピークを迎えるのが特徴です」(駒形先生)。
どんな女性がかかりやすい?

1.閉経後
閉経が遅いことがリスクになるのはなぜなのでしょうか。
「子宮体がんには、女性ホルモンのエストロゲンが発症に関係するものがあります。子宮内膜がエストロゲンの刺激を長期間受けることは、子宮体がんの発症リスクを高める要因の一つとされています。
そのため、閉経が遅いことや、出産経験がないこと、肥満など、エストロゲンの影響を受ける期間や量が増える要因がリスクとして知られています」(駒形先生)。
2.肥満
肥満も高リスクの一つですが、なぜなのでしょうか。
「エストロゲンには、主にエストロン、エストラジオール、エストリオールがあります。閉経後は卵巣からのエストロゲン分泌が大きく減りますが、脂肪組織などでもエストロゲンが作られます。
そのため、肥満では子宮内膜がエストロゲンの刺激を受けやすくなり、子宮体がんの発症リスクが高くなると考えられています」(駒形先生)。
3.未産
妊娠・出産経験がないことも高リスクになるのですね。
「出産経験がないことも、子宮体がんのリスク因子の一つとされています。妊娠中は排卵や生理が止まるため、出産経験がある女性と比べて、出産経験のない女性ではエストロゲンの影響を受ける期間が長くなることなどが関係すると考えられています」(駒形先生)。
不正出血があったらすぐ受診?

出血の原因を探るためにも受診を
一度でも、また、少量でも不正出血があったら受診したほうが良いのでしょうか。
「不正出血=子宮体がんというわけでなく、出血にはいろいろな原因が考えられます。
1回だけだから、少量だからと自己判断することなく、受診してほしいですね。
子宮体がんが疑われる場合は、経腟超音波検査で子宮内膜の状態を確認したり、子宮内膜の細胞診や組織診をおこなったりします。組織診では子宮内膜の組織を採取して調べ、子宮体がんかどうかを確定します。
細胞診や組織診では痛みを感じることがありますが、その程度には個人差があります」(駒形先生)。
そして、超音波検査は見るタイミングが重要なのだとか。
「子宮内膜が厚くなっているかどうかを見るのですが、生理前だと、生理の準備で厚くなっていることがあります。超音波検査は生理直後がベストです。よく、生理直後はにおいや血液が残っているかもといったことを気にする方がいますが、医師は慣れているので大丈夫。
それよりも検査が遅れて進行してしまうほうが良くありません。医師とよく相談してスケジュールを組んでください。
不正出血などの症状があり、医師が診療上必要と判断しておこなう検査は、原則として保険診療の対象になります。自己負担額は検査内容や負担割合、医療機関などによって異なります」(駒形先生)。
早期発見が大切
「子宮体がんは早期発見できれば予後が良いとされています。手術が可能な場合は、子宮と両側付属器(卵巣・卵管)を取り除く手術が基本です。
手術後に薬物療法や放射線治療を追加するかどうかは、がんの進行度や組織型、再発リスクなどによって判断します。リンパ節を切除するかどうかも、がんの広がりや再発リスクなどによって検討されます。
また、手術後も再発の可能性があるため、定期的に経過観察をおこないます。一般的には、治療終了後5年ごろまでを目安に、再発リスクなどに応じて診察や検査を受けます。
進行した段階での手術をした場合は腟、骨盤内など局所での再発のほか、肺や肝臓といった局所外へ再発する可能性も高くなるので、子宮体がんは早期発見がとても大切です」(駒形先生)。
まとめ
駒形先生によれば、閉経後かなり時間がたっている女性は不正出血があるとびっくりして受診する人が多いそうです。一方でまだ生理があったり、生理不順の40代、50代女性は「いつもの生理不順か」くらいで見逃してしまいがちなのだとか。子宮体がんについては、現在、国の指針で定められたがん検診はありません。そのため、不正出血などの症状を「いつもの生理不順」と自己判断せず、受診につなげることが早期発見の重要な手がかりになります。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
イラスト:村澤綾香
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!