冷たくなった夫
しかし、そんな大切な時期に、夫は私を不安にさせる言動ばかりを繰り返したのです。「スイカを鼻から出すような痛みなんだって!?」「料理下手で掃除も適当。母親としての自覚ないんじゃない?」と、毎日心無い言葉をぶつけてきました。さらには「痛みを知ったら一人前になれるな!」と、謎のプレッシャーまで。私が仕事を辞めて家にいるようになってからというもの、夫の態度は明らかに冷たくなっていきました。
ある日、ベビー用品の買い出しに出かけた際、偶然にも義妹と鉢合わせしました。彼女は昔から明るく、私を笑顔にしてくれる大好きな存在でした。
「1人で出産準備なんて大変じゃないですか!?」と、夫がまったく協力的でないことを察したのか、私を気遣ってくれたのです。さらに、「初めて子どもが生まれる夫婦のビッグイベントなのに!お兄ちゃんはやさしさのかけらもない!」と、私の味方になって怒ってくれました。「お兄ちゃんが手伝わないなら、私を参加させてください!」と、そのまま買い物を手伝ってくれたのです。
夫の冷たい態度に塞ぎ込んでいた私にとって、久しぶりに心から楽しい一日となりました。
出産方法を否定してくる夫
それから数週間後、妊婦健診で「赤ちゃんの逆子がどうしても直らないため、母子の安全を最優先して予定帝王切開にしましょう」と医師から提案されました。
自宅に戻り夫に報告すると、反応は最悪なものでした。「陣痛があるからこそ母性が芽生えるんだろ!?痛みを乗り越えてこそ母親になれるんじゃないか!」と激怒し始めたのです。さらには「帝王切開だって知ったら、母さんブチ切れるぞ!」「楽な出産をした奴は敵認定される!お前の立場は危ういぞ!」と、義母を引き合いに出して脅すようなセリフを連発しました。終いには「母さんを喜ばせるためにも普通分娩にしろ!」とまで言ったのです。
妻や赤ちゃんの命の安全よりも、自分の母親の機嫌や自分の価値観を優先する夫。こんな人と家族でいていいのだろうかと、不安は募るばかりでした。
後日、主治医の先生から今回の出産での自然分娩の危険性を直接説明してもらったことで、夫も渋々ながら承諾。無事に帝王切開で第一子を出産しました。
「よく頑張ったね」と言ってくれたのは
術後の激しい痛みと疲労に耐えていた私。そんな中、お見舞に来た夫が放った言葉は「母親になった自覚ゼロだな。楽な道選んだんだもんな」という耳を疑うような一言でした。
その直後、義母と義妹が病室に現れました。夫は私を義母に責めさせようとしたのでしょう。しかし、結果的にこれが私の救いとなりました。
私が帝王切開で産んだと知った義母は、「よく頑張ったね。痛かっただろう?不安だったでしょ?」と、心から私を気遣ってくれたのです。
「途中で帝王切開に変わったの?」と尋ねる義母に、「はい……逆子が直らなくて、先生から提案されて……」と答えると、「それは大変だったねぇ。不安だったでしょ?」とやさしく撫でてくれました。義母の温かい言葉に涙が込み上げてきましたが、その感動をぶち壊したのが夫でした。
「不安なわけないじゃん。陣痛すっ飛ばして楽して子ども取り出してもらってんだから!普通の母親は痛みを乗り越えて親になるのに、こいつは楽な方を選んでズルいよな」とヘラヘラ笑いながら言い放ったのです。
夫と決別!子育ては、あたたかい人たちと
この発言に、義母と義妹の怒りが大爆発しました。
「帝王切開が楽なわけないでしょ!」「おなかを切って命を産む重みを知らないの!?」「痛みを乗り越えてこそ親になれるなら、父親はいつ親になるのよ!」と、義妹からの鋭いツッコミが飛びました。
トドメに義母が「あんたはちっともわかっていない!出産はいつだって命がけなんだ!その危険をすべて背負ってくれた妻に対して、よく楽したなんて笑っていられるね!!」と激怒しました。病室に、夫をかばう者は誰一人いませんでした。
青ざめる夫をよそに、義母が私に向かって「今後どうしたい?」と聞いてくれました。妊娠中からの暴言の数々に限界を迎えていた私は、「この人とは一緒に育てていけません。離婚させてください」と、義家族の前ではっきりと告げました。
慌てて謝罪する夫を、義母は無理やり病室から連れ出してくれました。その後、義両親の立ち合いのもとで冷静に話し合いを進め、無事に離婚が成立。
退院後、夫は義実家へ連れ戻され、私と子どもだけの平穏な生活がスタートしました。養育費の支払いも公正証書でしっかりと取り決め、義実家のサポートもあって、シングルマザーとしての生活基盤も整いました。
今は元々働いていた職場に復帰し、ときどき義母と義妹が頻繁に手伝いに来てくれて、子育てを助けてくれています。おいしい手料理や買い物の差し入れにも感謝の気持ちでいっぱいです。かわいいわが子と、本当にあたたかい人たちに囲まれて、私は今、心から幸せです。
◇ ◇ ◇
出産はすべてにおいて命がけです。「楽な方法」などありません。新しい命を誕生させたこと、それだけで本当に尊く、立派なことではないでしょうか。
妊娠・出産という心身ともにデリケートな時期に、心ない言葉をかけてくるパートナーとは、一度しっかりと距離を置き、自分の心と体を守ることも大切です。周囲のあたたかいサポートを受けながら、安心して子育てできる環境を整えていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。