妻気取りの幼なじみにモヤモヤ
ある日、A男と居酒屋で食事をしていると、彼の幼なじみ・B子から連絡が入りました。近くにいると知ったA男は、その場へB子を呼ぶことに。
初対面ということもあり、私は少し緊張していました。ところがB子はそんな様子もなく、席につくなりA男の好き嫌いや昔からの癖について次々と話し始めたのです。
「この人、朝が弱いから気をつけてね」
「疲れると機嫌が悪くなるから、やさしくしてあげて」
まるで妻のような口ぶりです。さらに、私の知らない学生時代の話を持ち出しては、A男のことなら何でも知っていると言わんばかり。A男も嫌がるどころか、楽しそうに笑っていました。
そんな中、結婚の話になると、B子が突然こう言いました。
「A男、この前も言ってたよね。『結婚にがっつく女ってキモい』って」
驚いてA男を見ると、彼は少し焦ったものの、「別にお前のことじゃない」とごまかすだけでした。
2人きりで聞かされたこと
その後、A男が席を外すと、B子は声を落として話し始めました。
A男は本当はまだ結婚を急ぎたくないと思っていること。周囲には「彼女がしつこいから、仕方なく結婚の話を進めている」と話していること。さらに最近は、「結婚したら遊べなくなるから」と、何人かの女性と2人で飲みに行っているというのです。
もちろん、私はどれも初耳でした。
驚く私をよそに、B子はなぜか満足そうな様子。もしかすると、昔からA男に特別な感情があるのかもしれない。そんな気がしました。
私はその場では言い返さず、「わかった。もう結婚を急かすのはやめるね」とだけ伝えました。するとB子は、「そのほうがいいよ」とうれしそうに笑ったのです。
婚約を白紙にすると…
B子の話は気になりましたが、彼女がA男に好意を持っているようにも見えたため、その言葉をすべて鵜呑みにする気にはなれませんでした。
そこで数日後、以前から面識のあったA男の友人に最近の様子を聞いてみることに。すると、B子の話はほぼ事実だとわかりました。
A男は複数の女性と2人で飲みに行き、友人たちにも「彼女が結婚、結婚ってうるさい」「結婚したら遊べなくなるから、今のうちに遊んでおかないと」などと話していたそうです。
本人にも確認しましたが、女性と会っていたことは否定せず、最後には「まだ結婚してないんだから問題ないだろ」と開き直りました。
私の前では結婚に前向きな態度を見せながら、外ではまったく違うことを言っていたA男。もう信頼することはできないと思い、私は婚約を白紙にすることを伝えました。
するとA男は、予想以上に慌て始めたのです。
「待ってくれ! 俺、もう会社辞める話を進めてるんだぞ!」
なんとA男は、私に黙って勤務先へ退職の意思を伝え、すでに引き継ぎまで始めていたのです。しかも、その理由を聞いて私はさらに驚きました。
結婚を当てにしていたのは…
A男が退職を進めていた理由は、私の祖父が経営する会社でした。以前、仕事に悩んでいたA男に、祖父が「転職を考えるなら、うちも選択肢にしてみたらどうか」と声をかけたことがあったのです。
私はあくまでひとつの提案だと思っていました。ところがA男は、私と結婚すれば祖父の会社へ転職でき、将来は経営に関わることもできるかもしれないと期待していたようです。
しかし祖父は、A男を採用すると約束したわけではありません。
周囲には「彼女が結婚にがっついている」と話しながら、私との結婚を前提に仕事まで辞めようとしていたA男。誰が本当に結婚を当てにしていたのかと思うと、あきれるばかりでした。
その後、A男に何度か引き止められましたが、婚約を解消する決意は変わりませんでした。
後から聞いたところでは、私たちが別れたと知ったB子はA男に好意を伝えたそうです。しかしA男からは、「B子とはそういう関係になるつもりはない」と断られてしまったのだとか。
あの日B子に会わなければ、A男の裏の顔を知らないまま結婚していたかもしれません。結婚前に違和感を見過ごさず、きちんと確かめることができて本当によかったと、今では思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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