幼なじみを合コンに誘うことに
ある日、友人から「合コンの女性メンバーが1人足りないから集めといて」と相談されました。心当たりがなく困っていたとき、ふとA子を思い出した僕。ダメ元で声をかけてみると、「私でいいの?」と答え、参加してくれることに。
当日、A子は普段より少しだけおしゃれをしていたものの、もともと派手なタイプではありません。すると参加者の1人であるB男が、ほかの女性には積極的に話しかける一方、A子にはどこか素っ気ない態度を見せたのです。
「仕事は何してるの?」
「会社員です」
「へえ。事務とか?」
A子が「事務ではないです」と否定すると、B男は「でも堅そうな感じだよね」と笑います。さらに、「合コンなんだから、もう少し愛想よくしたほうがモテるんじゃない?」とまで言い放ったのです。
僕が「初対面でそんな言い方することないだろ」と止めても、B男は悪びれる様子を見せませんでした。
取引先の名前を聞いたA子は…
しばらくすると、B男は自分の仕事について話し始めました。
「俺、営業やってるんだけど、大企業との取引も担当しててさ。この間も大きいプロジェクトを任されたんだよね」
得意げに「ちなみに取引先は、業界でも有名な大手メーカーなんだ。みんなも知ってると思うよ」と続けます。すると、それまで静かに聞いていたA子がふと顔を上げ、B男にこう尋ねたのです。
「もしかして……B男さんですか?」
B男は驚きながらも「そうだけど」と、うなずきました。
するとA子は、「私、その取引先で働いているA子です。何度かメールでやりとりしてますよね」と答えたのです!
明らかになった2人のつながり
どうやら2人の勤務先は取引関係にあり、仕事で何度かメールを交わしていたようなのです。ただ、実際に顔を合わせたことは一度もなかったとのこと。
B男の表情が一気に変わりました。
「えっ!? A子さんって、あのA子さん……? い、いつもお世話になってます!」
さっきまでとは別人のように丁寧な態度になったB男を見て、周囲は気まずそうに黙り込みました。B男は慌てて、「あの……さっきのは冗談なので。大変失礼いたしました」と取り繕います。
しかしA子は落ち着いたまま、
「メールでは、とても丁寧な方だと思っていましたが、相手によってこんなに態度が変わるんですね」
とひと言。
B男は何も言い返せず、すっかりおとなしくなりました。
合コンのあと…A子から意外なひと言!
その後、A子は合コンの場で、必要以上にB男と話すことはありませんでした。
帰り道、僕が「まさか仕事でつながってたとは」と漏らすと、A子は「私もびっくりした」と苦笑い。そのあと、A子は「今日みんなと話してて思った。あなたって、意外といい男なんだね」と冗談っぽく笑いました。
A子からそんなことを言われるとは思わず、僕は少し照れてしまいました。それまで幼なじみとしか見ていなかったA子が、このときは少し違って見えたのです。
その後は2人で食事に行くことも増え、少しずつ関係性が変わっていっている気がします。
幼いころからずっと身近にいたA子のことを、僕はよく知っているつもりでした。でも、仕事上で見せる顔も、僕に向けてくれた言葉も、初めて知るものばかり。あの日の合コンは、僕にとってA子をあらためて知るきっかけになったのでした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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