「早めに実家に戻って備えたほうがいい」という夫の言葉通り、妊娠5カ月という早さで帰省した私。両親は共働きのため、昼間は実家でひとり、のんびりと過ごしていました。
そんなある日、親友から焦った様子で連絡が入ります。彼女は地元の幼馴染で、大学進学時に一緒に上京し、今は私の自宅から電車で数駅の場所に住んでいます。
普段は落ち着いている彼女が、一体なぜそんなに動揺しているのでしょうか……?
親友が街で目にした夫の姿
「ねぇ、今って地元に帰ってるんだよね!? こっちにはいないよね!?」電話口の親友は、開口一番焦った様子で尋ねてきました。
「うん。ちょっと早いけど、今月頭から実家に帰ってるよ」戸惑いながら答えると、彼女はどこか探るようなトーンで言葉を続けます。
「旦那さんってお姉さんか妹さんっていたっけ? あと、5歳くらいの姪っ子ちゃんとか……」
「ううん、夫は一人っ子だし、私の方にも甥や姪はいないよ。一体どうしたの?」
「落ち着いて聞いてね……実は……」
親友の話によると、私へのプレゼントの下見に赤ちゃん用品店へ行った際、夫を目撃したのだそう。
「さっきあなたの旦那さんを見かけたの。それで……知らない女性と一緒にいて……。その人とは腕を組んでいて、もう片方の手で5歳くらいの女の子と手をつないでたの。しかもその子、あなたの旦那さんのことを『パパ』って呼んでいて……」
「妊娠中のあなたにこんなこと伝えるのはダメだと思ったけど、やっぱり見過ごせなくて……。信じられないかもしれないけど、私はこの目で見たの」と、申し訳なさそうに明かす親友。
そして「あなたに無理はさせられないから、私のほうでも少し探ってみるね。もしまた何かわかったら連絡してもいい?」と、親身になって寄り添ってくれたのです。
妻の居ぬ間に夫が招き入れた偽家族
その後。私は無事に元気な男の子を出産しました。しかし「絶対に立ち会う!」と意気込んでいた夫は、急に仕事が入ったと言って病院には来てくれませんでした。
出産を終えた報告のために電話をかけると、「立ち会えなくて本当にごめん! 無事に生まれてよかったよ」「早く2人に会いたいな。やっぱり初めてのわが子って緊張するし、早く抱っこしたいよ」と調子の良い言葉を並べる夫。
「初めてじゃないくせに」冷ややかに返すと、電話の向こうで夫は「え?」と素っ頓狂な声を上げました。
「さっきから『初めて』アピールが露骨すぎるよ。息子の誕生を喜んでくれるのは嬉しいけど、私、しばらくそっちには帰らないから。……っていうか、二度と帰らないかも」
「お、おい、急に何を言い出すんだよ!?」と焦る夫に、私はトドメを刺します。
「私が言いたいこと、本当はわかってるでしょ? あなたの子どもはこれで2人目……まさか私に隠れて、もうひとつ家庭があったなんてね」
親友は私のために夫の浮気の証拠を徹底的にかき集めてくれていたのです。
親友の調査によると、夫は私と結婚してすぐに浮気を始め、相手を妊娠させていたとのこと。さらに許せなかったのは、私の体を気遣うフリをして里帰りさせ、その間に浮気相手と子どもをわが家に招き入れていたことでした。
「あ、いや、違うんだよ! 仕方がなくてさ……俺にとって一番大事なのは、お前と生まれたばかりの息子なんだ!」と必死に取り繕う夫。
この期に及んで苦しい言い訳をする夫に呆れ果て、私は冷たく告げました。「一番大事な人を傷つけておいて、よくそんなことが言えるね。今ここで覚悟が決まった。私、離婚する」
「えっ!? 子どもが生まれたばかりなのに!?」と夫は驚いていました。
正直、私だってこんなタイミングで離婚したかったわけではありません。子どものために父親の存在も必要だと考え、少し時間を置いて戻ることも頭をよぎっていました。
しかし、素直に謝るどころか苦しい言い訳ばかり並べるこの男と、一緒に子育てをするなんて無理だと確信したのです。
「頼むから待ってくれ! 俺は離婚なんてしたくない!」と泣きつく夫に、私は吐き捨てるように言いました。
「あんたは離婚しても困らないでしょ。もう『奥さんと子ども』がいるんだから」それだけ告げて、私は電話を切りました。
シングルマザーでも……
その後、私の体調が落ち着いてから、互いの両親を同席させたうえで離婚の話し合いを行いました。
その場には夫の浮気相手も同席。弁護士を挟んで2人に慰謝料を請求し、夫からは財産分与や養育費も含め、こちらの希望通りの条件で支払わせる合意を取りつけました。
ことの顛末を知った義両親は元夫に激怒。略奪成功とばかりに「今まで隠していてすみません。でも、この子もお義母さんやお義父さんにとっては大事な孫ですよ。これからは家族としてよろしくお願いしますね」と厚かましくあいさつする浮気相手を完全に無視し、話し合いが終わると同時に元夫と浮気相手へ絶縁を言い渡しました。
私は両親のもとで、シングルマザーとして息子を育てることに。親友も転職を機に地元へ戻ってきました。息子のことをとてもかわいがってくれており、心強い味方に感謝しながら前を向いて歩んでいます。
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どのような事情があったとしても、大人の不誠実で身勝手な振る舞いに、罪のないお子さんを巻き込むようなことがあってはならないことですよね。わが子に嫌な思いやつらい思いをさせないよう、誠実に愛情を注いで生きていくことの大切さを、あらためて感じさせられる体験談でした。
日々の暮らしの中で、自分自身もわが子や家族に対して誠実に向き合えているか、親としてのあり方をあらためて見つめ直していきたいものですね。
【取材時期:2026年7月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。