「バースプラン」という言葉をご存じですか。近年、多様な出産スタイルのなかから希望のお産を叶えるために、バースプランの導入をしている産院が増えています。しかし、希望のお産について問われても、初めてのお産に挑む場合イメージをつかみにくく、バースプランの書き方や内容に戸惑ってしまうこともあるでしょう。そこで、今回はバースプランの書き方について紹介します。
バースプランとは何か?どんなメリットがある?
バースプランとは、簡単に説明するとお産前後の計画についてまとめたもので、お産時のケアや流れについて、ある程度の希望を示すものです。これからお産をする予定の産院がバースプランを取り扱っている場合、あらかじめバースプランを記入して提出するようにアナウンスがあるでしょう。バースプランは産院によって取り扱っていないこともあります。お産時に希望したいことがある人は、分娩予約をする前に産院にバースプランの実施の有無を確認しておきましょう。また、バースプランがなくても、お産時の流れや産後のケアなどについて希望したいことがある場合、医師や産院のスタッフに相談をしてみてください。
では、バースプランの提出が可能な場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。まず、バースプランを立てることでお産を迎える妊婦さんと家族の話し合いのきっかけとなります。何かと不安な気持ちになりやすいお産について、しっかりと話し合うことで安心感を得られます。さらに、当日の立会いについてや連絡をする人、産後の部屋のプランなど、お産入院についてイメージをしやすくなり、産院側と情報を共有できる点もメリットのひとつと言えます。バースプランの書き方については、決まったフォーマットとして指定があれば従い、特に細かい決まりがなければ、お産入院のスタート時点から段階的に希望を書いていくと、産院スタッフにも伝わりやすくなります。
バースプランの書き方に決まりはあるの?
バースプランを提出する場合、書き方に決まりがあるのでしょうか。バースプランの記入内容に指定があったり、選択式の場合は指示どおりに記入します。指定内容や選択肢以外の希望がある人は、その内容について欄外や別紙で添付をして、産院側が対応できるか確認してください。一方で、バースプランの記入用紙がシンプルなケースもあります。その場合、どのような書き方が好ましいのでしょうか。迷ったときは、今回のお産でどのようなことを重視しているか整理をしてください。母子の健康はもちろん、立会いで出生の瞬間をビデオ撮影したい、母子同室で赤ちゃんとの生活に慣れたいなど希望の優先順位をつけて、産院側と共有できるように書き出します。
家族や夫婦でお産に向けた話し合いをしても、バースプランの方向性が一致しないときはどのように対処すれば良いでしょうか。例えば、夫婦間で立会いを希望する、立会いを希望しないと意見が分かれてしまっている場合、バースプランの書き方がわからなくなってしまいます。未定な項目については、バースプランの提出時点では未定であることを記載し、医師や産院スタッフ、家族と相談する機会を設けると安心です。お産は妊婦さんにとっても家族にとっても一大イベントですから、バースプランをスムーズにまとめられなくても焦る必要はありません。書き方に迷ったら、産院に問い合わせをしましょう。
お産の流れで不安なことについても、バースプランに記入することもできます。どんなときに緊急帝王切開をするのか、どのタイミングで無痛分娩の麻酔をするのかなど、詳しく知りたい内容についてメモをしておくと、お産の前に説明を受ける機会を得られることがあります。バースプランの書き方は基本的に自由です。実際の動きや医療行為についてだけでなく、気持ちについても書き出しておくと適切なサポートにつながります。「緊張しがちな性格です」など、性格について記しても良いでしょう。
バースプランの記入例、具体的にどのような希望を書いて良いのか
バースプランを実際に書く際、具体的にどのような希望を書くと良いのでしょうか。まず、お産の進捗段階別に希望を整理しておきます。すると、バースプランの書き方としてベーシックな見やすい形式になります。書く際は次の順にまとめてみてください。1つ目は陣痛が起きて入院が始まるとき、お産をする部屋を選択できる産院の場合は希望の部屋も忘れずに記入しましょう。2つ目は分娩中について記入し、3つ目は分娩後の希望について記入します。では、実際に具体的なバースプランの書き方について、一例としてですが紹介しましょう。
「陣痛時はLDR(分娩陣痛室)で音楽を流したいです。日中に陣痛が来た場合、5分間隔になったら夫に連絡をしてください。また、陣痛中は夫婦のみで過ごしたいと考えています。分娩中はなるべく会陰切開をしないで分娩をしたいですが、必要な場合はお願いします。立会いを希望していますが、赤ちゃんが生まれるまでビデオや写真撮影はしたくありません。赤ちゃんが生まれたら、初めての家族写真を撮りたいと考えています。産後は個室で体調をみながら母子同室に挑戦します。家族のお見舞いは、産後2日目以降が良いです」など、お産で希望することと希望しないことを書いておきましょう。
また、経産婦さんはほかの子どものケアについても記載しておくと安心です。陣痛時にお迎えの手配を誰に連絡をするか、入院期間中に同室入院できる場合は利用の希望があるかなど、家族の予定についても書いておくと慌てずにすみます。その他、出産日をあらかじめ決めている人や、帝王切開を予定している人も、お産入院中の過ごし方についてバースプランに書いておいてください。書くことで陣痛中の対応や分娩時、産後のサポートがスムーズになります。バースプランの希望内容に不安や疑問があれば、医師や産院スタッフにアドバイスを求めましょう。
バースプランの注意点
バースプランの書き方について、簡単に紹介してきましたが、次はバースプランを書き方の注意点についてまとめます。バースプランはお産時の希望を産院側と共有できるメリットがありますが、気をつけておくべきことがあります。それは、あくまでもバースプランは「希望」であるということです。お産時に優先されることは、母子の健康です。医師や助産師などの判断により、バースプランとは異なるお産の流れを迎える可能性があることを理解しておきましょう。例えば、帝王切開を予定していなくても、母子の状態により緊急帝王切開がおこなわれることもあります。最優先事項は母子の安全と健康だということを忘れずに、バースプランを立ててください。
そしてもうひとつ、バースプランには注意点があります。順調にお産が進んでいても、状況によってバースプランに書いたことをすべて叶えられるとは限らないという点です。例えば、陣痛時にアロマオイルを使用したい、お灸を据えたいと記入しても、産院によっては香りの強いオイルや可燃物の持ち込みを禁止しています。安全のために禁止している項目もありますので、詳細は産院に確認しましょう。さらに、産後に個室を希望していても、ほかの入院患者の状況によって、一時的に大部屋で過ごす可能性もあるでしょう。
バースプランの書き方は比較的自由度が高いのですが、産院による制限や当日の状況により変更を余儀なくされる可能性があることも、忘れないようにしてください。
まとめ
バースプランの書き方は、産院によっても異なります。バースプランの取り扱いがある産院を利用する人は、ぜひバースプランを活用してください。可能ならば、家族でバースプランを計画してはいかがでしょうか。家族全員で協力して子育てをしようと意識を高めて、赤ちゃんを迎え入れることができるからです。記事中のバースプランの書き方は一例です。ぜひ、あなただけの素敵なバースプランを立ててください。