「初めまして〜。奥さんですよね? 私、旦那さんとお付き合いしてます。いわゆる浮気相手ってやつですね!」
いきなりとんでもない告白をしてきた女性。前々から夫に別の女性の影があることには気付いていたため、「離婚してください」と言われるのだろうと身構えたのですが……?
理不尽すぎる「役割分担」の提案
「私、彼と結婚するつもりはないので、奥様は安心してこのまま妻でいてくださいね!」
ポカンとする私をよそに、浮気相手は図々しく言葉を続けました。
「彼から聞いてますよ〜。育児も介護も、全部奥様に押し付けてるって。聞いてるだけで大変そうだし私には絶対無理! 私は楽しく恋愛できればそれでいいので!」
「てっきり『離婚してほしい』って言われるのかと思ってた。彼のこと好きなのよね?」呆れつつも素直な疑問をぶつけると、彼女は悪びれる様子を見せることもなく、続けます。
「もちろん好きですよ。でも、私は彼と楽しく付き合えればそれでいいんです。家庭のことは、今まで通り奥様がやればいいじゃないですか。生活だって彼に支えてもらえるんだから、お互い都合がいいと思いません? 役割分担しましょ!」
あまりの勝手さに言葉を失っていると、彼女は「言っておくけど、彼はあんたなんかより私に夢中なんだからね!」と言い残し、一方的に電話を切ってしまいました。
離婚しろというわけでもなく、ただ妻である私に自分の存在を知らせたかったのでしょう。
夫の最悪な態度と、私の決断
あまりの理不尽さに耐えかね、すぐさま夫に連絡しました。最初は「浮気って急に何を言い出すんだよ……」と焦っていた夫ですが、相手から直接連絡があったと知ると「もしかして、あいつに離婚しろって言われたのか?」とビクビクし始めました。
浮気相手から提案された「役割分担」の話を伝えると、夫の態度は一変。
「あいつ、面白いこと言うな! まあ、バレた以上、浮気してたことは認めるよ。でも俺は離婚するつもりないし、あいつもそれでいいって言ってるんだろ? だったら今まで通りでいいじゃん」
都合のいい労働力としてこれからもこき使う気満々の夫に、目の前が暗くなりました。そして夫は追い打ちをかけるように笑いながら言ったのです。
「俺の収入で生活してる専業主婦が、離婚してやっていけるのか? 俺が浮気してたって、結局お前からは離婚なんて言い出せないだろ」
夫の言葉を聞いた瞬間、それまで心のどこかに残っていた迷いが消えました。娘のことなど考えるべき課題は山積みですが、離婚しようという気持ちが固まったのです。
私が離婚を告げると、夫は「おい待てよ!? お前、俺と離婚するっていうのか!? 離婚したらどれだけ苦労するか分かってるのか!?」と途端に焦った様子……。
私は冷静に事実を突きつけました。
「シングルマザーの苦労はもちろん覚悟してる。でもね、あなたの世話や義両親の介護、それにあなたたちからの暴言によるストレスから解放されるなら、いくらでも頑張れる」
「実は前からずっと離婚を考えていてね。地元の友人が夫婦問題に強い弁護士だから、何度も相談していたの。浮気の証拠集めには苦戦していたけど、まさか自分から認めてくれるなんてね。この通話も録音してあるから、これも含めて弁護士に相談するつもり」
すでに両親を亡くし、頼れる相手もいない私が離婚後に生活していけるはずがないと、夫は高をくくっていたのでしょう。しかし、私は万が一に備えて密かに資格を取得し、いつでも働き始められるよう準備を進めていました。
「それでも離婚に応じないなら、調停を申し立てるつもり」今まで従順だった私からそんな言葉が出るとは思っていなかったのでしょう。電話口の夫は、しばらく黙り込んでいました。
その後――。
弁護士の友人にサポートしてもらい、私は離婚調停を進めることに。夫は慰謝料や財産分与、毎月の養育費についてなかなか納得しませんでしたが、話し合いを重ね、最終的に離婚が成立しました。
娘の親権は私が単独で持つことになり、慰謝料や財産分与、養育費についても調停の中で正式に取り決めました。
あれほど「彼と結婚するつもりはない」と言っていた浮気相手でしたが、離婚成立からしばらくして、二人が再婚したと聞きました。
再婚を機に、元夫は浮気相手を元義実家に呼んだようです。しかし元義実家は掃除も行き届かず、すっかり荒れていたのだとか。
結局元夫は「これからは家のことを頼むな」と当然のように家事を押し付けたよう。話が違うと激怒した彼女は、ほどなく家を出ていったのだとか。元夫のことなので、家事は分担しよう、やらなくてもいい、もしくは家政婦を雇うなどと言ったのでしょう。
後日、彼女に出ていかれて困り果てた元夫から、「もう一度やり直せないか」「家のことを少しでも助けてほしい」と連絡がありましたが、もちろん応じるつもりはありませんでした。
現在、私は娘と一緒に地元に戻り、取得した資格を生かして地元の企業で働いています。環境が大きく変わった娘の気持ちにも目を配りながら、これからも二人で前を向いて歩んでいきたいと思っています。
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育児や家事、介護といった大切な生活の基盤をどちらか一方だけに押し付け、自分だけが楽をしようとするのは、理想的な夫婦のあり方とは言えませんよね。
夫婦だからこそ、お互いの負担や日々の大変さに目を向け、話し合いながら支え合うことが大切です。どちらか一人に負担を偏らせるのではなく、感謝や思いやりを忘れずにいたいものですね。
【取材時期:2026年7月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。